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2018.09.21

あいたろうさんの初恋の猫

あいたろうさんの初恋の猫

私の初恋の猫はあの子でした。

初恋の子の前に。一緒に暮らしている猫のことを教えてください

むむちゃん

むむちゃん

うちの子は、ペルシャのメス、名前をむむと言います。
夫と結婚してから、将来猫が飼いたいんだと伝えていました。子育てをして、家を買って、自分の住み家が安定した時、欲が出て来て、子どもが小さいうちに猫を家族に迎えたいと思うようになりました。子どもと暮らしていても、温和でゆったりと、のらりくらり生きてくれる品種を探し、ペルシャにたどり着きました。
ペルシャの写真をたくさん眺めて、やっぱりこの品種がかわいいとブリーダーさんを調べ、好みのどストライクだったのが、むむでした。
むむは温和でゆったりタイプ、子どもが騒ぎだすとやれやれと腰をあげてリビングから廊下へ出て、でろーんと寝転び、子どもたちが廊下を走りだすと、ポテポテ歩いてリビングのむむ用のカウンターイスに跳び乗り、走り回る子どもたちを眺める。
獣医さんいわく、後ろ右足が弱いらしくカウンターイスより高い所には跳べないけれど、彼女なりに跳ぶのが本当にかわいいです。
お風呂も私がシャンプーでわしわし洗いますが、されるがまま。爪切りはちょっと苦手だけど、話しかけながらならささっと切らせてくれます。ご褒美におやつのちゅーるをねだる声が甘ったれていてかわいいです。
子どもたちが猫じゃらしを持ってくると、目をランランと輝かせ、二人と一匹でおおはしゃぎ、お人形を持ってきてごっこ遊びを始めたら、二人の間にちょんと座って瞳でお人形を眺めている。
お母さんである私としては、仲良しで見ていてしあわせな気分になれるのです。
むむはとってもかわいい。お客様にオス?と聞かれるくらいお顔に凄みがあるかもしれないけれど、私にとっては本当にかわいい娘猫なのです。

猫のことを大切に思うきっかけとなった、猫への初恋を教えてください

その子は野良猫ちゃんでした。中学二年生になったころ、帰り道の原っぱでコロンと寝転んでいました。
当時は猫の品種について知識がなく、わあ、目が緑のフワフワの子だ!と珍しいなという気持ちだけで近くにより眺めていました。
ほぼ毎日、帰り道の原っぱで寝ているので眺める日課になっていたのですが、ある日、その子が足にすりすりしてきてくれました。猫はちょっと狂暴で引っかいてくるというイメージしか持っていなかった私はものすごく嬉しくてしあわせな気分になり、はじめて撫でました。おそるおそる、背中をささっと触った感じでしたが、満足でした。
ちょっと撫でるとサービスは終わりとばかりに、また原っぱに寝転ぶので、そうやって少しずつコミュニケーションをとって仲良くなりました。そうやってほんの少しだけのコミュニケーションを続けていたある日、原っぱに寝転んでいない日がありました。今日は居ないのか、まあ野良猫だしな、とその日は家に帰りました。
その次の日の帰り道、原っぱの横の柵のようなところにすっぽりはまっていたので、近くにより声をかけると、怪我をしていました。びっくりして、どうしたの?!ケンカに負けたの?!と声をかけた覚えがあります。
このままでは死んじゃうのではないかと、子どもながらにどうにもできないもどかしさでいつもより長く原っぱに立ち続けていると、お隣のおじさまが窓から声をかけてくれ、早く下校しなさいと注意を受けました。
猫が怪我してるから見捨てられないと伝えると、おじさまが外に出て来てくれて、その子を見てくれました。
病気になるかもしれないから、病院に連れていくよと箱を持ってきてくれたので、その子を初めて抱き上げ、箱にいれました。
いまから病院に行くから、下校しなさいと言われて、気になりながらも下校しました。
次の日、おじさまが下校の時間に外で待っていてくれて、治療したこと、注射したこと、この子は飼い猫かもしれないことを伝えてくれました。だから君が病院のお金を心配しなくてもいいんだよと、子どもの私に理解させてくれました。私は私のわがままで見知らぬおじさまにお金を払ってもらったことを気にしていて、でも自宅は犬好き一家で猫はお迎えできないことを伝えていたので、罪悪感が薄れ、その子の傷口が治るまで、おじさまのご厚意に甘えることにしました。
日々良くなっていたその子が、また原っぱでゴロゴロして、おじさまの庭にお水を貰う生活が続いていたある日、また突然、その子は居なくなりました。待てども待てども、その子は帰ってこず、それが最後でした。
おじさまと下校のときに会うとその子の話をして、その子にとってはどんな気分で私に背中を触らせてくれていたのかわからないね、なんで怪我をするまでケンカしたんだろうね、と思い出話をずっとして中学校を卒業しました。
大人になってから考えると、あの子は飼い猫だったから、飼い主さんに発見して貰えたのか、はたまた新たな飼い手が現れ、そのお家に移動したのか。当時のおじさまもわからないので、結局は謎のままですが。
私の初恋の猫はあの子でした