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2024.05.23

猫の健康に関係する「湿度」と考える。快適に過ごすためのアドバイス

猫の健康に関係する「湿度」と考える。快適に過ごすためのアドバイス

ジトジトと湿度が高くなる季節がやってきます。
実は、猫の健康維持と湿度には関係があることはご存じでしょうか?
湿度は動物病院での相談が必要になるトラブルから、普段の食事、熱中症対策まで様々な形でかかわっています。
猫と一緒に快適に過ごすためのカギが、湿度管理に隠れているともいえます。
今回は、重要なのに普段はあまり意識されていない湿度の管理について取り上げます。
もっと猫と仲良く、健康に過ごしてもらえるように、ぜひ取り入れたい暮らしのポイントを取り入れてみてくださいね。

猫と湿度皮膚トラブルと湿度の関係

日本では梅雨時期前後は非常に湿度が高くなります。
湿度と気温がぐんぐん上がるこの時期、猫の皮膚トラブルも多くなる傾向にあるそうです。
湿度が高くなることで、雑菌やカビなどが繁殖しやすい環境になるほか、ダニなどの寄生虫が活発になる季節でもあることが大きな要因と言えそうです。

基本的には、以下にご紹介するようなトラブルが見られたら、動物病院での専門的な治療が必要になります。
定期的にブラッシングをするなどして、猫の皮膚に起こった変化に早めに気が付くことが大切です。

 

■外耳炎

梅雨は猫の外耳炎が多くなる季節。
免疫系の機能が低下することで、耳の中で悪さをする菌が繁殖したり、耳ダニが増えるほか、食べ物や環境的な問題のアレルギー反応としても見られることがあります。
とくに遺伝的に耳の形が独特なスコティッシュフォールドやアメリカンカールでは多く見られるトラブルです。

 

■真菌症

真菌=カビ(の仲間)によって引き起こされる皮膚トラブルを真菌症と呼びます。
主に免疫が下がって皮膚のバリア機能が落ちたタイミングで皮膚で繁殖し、様々なトラブルを起こします。強いかゆみが出たり、脱毛が見られるほかにも厄介な特徴を持っています。それは、同居する猫やほかの動物だけではなく、人間にも感染する可能性があるということ。
免疫の働きが弱っていると、小さな傷から真菌が入ってしまい、同居猫や家族にも広めてしまうというケースが少なくありません。
逆を言えば、私たち人間や同居するほかの動物が猫に感染させてしまう可能性がある病気でもあると思います。

主に皮膚が柔らかい目や口、耳の顔周りなどに発症し、かゆがったり脱毛が見られることで気が付く方が多いそうです。

 

■脂漏症

猫の皮膚が脂っぽくベタついたり、フケが多く出たりする病気です。大きく分けて皮脂が過剰に分泌される脂性脂漏症と、皮脂が不足して乾燥する乾性脂漏症があります。

脂漏症の症状は全身で起こり、脂質の量やバランスが乱れることで、皮膚のターンオーバーが早まりフケが出やすくなるほか、ベタついた皮脂によって毛が束になってしまうことも。

これらも寄生虫やカビなどの影響で起こりやすくなるため、皮膚の免疫系の働きを早めに意識することが重要です。
被毛の中に湿気がこもりやすい長毛の猫で起こりやすいトラブルなので、気を付けてあげてください。

猫と湿度ドライフードの劣化と湿度

多くの方が気にするドライフードの保存。中でも湿気には要注意。湿気が高い状況は、ドライフードの酸化を大きく進める要因となります。
もちろん、キャットフードの酸化を防ぐために、メーカーでも猫の体調に影響しない、天然由来の酸化防止剤を使用したり、パッケージに工夫を凝らすなどしていますが、キャットフードの酸化は酸素に触れる機会が増える開封後にどんどん進んでいきます。

酸化が進んだキャットフードは食いつきが悪くなったり、本来含まれる栄養素が変質するなどのほかにも、体調に影響するリスクもあります。
酸化した脂質は、過酸化脂質と呼ばれる状態になり、有害な成分を含むようになります。
消化のプロセスの中でなるべく体調に影響しない中和された形に分解されていきますが、分解が間に合わない場合や過酸化脂質の量が多いと消化器系に影響し、嘔吐や下痢などの原因になることも…。

基本的には開封後、なるべく早く食べさせるようにすること、そして湿度が高い時期は長時間の置き餌はなるべく避けることが主な対策となります。

猫と湿度快適な室温と湿度

猫は犬と比較すると暑さに強い生き物です。とはいえ、近年の日本の平均気温はぐんぐん上昇しており、暑さのために体調を崩す子も多くなってきています。

猫のご先祖は、もともと暑さ厳しい砂漠で暮らしていました。そのため、猫は大きな耳で体内にたまった熱を放出することで、ある程度の温度変化に適応することができます。(暑い地域にルーツを持つ猫ほど耳が大きい傾向にあるそうです)
また、こまめにおこなうグルーミングも体の温度をコントロールするのに一役買っているという説もあります。

しかし、そんな暑さへの備えを持つ猫たちでも、注意が必要なのが日本の暑さ。
気温の上昇と合わせて、ぜひ注意してほしいのが湿度です。湿度が高いと実際の気温よりも体感温度は高くなりますので、気温と一緒に湿度をチェックして猫たちの過ごす部屋が暑くなりすぎないように気をつけましょう。

夏の間のオススメは、気温が25~28度、湿度50~60%の範囲内。
暑さに強い子、弱い子それぞれ個体差がありますが、体格が大きな子、長毛の子、肥満傾向の子、短頭種は暑さに弱い傾向があります。
エアコンから排出された冷たい乾燥した空気は一般的に下の方に溜まりやすいので、サーキュレーターを導入することで空気の流れを作り、適温を維持する方法も効果的です。
高齢の猫は、暑さを感じにくくなっており、熱中症になりやすい傾向にあるそうですので、シニア猫と暮らす方はとくに注意して見守ってあげてくださいね。

おわりに

今回は、湿気と関係する猫の健康維持にかかわる話題をお届けいたしました。日本の多くの地域には「梅雨」がありますが、この時期は猫の健康のためにも湿気は意識したいところ。
夏に向けて室温の管理などはよく話題になる一方で、話題になる機会は多くない湿度ですが、こちらも猫の健康に深く関係しています。
今年は気温に加えて湿度にも注目して、猫たちが過ごしやすい環境づくりにご確認ください。