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2020.12.24

スウェーデンのクリスマスには、猫のパン。不思議な世界のクリスマス。

スウェーデンのクリスマスには、猫のパン。不思議な世界のクリスマス。

本日はクリスマスイブ。色々あったけれど、早かった一年も、もうそろそろ締めくくり。皆さまと猫たちにとっては、今年はどんな1年でしたか?
本日は年の瀬を彩る読み物として、世界のクリスマスの過ごし方の中から、スウェーデンで見つけた猫の名前を持つパンと、その由来についてご紹介します。

スウェーデンのクリスマスの過ごし方。

■クリスマスまでのカウントダウン

クリスマスといえば、キリスト教を開いたイエス・キリストが誕生した日、ということをご存知の方も多いと思います。キリスト教が根付いているヨーロッパなどの地域では、一年で最も重要なお祭りであるクリスマスに向けて、人々はさまざまな催し物をしたり、準備をしたりします。

その中のひとつが、アドベントと呼ばれるもの。アドベントとは、クリスマスまでの日数をカウントダウンする期間で、アドベントカレンダーと呼ばれる特別なカレンダーを作り、クリスマスまでの日数を指折り数えるそうです。
小さな子供向けのアドベントカレンダーには仕掛けがあって、日付の部分をめくると小さな箱が作ってあり、その中に小さなお菓子やオモチャを入れてあるものも。大人も子供もワクワク気分を高めながらクリスマスを待ち望んでいるのです。

 

■スウェーデンのクリスマスの過ごし方

そんなクリスマスアドベントの期間に、北欧の国、スウェーデンではアドベント・フィーカ(Advent Fika)というものを行います。
フィーカは、スウェーデン伝統のお茶やコーヒーを楽しむブレイクタイムのことで、日常的に取り入れているものだそうです。
しかし、アドベントの期間に開かれるアドベント・フィーカはちょっと特別。コーヒーや紅茶だけではなく、ワインやケーキ、そして猫をイメージしたパン、ルッセカット( Lussekatter)を用意して、親しい人たちと語り合うのだそうです。

 

ルッセカットってどんなパン?

スウェーデンのクリスマスの準備に欠かせないルッセカットですが、このパンの名前を訳すとLusse(聖ルシアの)katter(猫)という意味になります。
コロン、としたS字型にねじられたパンにはたっぷりのバターとサフランが練りこまれていて、丸めたパンの中心にレーズンなどのドライフルーツを飾ります。サフランで色付けされたルッカセットは、焼きあがるとツヤツヤして黄金色になり、とても美しいパンになるそうです。
お店で買うこともできますが、それぞれの家庭で焼き上げることも多いようで、家によってこだわりのレシピもあるようです。

 

■猫のパンの謎

たしかに似ているような…?

たしかに似ているような…?


なぜ、このパンが猫(katter)と呼ばれるようになったかは、諸説あるようです。
「見た目が猫の尻尾に似ているから。」「寒くて丸くなった猫みたいだから。」という見た目によるものが多いようです。
たしかに、くるんと巻いたパンの形は、甘えてくるときの猫の尻尾や、丸くなって寝ている2頭の猫の姿にも通じるものがありますよね。

ちょっと変わったものでは、「ドイツの伝統的な悪魔の猫パン(というパンが、昔ドイツにあったそうです)から名前が付けられた」という考え方もあるそうです。悪魔の猫パン、悪魔的に病みつきになるくらい美味しいパンだったのかなぁ…なんて想像も膨らみます。

 

■聖ルシアってどんな人?

聖ルシアという方は、キリスト教の聖人で、祈りの力で母親の病気を治したり、視力を失っても周囲を見る力を持っていたといわれています。
もともと、北欧ではキリスト教がやってくる前から12月には『光の祭り』と呼ばれるお祭りが行われていたそうですが、このお祭りと聖ルシアの伝説(視力を失っても光を見失わない)が結びつき、さらにクリスマスと光の祭りが合体して、現在の北欧のクリスマスの形に繋がっていったと考えられているそうです。

 

■ 猫のパンは幸せの象徴

スウェーデンのクリスマスアドベントでは、小さな女の子が聖ルシアの衣装を着て、人々にルッセカットのパンを配るのが伝統になっているそうです。
スウェーデンではサフランの黄金色は、幸福の象徴とも考えられているそうです。そしてさらに、丸まった猫の尾やスヤスヤ眠る猫の姿からは、「幸せ」や「安らぎ」を感じますよね。ルッセカットのパンは、人々の幸福と穏やかな暮らしを願う思いが込められているそうです。

DOG's TALK

日本でも、日光東照宮の「眠り猫」が平和の象徴としてモチーフになっています。眠り猫も「猫がスヤスヤ幸せそうに眠れるくらい、穏やかな日々」を願って作られたといわれています。
日本から遠く離れたスウェーデンのルッセカットと、日本の眠り猫。遠く離れた場所でも同じように猫が「平和」や「幸せ」の象徴として使われているのは不思議で、でも猫好きとしてはなんだか嬉しく感じますよね。

おわりに

本日はスウェーデンのクリスマスに登場する猫のパン、ルッセカットについてご紹介しました。
年の瀬には、スヤスヤ眠る猫の姿に癒されて穏やかに過ごしたいですね。
今年一年も、私たちにたくさんの幸せを運んでくれた猫たちに感謝しながら、皆さまもお体にはお気をつけて良いお年をお過ごしください。