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2024.07.04

猫の水分補給にウェットフードを活用しよう!総合栄養食、栄養補完食...それぞれのポイント

猫の水分補給にウェットフードを活用しよう!総合栄養食、栄養補完食...それぞれのポイント

猫の健康に欠かせない水分。

でも、猫たちは暑い時期になっても、あまり飲水量に変化が見られません。
実はこれ、砂漠地帯で生きてきた猫のご先祖様が身につけた、体温調節能力によるものです。

暑い時期でもなかなか飲水量を増やすことができない猫には、ウェットフードを活用することが効果的。
今回は、猫の健康における水分補給の重要性やウェットフードの選び方、そして総合栄養食/栄養補完食それぞれのウェットフードが持つメリットについて詳しく解説します。
暑い時期の体調管理にぜひお役立てください。

夏も水分補給を意識することが大切です

人間は暑いと水分補給を意識しますが、それは人間が汗で体温調整を行う生き物だからです。
汗をかくことで体表に水分を発生させ、蒸発する際に温度を下げる働きによって体温を下げます。
だから暑い時期には体温を調節する目的で発汗量が増え、それに伴って飲水量も増えていくのです。

ところが猫は、人間のように水分を蒸発させて体温を下げるという機能を持っていません。
では、どのように体温調整をしているかというと……耳で行うとされています。
耳を通る血管から放熱することで体温を下げているので、人間のようにたくさんの水分を必要とはしていません。(猫も肉球から汗をかきますが、体温調節のために人間のように大量の汗をかくということはありません)

これはもともと猫が砂漠などの乾燥地帯で生きてきた動物だったことに由来しているようです。
少しの水分も無駄にはできない環境だったため、水を必要としない体温調節の方法を身につけたと考えられています。
そのため、猫は暑いからといって水分を多く飲むようになるということはありません。

 

■ 飲水量が減った猫の体内で起こること

猫の体は60~80%を水分が占めるので、長時間水分を摂取しない状態が続くことで、尿が濃くなり、膀胱炎や結石など尿路系の病気になりやすくなるほか、脱水状態は腎臓にも大きな負担となります。
また、からだが脱水することで、よりだるさを感じた猫は水を飲まなくあることがあります。
「喉が渇いていないのだろう」と放置するのは危険です。
とくに高齢の猫は腎臓の機能が低下するので、脱水状態になり腎臓への負担が大きくなることはなるべく避けたいところです。

暑くなると、猫自身も涼しい場所で動かないことも増え、運動量が減ることでさらに飲水量が減る傾向にあります。また、暑さのために食欲が落ち込むことも多いので、食事から水分を補給することも難しくなってしまうこともあるようです。

総合栄養食のウェットフードのポイント

夏場にオススメの水分補給の方法として、主食として使える総合栄養食の基準を満たしたウェットフードを活用する方法があります。

猫の祖先は、必要な水分を飲み水からあまり摂らず、小動物などの獲物を捕食することで水分を摂取していたと考えられています。
現在、私たちと一緒に暮らしている猫たちも、祖先の特徴を受け継いでいるので、食事から水分を摂取するほうが本来の"猫らしい"水分補給方法と言えます。

ドライフードなどと比較して、水分量が多いウェットフードは猫が無理なく水分量を摂取するのにピッタリ。
なかでも、猫にとって必要な栄養をバランスよく含み、一定量を与えることで必須栄養素を摂取できる総合栄養食タイプのウェットフードには、さまざまなメリットがあります。

 

■メリット

最大のメリットは、主食として使うことができるということ。
現在、猫の主食としてドライフードを与えている方が多いと思いますが、主食としてウェットフードを選択することで、無理なく飲水量をアップさせることができます。
香りが強く猫の興味をひきやすいウェットフードは、食欲が落ち込みやすい夏の時期にもぴったり。
また、ドライフードと比較しても柔らかいので、噛む力が弱いシニア猫や子猫、歯周病や口内炎などで固いものを噛むことが難しい猫の栄養補給としても使えるのは嬉しいですね。

 

■オススメの使い方

普段、ドライフードを主食として与えているのであれば、ウェットフードの総合栄養食に置き換えてみてください。水分を食事と一緒に摂取できるようになり、健康維持に役立ちます。
毎食ウェットフードに置き換えなくても、1日のうち1食だけをウェットフードに置き換える、という形でも問題ありません。

栄養補完食のウェットフードのポイント

総合栄養食のように特定の栄養基準を満たしたもの以外は、栄養補完食と区別して呼びます。
ウェットフードやおやつなどの栄養補完食は「一般食」「副食」などとも呼ばれることがあり、総合栄養食のように主食として与えるのには適しておらず、サイドメニューとして与えることが目的になっています。

ですから、猫の健康維持を考えるのであれば、「総合栄養食」と書いていないウェットフードを活用する場合は、栄養に偏りや不足が出ないように「総合栄養食」の表記があるドライフードあるいはウェットフードと併用するようにしてくださいね。

 

■メリット

栄養補完食のウェットフード最大のメリットは、その種類の豊富さにあると思います。
使用する原材料、水分量、食感、量……。さまざまなものの中から選ぶことができるので、猫のお気に入りが見付かる可能性が高いのではないでしょうか。
また、栄養補完食はオヤツ感覚で与えることもできます。スープをオヤツ代わりに与えるなど、チャレンジのハードルが比較的低いこともポイントですね。

 

■オススメの使い方

栄養補完食タイプのウェットフードは、オヤツ感覚で与えるほかにも、総合栄養食の基準を満たしたドライフード(主食)に対するおかずのような感覚で与えることもできます。
猫の食事の選択肢を増やす目的でもオススメですよ。

おわりに

猫の健康にとって欠かせない水分補給についてご紹介しました。
猫は暑い時期でもあまり飲水量が増えないことがありますが、これは砂漠地帯での生活から受け継いだ体温調節能力によるものです。

ウェットフードは、水分量が多く、猫が必要な栄養素をバランスよく摂取できる総合栄養食として活用できます。
香りも強く食欲を刺激しやすいため、暑さで食欲が落ちがちな時期でも活躍してくれます。
また、栄養補完食としてのウェットフードも、猫の食事のバリエーションを豊富にし、オヤツ感覚で楽しめる点が魅力です。

総合栄養食のウェットフードと栄養補完食のウェットフード、それぞれの特長と使い方を踏まえ、猫の健康管理にぜひお役立てください。