体内で合成することが出来ず、食事から摂取することが必要な「必須アミノ酸」というものがあります。基本的には、これらの必須アミノ酸は総合栄養食の基準を満たしているキャットフードを食べさせていれば不足することはありませんが、それぞれに大切な役割を持っています。

今回は、必須アミノ酸の中でもとくに「オシッコトラブル」にも関連する成分といわれている、メチオニンについて調査してみました。

メチオニンってどんなアミノ酸？

そもそもアミノ酸とは、タンパク質を構成している分子の一種で、その組み合わせの配列によってさまざまなタンパク質を作っていく、いわば部品のような物質です。
それぞれのアミノ酸は構造や働きに違いがありますが、メチオニンはその構造の中に硫黄を含む、含硫アミノ酸と呼ばれるタイプのアミノ酸です。

メチオニンは、肉や魚や卵などの動物性タンパク質に多く含まれています。動物性タンパク質以外にも、小麦などの粘り気成分でもあるグルテンにも含まれています。

猫にとっては必須アミノ酸のうちのひとつで、体内で作ることが難しいため、食事から一定量を摂取する必要があります。
総合栄養食のキャットフードを食べていれば、不足することはあまりありません。

メチオニンの体内での働き

メチオニンはほかのアミノ酸と同様、体内に取り込まれてさまざまな働きをします。
その中には、ストレスや病気などで増えてしまい、細胞の老化に繋がるといわれている活性酸素を取り除く働きもあります。
メチオニンは細胞の表面を覆う細胞膜であるリン脂質の生成に必須の栄養であることも分かっていて、細胞を常に健康的で若々しい状態で維持するためにも必要不可欠な栄養となっています。

また、メチオニンは被毛の健康的な合成にも必要な栄養素です。含硫アミノ酸は、ケラチンと呼ばれる被毛などを作る材料となる物質を作るために使用されるので、メチオニンが不足すると猫の被毛や皮膚の健康維持に影響する可能性があります。

メチオニンはなぜオシッコトラブルに役立つの？

おわりに

本日は猫にとって必須のアミノ酸の1種、メチオニンについてご紹介しました。メチオニンは体内で代謝され、細胞の健康維持や活性酸素の除去のほか、皮膚や被毛を作る際にも使用されています。
そして、猫に多いオシッコトラブルであるストルバイト結晶に関係する尿pHの変化にも関係しています。メチオニンを代謝する際に出る副産物はアルカリ尿の状態から尿を酸性に傾け、中性に近付ける働きがあります。
猫のオシッコトラブルを予防するためには、尿pHのコントロールも一つの方法になりますが、正しく適量を使用することが大切です。アルカリ尿の状態が続く猫にはメチオニンを含むサプリメントは効果的ですが、中性～酸性の尿の猫には逆効果です。
オシッコトラブルの予防や健康維持のためにメチオニンを含むサプリメントを使用するのであれば、猫の尿pHをこまめにチェックしながらにしてくださいね。