• コラム
  • 調査隊レポート

2025.05.08

猫にイカは危険?与えてはいけないと言われる理由[#調査隊レポート]

猫にイカは危険?与えてはいけないと言われる理由[#調査隊レポート]

猫は人が食べても問題ない食事でも体に悪い影響をおよぼす可能性があるため、与えてもいいものといけないものなどを区別する正しい知識が必要です。
それでは、タウリンやタンパク質などの猫の健康にも役立つ栄養素が豊富な海の幸である「イカ」は、猫に与えても良いのでしょうか。また、猫はイカを食べるとどうなるのでしょうか。
今回は、猫にイカは危険なのかについて、与えてはいけない理由などをご紹介します。

猫がイカを食べても大丈夫?

結論として、猫に生のイカを与えることは避けるべきですが、加熱されたイカであれば問題ありません。
加熱することで、イカに含まれる《チアミナーゼ》という酵素が不活性化され、消化への影響を避けることができます。
同様に、エビも《チアミナーゼ》を含んでいますが、加熱することで問題なく与えることができます

猫にイカを与えることが危険な理由

猫に生イカを与えることは危険

猫に生イカを与えることは危険

こちらでは、猫にイカを与えることが危険といわれている理由をご紹介します。

イカに含まれる成分と猫への影響

前提として、猫が生イカを食べたからといってすぐに重篤な症状におちいってしまうというわけではなく、徐々に症状が進行します。
特に問題となるのが、生イカの内臓などに含まれるチアミナーゼであり、チアミナーゼを摂取するとビタミンB1を壊してしまうのです。
また、チアミナーゼは魚介類やカニ、エビといった甲殻類にも含まれているため、生で与えないように注意しましょう。

ビタミンB1欠乏症のリスク

チアミナーゼによって体内のビタミンB1が壊されると、ビタミンB1欠乏症を引き起こしてしまいます。
体内のビタミンB1が欠乏すると、後ろ足がふらついてしまうなど神経症状を引き起こしてしまうことがあります。
また、疲労や筋力低下、歩行障害、視力障害、発作といった、さまざまな病気や症状を発症する可能性があるのです。

このことから、生イカを口にするとさまざまなリスクが生まれるため、与えない・手が届く場所に置かないようにしましょう。

特に、子猫やシニア猫は成猫と比較すると消化能力が低く、胃腸に負担をかけやすいため特に注意しなければなりません。

イカを食べると「腰を抜かす」のは本当?

昔から猫がイカを食べると「腰を抜かす」といわれていますが、これにはしっかりとした理由があるのです。
生イカの内臓には、猫の体内のビタミンB1を壊す「チアミナーゼ」と呼ばれる酵素が含まれており、ビタミンB1が欠乏すると下記のような症状を発症します。

・よだれが多くなる
・食欲が低下する
・ふらついて歩けなくなる

特に、最後のふらついて歩けなくなるといったことが、イカを食べると猫が腰を抜かすといわれる要因と考えられます。

生と加熱したイカの違いが猫の健康にどう影響するのか

市販のキャットフードやおやつを見てみると、成分や具材としてイカが含まれていることがあります。
猫の食事に含まれているイカは、チアミナーゼを分解できる温度に加熱処理が施されているため、先述した症状を発症しなくなっているのです。
チアミナーゼは酵素であり、酵素はタンパク質でできているため、加熱することで構造が変化し、ビタミンB1を壊す効果が失われます。エビに含まれるチアミナーゼも同様です。

まとめると、生イカはビタミンB1欠乏症や消化、過剰な塩分摂取が課題となり、加熱したイカはビタミンB1欠乏症の心配が無くなるといった点が異なります。

【関連記事】これって、猫が食べても大丈夫?カニ&エビ編

猫がイカを誤飲・誤食した場合の対処法

猫が生イカを誤飲したら動物病院へ

猫が生イカを誤飲したら動物病院へ

家族が目を離したスキや、誤って生イカを与えてしまった場合は、すぐに獣医師の診療を受けましょう。
先述の通り、生イカを食べてしまってもすぐに重篤な症状が現れるわけではありませんが、時間が経つにつれて徐々に異常が見られることがあります。
動物病院では血液検査や催吐・摘出処置のほか、症状によっては点滴や投薬を行い、ビタミンB1欠乏症などの症状を緩和・治療します。

家庭内であれば、もしも生イカが猫の口に残っていた場合、すぐに取り除いてあげましょう。
飲み込んでしまっている場合でも、背中を叩いたり、無理に吐き出させようとしたりすることは避けてください。
診療を受ける際に参考となるため、いつ・どこで・どれくらいの生イカを食べたのかを控えておき、動物病院に判断を仰ぎましょう。

おわりに

今回は、猫がイカを食べてはいけない原因と、食べてしまったときの対処法をご紹介しました。
イカのなかに含まれるチアミナーゼという酵素が猫の体内のビタミンB1を壊してしまい、欠乏症におちいってしまいます。
加熱済みのイカに含まれるチアミナーゼはビタミンB1に対する効果を失いますが、生イカには含まれているチアミナーゼはビタミンB1を分解してしまうため、猫が口にしないようにすることが対策となります。
猫が生イカを口にしてしまった場合、早めに獣医師の診療を受けましょう。