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2022.10.20

改めて猫の腎臓病と栄養素「リン」について調べてみました。[#調査隊レポート]

改めて猫の腎臓病と栄養素「リン」について調べてみました。[#調査隊レポート]

猫に多い病気として知られる「腎臓病」。高齢猫で多く見られ、命にかかわるケースも少なくはないといわれています。
とある調査では7歳以上の猫で30%程度の猫がすでに腎臓に何かしらの変化が起こっていた、ということも分かっています。

猫がどれくらい長生きできるかは、腎臓がどれだけ健康的かにかかっているといっても過言ではないかもしれません。

そんな猫とは切っても切り離せない腎臓病ですが、改めてどんな病気なのか、どのように気を付けるべきなのか、調べてみました。
可愛い猫がいつまでも元気でいてくれるように、まず知っておきたい。そんな「猫の腎臓病」についてまとめてみましたのでぜひご覧ください。

猫の腎臓の働きについて

猫の腎臓は左右一対、だいたいこの辺りにあります。

猫の腎臓は左右一対、だいたいこの辺りにあります。

腎臓は、体内の血液をろ過して、尿を作る際に様々な物質を排出しすぎないようにするためのフィルターとしての役割を持っています。
血液には、全身の細胞にいきわたらせるための栄養や酸素などを届けたり、逆に細胞から出た老廃物を回収する役割があります。

そのため、血液にはたくさんの物質や成分が溶けているのですが、その中には排出しなくてはいけない老廃物のようなものと、再利用できる成分が混同しています。
そしてこれらを「必要なもの」「不要なもの」に分けるのが腎臓の大事な役割のひとつです。

全身から腎臓に集められた血液は細動脈と呼ばれる細い血管から腎臓の糸球体と呼ばれる器官へと運ばれます。
糸球体では、血液の中で「体内に必要なもの」だけをこしとり、不要となった老廃物=原尿を排出します。原尿はさらに尿細管と呼ばれる管を通り、ろ過されておしっことして排出されます。
一方、必要な成分は再び腎臓で吸収されて血液に溶けて全身へと届けられるのです。

腎臓のフィルター機能を果たす部分には、いろいろな老廃物が通ることになるのですが、時折その老廃物が詰まってしまうことも。こうなるとフィルターとしての役割を十分に果たすことができなくなります。
とくに細胞の死骸が詰まることが、腎臓の機能低下を引き起こす大きな要因のひとつとされています。そしてこの機能低下が続くと、慢性腎臓病へとなっていくのです。
腎臓のこのフィルター機能が上手く働かず、本来は排出されなくてはいけない成分が体内に回ってしまうと、さまざまな形で体調に影響も及ぶようになります。

リンという成分の影響

猫の腎臓病について調べていると、必ずと言っていいほど登場するリンという成分。この成分は猫の腎臓病とどのような関係があるのでしょうか。

リンが猫の腎臓病の原因になる……と思っていた方は多いのではないでしょうか。
でも実は、リンが猫の腎臓病の直接的な原因になるわけではありません。
ただ、高齢になると多くの猫では程度に違いはあれど、何かしらの腎臓の機能の低下が起こるというのが前提となっています。最近ではある程度進行した後の療法食だけではなく、初期の腎臓病にも対応する、リンを制限した食事療法食も登場しています。

リンは本来骨や歯を丈夫で硬く作るために活躍する栄養素ですが、腎臓のろ過機能が低下すると上手くリンを尿に排出することができず、体内でリンの濃度が上がりやすくなります。
すると、体内で濃度が高くなりすぎたリンとのバランスを調節しようとして、カルシウムと結合させるために血液中にカルシウムを増やす指令を出すホルモンが放出されます。
このホルモンは血液のカルシウム濃度が上がらない場合、骨を溶かして血中カルシウムを増やそうとします。
リン、カルシウムの血中濃度が高い状態が続くと様々な場所や臓器で石灰化が進んでしまうことがあります。石灰化するのは腎臓も同じで、腎臓の機能が低下しているのにリンの制限を行わないままでは、腎臓の機能はさらに加速度的に低下し、結果的に猫の腎臓へのダメージに繋がることも少なくありません。

猫の腎臓の機能低下はいつから始まるの?

