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2024.05.16

キャットフードの原材料「ペプチド」「加水分解」について調べてみました[#調査隊レポート]

キャットフードの原材料「ペプチド」「加水分解」について調べてみました[#調査隊レポート]

猫の健康に欠かせないキャットフードの原材料をチェックしていると「これって何だろう?」と気になるものを見かけませんか?

今回取り上げるのは、キャットフードで使用される「ペプチド」そして「加水分解」です。
「ペプチド」や「加水分解」が使用されているキャットフードを取り入れることで、猫の体にはどのような影響がみられるようになるのか、どんな時に意識した方が良いのかについても調べています。
これらの言葉について知ることができれば、キャットフード選びの安心や納得感につながるはずです。

今回ご紹介するキーワードを通じて、猫にもっと長く元気で過ごしてもらいたい、と願う皆さまのお役に立てれば幸いです。それでは、調査結果をご覧ください。

加水分解とは?

言葉の意味としては、加水分解とは、特定の物質に対して水が反応し分解され、別の物質が生まれることを指します。
これだけではどんなものか分かりにくいですよね。でも、加水分解は消化の過程で起こっている反応です。

たとえば、私たちがお米を食べて体内でデンプンを分解し、ブドウ糖を作る作用も加水分解に含まれますし、猫たちの消化の過程でも、体の中で食べ物を分解し、タンパク質からアミノ酸を取り出すなどの加水分解が行われています。

では、キャットフードの原材料表記に登場する「加水分解チキン」や「加水分解フィッシュ」とはどんなものなのでしょうか?
これらは、チキンや魚などの原材料のタンパク質を吸収しやすくするために、あらかじめ酵素などを加え、消化に近い工程でアミノ酸やペプチドレベルにまで分解したもののことです。
原材料をそのまま使うよりも、ある程度消化が進んだ形ですので、消化器系にとっては負担が少なくなる傾向があるようです。

酵素などによってタンパク質を分解した状態のものではありますが、添加物ではなく、原材料としてカウントされます。

ペプチドってなに?

ペプチドとはアミノ酸が50個以下結合したものを指します。
さらにたくさんのアミノ酸が結合し、50個以上のアミノ酸が結合した状態が、タンパク質。
大きさで言うと、アミノ酸<ペプチド<タンパク質となります。
アミノ酸よりは大きく、タンパク質よりは小さい塊という認識で良いと思います。

食べ物に含まれるタンパク質は、消化の過程を経て分解され、体内に取り込まれています。
この時、アミノ酸まで分解されてから取り込まれる栄養と、ペプチドまで分解されて取り込まれる栄養の2つがあります。ペプチドまで分解された状態で取り込まれる栄養の方が、より早く体内に取り込まれることが分かっています。
体内で実際に栄養として使用されるのはアミノ酸の状態ですから、より細かいアミノ酸の状態の方が吸収効率が良さそうなイメージがありますが、実際はそうとは限らないというのは興味深いですね。

■ ここまでのまとめ

加水分解:原材料(主にタンパク源)に水と化学物質を加えてタンパク質を分解する処理

ペプチド:アミノ酸が一定量結合した状態のこと。さらに長くつながるとタンパク質になる。

猫の食物アレルギーと「ペプチド」「加水分解」

さて、猫がアレルギーになってしまったという話を聞いたことはないでしょうか?アレルギーと診断された場合、多くの猫が悩むことになるのは、主に食物アレルギー。食べ物に含まれる「タンパク質」がアレルギー反応を引き起こすタイプのアレルギーです。

免疫システムが特定のタンパク質を異物として認識してしまうことで、過剰な防御反応がアレルギー反応として現れます。
ですから、体内に取り込まれる時点ですでにタンパク質を加水分解した「ペプチド」になってしまっていれば、理論上はアレルギー反応は出ません。

それから、消化吸収に優れることもポイント。
通常、食べ物は消化管の中で胃酸や消化酵素、消化液などによって分解されてから体内に吸収されていきます。
加水分解処理を行うことで、食べ物を分解する消化の過程とほぼ同じ処理を原材料に施していることになります。
消化の過程を一部省略することで消化吸収がより早く、消化器への負担を軽減することにもつながると考えられています。

これらの理由から、アレルギーに配慮したレシピのキャットフードや、さまざまな療法食に加水分解された原材料や〇〇ペプチドが使用されることが多いです。

■ 注意点

加水分解処理を施された食材は、基本的にはアレルギーの心配をする必要がないといわれていますが、稀に分解し切れなかったタンパク質が含まれてしまうこともあるようです。
そのため、はっきりと特定の食品に対してアレルギー反応が見られることが分かっている場合は、加水分解したものであっても避けた方が無難なケースがあります。

おわりに

今回はキャットフードに使用される「加水分解」処理された原材料と「ペプチド」についてご紹介いたしました。
なんとなく聞いたことがある用語ではあるけれど、その意味やメリットについてまでははっきりと理解できていなかったという方もいると思います。でも、そのフードがどのような特長を持っていて、どんな原材料を使用しているのかが分かれば、フード選びの助けになるはず。
キャットフードのパッケージの裏面を確認して、「加水分解」「ペプチド」の文字が見えたら、今回ご紹介した内容を思い出していただければと思います。