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2021.06.17

猫の血液検査の疑問 いつから受ける?食事はどうする?【獣医師監修】

猫の血液検査の疑問 いつから受ける?食事はどうする?【獣医師監修】


猫の健康維持のために、私たちができることのひとつに定期的な動物病院での血液検査があります。
猫の血液検査を行うと、どんなことが分かり、役立つのでしょうか?そして、血液検査の結果に異常があった場合、私たちはどんなことができるのでしょうか?

猫の血液検査で分かることと健康について、簡単にまとめてみました。

DOG's TALK

この記事の監修 菱沼 篤子

この記事の監修 菱沼 篤子

獣医学部を卒業後、動物病院での臨床・栄養指導を経験した後に公的機関で獣医師として勤務。現在はtamaのアドバイザー、商品開発などに携わる。大型犬、小型犬と一緒に暮らしていますが、猫のことも大好きです。

血液検査は、猫の健康診断の項目の「ひとつ」です。

まず、前提として猫の血液検査は猫の健康状態を知るための方法の「ひとつ」であり、血液検査の結果"だけ"で病気かどうかの判断はできません。

健康診断や診察でも、血液検査だけではなく、他の健康チェックと合わせて行うのが一般的です。
体重の変化や猫の様子、触診などと血液検査を組み合わせて初めて色々な病気の可能性が見えてきます。

また、血液検査の結果には「正常値」が併記されていて、そこからどれくらい外れているかをチェックすることができるようになっていることが多いですが、正常値から外れているからと言って素人判断で病気だと判断してしまうことは危険です。
動物病院での検査では、獣医師からの説明があることがほとんどですが、気になることがあれば必ず担当の獣医師に質問をして、一緒に対応を考えていくようにしましょう。

血液検査の結果を見て、不安になってしまうことも多いと思います。ですが、血液検査の結果だけに注目してしまうと猫の本当の健康状態を見抜くことは難しくなってしまいます。
普段の猫の様子や、食欲、行動、食事内容、生活の様子なども猫の健康状態を知るための重要な手がかりになります。

■ 血液検査の種類

猫の健康チェックで行う血液検査には、大きく分けて血球検査と生化学検査があります。

【血球検査】
血球検査では、血液を構成する血液細胞をチェックします。赤血球、白血球、血小板の数を測定し、形状を観察することで異常がないかを確認します。貧血の兆候や炎症の有無などが分かります。

【生化学検査】
一方、生化学検査では主に血液細胞を除いた血清に含まれる成分を検査します。
血清には、タンパク質や糖質、脂質、ミネラル類などの栄養素や、細胞から排出される老廃物、代謝に使用される酵素、ホルモンなどが含まれています。これらを調べることで、関連する臓器に異常がないかを確認します。

猫の血液検査は、いつ頃から受けるべき?

猫の血液検査は一般的に、健康診断に含まれていることが多いです。猫の健康診断はいつから受けるべき、という明確な基準はとくにありませんが、年に一度定期的に受けることが推奨されています。

シニア期になると、多くの猫は腎臓の機能が低下し始めます。慢性腎臓病は、早め早めから食事内容の見直しを行うことで病気の進行を遅らせることができる病気です。
しかし初期の腎臓病のサインは分かりにくく、気が付きにくいという特徴もあります。
血液検査で異常が分かれば、目立った症状が出るよりも早く腎臓の機能低下に気付くチャンスになる可能性もあるので、シニア期(7歳前後)になった猫は血液検査を含む健康診断を定期的に受けさせるのがオススメです。

また、最近では甲状腺機能亢進症などのホルモンの異常に関する病気の発見に役立つホルモン検査を院内で行うことができる病院が増えていて、これまで気付きにくかったシニア期の病気に気が付きやすくなっています。

猫によっては動物病院は強いストレスの原因にもなりますので、病院が苦手な猫であれば年に一度でも十分です。
気になった時がはじめ時、といえるかもしれませんね。

DOG's TALK

獣医師 菱沼 篤子

獣医師 菱沼 篤子

獣医療の発展により、腎機能低下が今までより早く確認できるようになったり、時間がかかっていたホルモン検査が短時間で測定できるようになっています。
シニア期の病気は、早期発見がとても重要であることが多いので、定期的な血液検査が大切です。

血液検査の結果、数値が異常…すぐに食事を変えるべき?


血液検査の結果、基準値から外れている項目があって、食事を変えるべきかどうかの判断に迷ったら、獣医師の指導を仰ぎましょう。
療法食の多くは、一部の栄養素に制限を設けたりしていて総合栄養食の基準を満たしていないものです。誤った療法食を与えてしまうとかえって健康を損なう可能性もありますので、療法食の選択は注意が必要です。

獣医師に指定された療法食を猫が食べてくれない、などの理由でそれ以外の療法食を探している、という場合でも、指定された以外の療法食を与える前に必ず獣医師に確認を取りましょう。
動物病院では、食事プランも含めて治療とするケースが多いので、猫が「何を」「どれくらい」食べているのかを記録したうえで、治療方針や処置を決めています。
家族の判断で療法食を与えて治療計画などが変更になってしまうなどのことがないように、しっかりと確認を行うことをオススメします。

おわりに

本日は、猫の健康チェックのための検査のひとつである血液検査についてご紹介しました。
血液検査は猫の健康状態を知るための方法のひとつですが、それだけで猫の病気を判断することはできません。獣医師もほかのさまざまな情報と組み合わせながら、病気や異常の可能性を絞り込んでいます。

血液検査の結果を受けて、特定の項目が異常値だったり、気になったようであれば、療法食やサプリメントを自分たちだけで判断して取り入れる前に、必ず獣医師と相談してから試すようにしましょう。
数字を見ると不安に感じてしまうことも多いですが、だからこそしっかりと猫の健康状態を把握して、普段の様子なども獣医師と共有しあいながら健康的な生活作りの助けとして活用するようにしたいですね。

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