猫の腎臓の機能の低下はいつから始まるのか、多くの方も気になっていると思います。
いつから、というのは明確な基準はありませんが、7歳の猫の30%以上が何かしらの腎臓の機能の低下が見られたとのデータもありますので、7歳頃から意識していくべきかもしれません。
より正確に現在の猫の腎臓の状態を把握するのなら、やっぱり定期的な健康診断が一番。年に一度、動物病院で詳細に調べてもらっていれば、腎臓の健康にかかわる数値がどれくらい変化したのかなども分かります。若くて健康的な状態を記録しておけば、獣医さんも変化に気が付きやすくなります。

実は、初期の腎臓病の猫にはほとんど症状がなく、体調や行動に変化が見られることもほぼありません。だからこそ気が付きにくく、様子がおかしいと感じたら腎臓の機能が失われてしまっていた…ということも多いようです。
まずは、猫の腎臓病について。次に、うちの子の状態について。順番に知っていくことで、これからどんな対策をしてくかを獣医師さんなどと一緒に、考えていきましょう。

腎臓病が気になる猫の食事選びについては、tamaのコンサルティングサービスでもご相談をお受けしています。

最近判明した、猫の腎臓の機能が低下しやすい原因の一つ、AIMタンパクについて

さて、少し前に猫と暮らす方の間で大きな話題になったのが「AIMタンパク」と呼ばれるタンパク質。
このAIMタンパク、実は猫の腎臓病が起こるメカニズムに関係しているのでは…ということで、大きく注目されました。
なんと、AIMタンパクは腎臓のフィルター機能のお掃除をすることが分かったのです。
腎臓のフィルターが上手く働かないことで、腎臓の機能が低下していくのですが、フィルターの詰まりの原因となっている邪魔な老廃物を取り除くことで、再び腎臓は本来の役割をある程度取り戻すことができるというわけです。
人間や他の動物では、このAIMタンパクが定期的に働いて腎臓のフィルターをお掃除しているのです。

猫も、体内にAIMタンパク自体は持っているのですが、それが腎臓のフィルター詰まりの時に上手く働かないようなのです。

逆をいえば、きちんと働くことができる形のAIMタンパクを取り入れることさえできれば、腎臓のフィルター詰まりを対策できるのでは!ということで、現在も様々な研究が続けられています。
少しでも早く、AIMタンパクについての研究が進み、猫の治療にも役立てられる…、そんな日が来たら猫たちはもっと長く、健康的に過ごせるようになると多くの方々が期待を寄せています。(もちろん、tamaもです)

ちなみに、現在開発が進められているAIMタンパクを利用したお薬は、血液の中に注射するタイプのものや点滴タイプ。これは血液の中を通って腎臓にAIMタンパクを届ける必要があるからです。食べ物やサプリメントにAIMタンパクを入れたとしても、消化吸収の段階でアミノ酸に分解されてしまいますので、目的としている働きは難しいと考えられます。

もっと詳しくAIMタンパクについて知る

*1  猫で腎臓病が多発する原因を解明?!AIMタンパクとは?

おわりに

今回は、猫に多い腎臓病について、そして深く関係しているリンについて改めてご紹介いたしました。
高齢の猫は徐々に腎臓の機能が低下していく、ということは前提となっていますから、定期的な検査を行い、動物病院などで相談をしながら食事の内容を見直すきっかけにしてください。また、現在では初期の腎臓病でもリンを制限することが推奨されています。猫の腎臓の状態をしっかりと把握することが、どんな食事を与えていくのかの判断のためにも重要となります。