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2023.05.11

猫の食事回数、分ける必要があるって本当?猫がちょこちょこ食べする理由

猫の食事回数、分ける必要があるって本当?猫がちょこちょこ食べする理由

皆さまの家では、猫に1日何回食事を与えていますか?1日に3回、人間の食事の時間に合わせて与えているという方や、1日に何回も分けて与えている方、自動給餌器で管理しているという方もいるかもしれません。

キャットフードのパッケージなどでは、成分分析表や原材料と一緒に「給与量の目安」は明記されていることが多いですよね。
でも、給与量の目安はあっても「一日に何回与えてください」という食事の回数まで指定されているものは、まず見かけません。猫の食事回数は、分ける必要があるのでしょうか?

そして、猫の食事は何回に分けて与えるべきなのか、正解はあるのでしょうか?今回は、改めて猫の食事回数について考えてみましょう。

猫の食事回数は分けるべき?

インターネットで調べたり、「猫の育て方」的な本を読んで見ても、"猫の食事回数は数回に分けて与える"と紹介されていることが多いようです。

そのため、1日で何回かに猫の食事を分けて与えるという方は多いと思います。このように、何度かに分けて猫にキャットフードを与える必要はあるのでしょうか?また、猫にとって適切な食事の回数というものはあるのでしょうか?

簡単に言ってしまうと、答えはNOです。猫にとってベストな食事の回数は、決まっているわけではありません。
実は、わざわざ家族が猫のために食事をこまめに与える必要はないのです。
猫は犬と異なり、一度に大量の食べ物を食べるということができません。その時その時に必要な量だけを食べる生き物です。(上品ですね)
基本的には猫は自分で食べたいペースで食べますので、それが適した食事回数ということになります。

大量にフードが置いてあったとしても、猫はそのフードを「ちょこちょこ食べ」して、その時その時に食べたい量だけを食べていきます。
この「ちょこちょこ食べ」は、猫が一日に何度も狩りを行ってその都度食事を食べていたころの名残でもあります。

家族が仕事をしていて毎日こまめに食事を与えることができない、という家庭も多いと思いますが、食事回数が大まか(1~2回/日)になっているせいで猫の健康を害するということはありません。
猫だって、ある程度は家族のライフスタイルに合わせることもできますので、こうしなければいけない、ということはありません。

猫がちょこちょこ食べする理由

そもそも、猫という動物は毎日決まった回数食事をする生き物ではありません。野生の環境では、毎日毎回食事にありつけるということ自体、ほとんどありません。

野生の猫は毎日狩りをして食事となる獲物をとっていたので、狩りが上手くいった日には食事を食べられますが、狩りに失敗したり獲物が見つからない時には食事にありつけない、ということが当たり前。
猫はハンターであり、自分で食事を探す生き物です。また、猫は一度に大量に食べ溜めるということができないので、小さな獲物を1日に何度も狩りをして暮らしていました。
このころの名残で、猫は"一度に大量に食べるのではなく、何度かに分けて食べる"という習性をもっているのです。
この1日に何度も狩りを行う習性から、常にいつでもハンティングモードに入れるようにお腹いっぱいになるまで食べなくなった…という説もあるようです。

それと合わせて、自分で狩りをして獲物を捕らえ、食べるという習性のほかに、"新鮮でフレッシュなものを好む(風味が落ちると食べなくなる)"、"食事を得るための手段として狩り(遊び)がとても大切"といった習性も、野生時代の食事スタイルに由来していると考えられています。

猫の食事を数回に分けるメリット、デメリット

それでは、改めて猫の食事を数回に分けて与えることのメリット、デメリットを整理していきましょう。

食事回数を分けるメリット Point
鮮度が高い食事が食べられる
酸化のリスクを抑える、衛生的
他頭飼いの場合、食事の量のコントロールがしやすい

食事回数を分けるデメリット Point
1回あたりの食事量の調整や、手間がかかる
1日あたりの量を管理できない場合、食べすぎになりやすい
外出時間が長いと実現が難しい

猫の食事は1日に数回に分けて与えることがある意味で「常識」のようになっていますが、改めて整理してみると多頭飼育でなければそこまで大きくメリット/デメリットの差があるわけではないと思います。

猫の適切な食事回数というものは、決まっているわけではありませんし、猫によってまちまちです。それぞれの家庭によってライフスタイル、猫の食事スタイルも異なります。

色々考えてみたけれど、やっぱり1日に何回かに分けて食事を与えたい、でも家族が仕事をしていたり、深夜は家族が寝ていたりして、留守中に何度も食事を与えることが現実的ではない…、という方も多いと思います。
そんな時は自動給餌器を活用しましょう。
決まった時間になると決められた量が自動で出てきて猫が食事をとることができます。自動給餌器で与える量を設定することもできますので、猫が無理なく食べ切れる量を与えれば衛生面でも安心です。

※基本的に、自動給餌器が使えるのはドライフードのみです。(例外的に保冷剤を入れて使うものもあるようです)

子猫や病気の治療中の猫は、何回かに食事回数を分ける。

消化器系が未発達な子猫や、病気治療中の猫の場合は家族が食事の回数をコントロールする必要があります。
子猫は空腹状態が続くと、血糖値が急激に下がり低血糖症になってしまうケースもあります。低血糖症は重篤なものでは死に至る場合もあるので注意が必要です。低血糖症を予防する目的で、子猫の食事は意識的にこまめに少量を数時間おきに与える必要があります。

また、病気の治療中の猫でも同様で、とくに糖尿病の猫では血糖値のコントロールのために食事の回数を指導されることもあります。

おわりに

今回は、適切な猫の食事回数についてご紹介しました。猫はもともと、少しずつ食事をする動物で、自分である程度食事の回数をコントロールしています。
少し前まで、猫たちは家の中のネズミなどを捕まえるという仕事をしていましたから、それも食事の一環だったと考えられています。
現代の猫たちは、ネズミを捕まえるという仕事をしなくなり、食事を私たち家族から与えられるようになりました。

それぞれの猫の性格や環境ごとにマッチした食事のスタイルがあると思います。それから、猫自身の個性や行動、特長もそれぞれですから、上手く猫と家族で折り合いをつけていくことができればベスト。それぞれの家族に合わせた食事スタイルを探してみましょう。