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2024.03.28

猫にとって必要?要注意?気になる"塩分"について正しく知ろう

猫にとって必要?要注意?気になる

塩分が多く含まれる食事は健康によくない…そんな風に言われることがありますよね。
塩分に注意して猫に与えるオヤツやキャットフードを選んでいると思いますが、実際のところ猫にとって塩分は危険なものなのでしょうか?
猫の健康と塩分にはどのような関係があるのでしょうか?

今回は猫の健康と「塩分」の関係、そして塩分の主な成分である「ナトリウム」についてご紹介します。

「塩分」について知ろう

塩は科学的には"塩化ナトリウム"という化合物です。
塩素とナトリウムという化学物質が結合すると塩化ナトリウムという物質になり、これが塩味を感じさせています。

猫の体調に影響するのは塩=塩化ナトリウム…ではなく、主に「ナトリウム」の部分です。塩でなくても、ナトリウムをある程度まとまった量摂取すれば、体調に影響が出る可能性があります。
ナトリウムは塩化ナトリウムの形で摂取することがほとんどです。
ナトリウムの主な働きは、体内で血液の量や細胞と細胞の間を満たす細胞間液と呼ばれる水分の量をコントロールするほか、体内の酸とアルカリのバランスを調整するなどです。
また、神経伝達にも関与しています。
肉食動物である猫の主食である肉などには、野菜などと比較すると多くナトリウムを含む塩分が含まれているため、ある程度までは上手く排出する機能が備わっていますが、過剰な状態が続くとさまざまな影響が出る可能性があるといわれています。

猫はナトリウムのコントロールが重要って本当?

猫はナトリウムを制限する必要がある、という印象を持っている方は多いと思います。でも実は、猫の栄養基準では「ナトリウムの上限」は設けられていません。
人間ではナトリウムを摂取すると血圧が上がるため、腎臓や心臓などに影響があるのですが、猫はナトリウムをある程度摂取しても、血圧が変化しないことが分かっています。

これは、健康的な猫はナトリウムを過剰に摂取しても、上手く排出することができると考えられているためです。純粋な肉食動物である猫は、獲物を丸ごと食べていました。この時、血液や内臓などに一定量のナトリウムが含まれているため、排出する機能自体は備わっています。
この時、健康的な猫の体内では、血液中に過剰になったナトリウムを、腎臓でろ過して尿から排出する処理が行われています。

しかし、腎臓の機能が低下している猫ではどうでしょうか?

■ 腎臓の機能が低下している猫はナトリウムに要注意

猫はシニアになると腎臓の機能が低下する慢性腎臓病になる子が多くなるといわれています。高齢になると徐々に腎臓の機能が低下していくので、高齢の猫ではナトリウムを排出する能力も落ちることになります。
そのため、腎臓病のステージによっては、タンパク質の制限と合わせてナトリウムの制限が必要になる場合もあります。

また、心臓に不安がある猫も同様です。
塩分に含まれるナトリウムを摂取すると体内に水分を溜める性質があるといわれていて、体の中を流れる血液量が増えます。
過剰にナトリウムを摂取すると多くの血液を循環させるため、心臓はより強い力で動く必要が出て、負担がかかります。
心臓が弱っている場合は、心臓に必要以上の負担を与えないようにこちらも塩分(ナトリウム)の量に注意するように指導されることが多いようです。

注意したいのは、塩分自体が腎臓や心臓の病気の原因になるというわけではないことです。
すでに腎臓や心臓にトラブルがある状態の猫の負担を減らすために、ナトリウムの制限が必要な一方で、健康的な猫にとってはある程度の塩分は必要ですので、これらの病気が分かっていたり、動物病院で注意するように指示を受けているわけではないのであれば、適度に塩分を取り入れることが健康につながります。

人間の食べ物&療法食に気を付けよう

猫の必須栄養素の基準となっている、AAFCOが定めた基準値では、ナトリウムの必須量は以下の通りとなっています。

  • 幼猫・成猫いずれも0.2%以上/100g

上限値が定められていないとはいえ、猫がわざわざ高ナトリウムの食事を摂取することにメリットもありません。(※実は猫の嗜好性にナトリウム量は影響しないことが分かっています)
例外的に、膀胱炎や尿路結石などのオシッコトラブル用療法食の中には、ナトリウム量を多めに調整することで飲水量を増やす(喉が渇きやすくなるので)ものもあります。もちろん、このフードは腎臓や心臓に不安がある猫にとっては避けるべき食事となります。
このように、療法食は特定の病気の治療のために使用される食事で、獣医さんの指導のもと与えることが基本です。良かれと思った療法食が、かえって猫の体調を崩す原因になることもありますから、慎重に判断するようにしてくださいね。

塩分に関していえば、栄養基準を満たしている総合栄養食を与えているのであれば、人間用の食事を欲しがったりしても、与えないほうが無難と言えそうです。

猫が人間用のハムやマヨネーズ、チーズなどを食べたがることもあると思いますが、腎臓や心臓に持病がある猫やシニア猫では、体調を崩す可能性がありますので、慎重に見守るようにしてください。

おわりに

今回は猫の健康と塩分の関係についてご紹介しました。
「猫に塩分はよくない」という人が多いと思いますが、実際のところは塩分を過剰に与えてもメリットがない、というほうが正確と言えそうです。とはいえ、腎臓や心臓に不安がある猫にとっては要注意の成分ではありますので、これらの病気が分かっている時は人間の食事などを欲しがった時などに注意してください。