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2023.05.25

見落とし注意!猫の熱中症のサインをまとめてみました

見落とし注意!猫の熱中症のサインをまとめてみました

暑くなってくると、猫もぐったりと元気がなくなったり、食欲が落ちたり。夏バテのような症状を見せることが出てきます。
暑さがさらに厳しくなると、注意が必要になってくるのが「熱中症」ですが、猫が熱中症にならないためには、早めにそのサインに気が付くことも大切。
今回は、猫の熱中症の症状と、早めに気が付きたいサイン、そして応急処置についてご紹介いたします。
本格的な暑さが襲う前から、しっかり準備をしておきましょう。

DOG's TALK

監修者:tamaの獣医さん 菱沼獣医師

監修者:tamaの獣医さん 菱沼獣医師

獣医学部を卒業後、動物病院での臨床・栄養指導を経験した後に公的機関で獣医師として勤務。現在はtamaのアドバイザー、商品開発などに携わる。中型犬、小型犬と一緒に暮らしていますが、猫のことも大好きです。

猫の熱中症について知っておいてほしいこと

暑くなってくると多くなってくるのが猫の熱中症です。
猫や犬の熱中症は、動物病院に運ばれてくる段階ですでに病態が進行していることが多く、手遅れになることも多い病気です。

重篤な症状があった場合、1度の通院では完治せず、入院や複数回の通院が必要になったり、後遺症が残ることも。

一旦は落ち着いても、しばらくは入院し経過観察し、症状や臓器の状態に合わせて治療を継続する必要があります。その後も定期的な通院を行ったり、後遺症への処置を行うこともあるので、想像以上に長い期間の通院や入院が必要になる可能性も。

猫の熱中症は腎臓にも大きなダメージを与えます。

注意が必要なポイントとして、重度の熱中症は腎臓にも大きな負担となるということです。熱中症が進行すると腎臓の機能が破壊されてしまうケースもあります。
特に注意が必要なのは高齢の猫です。加齢による認知機能の低下に伴い、暑さを感じにくくなるシニア猫も多くいます。また、体の自由が利かずに涼しい場所に自主的に避難することが難しいこともあるので、十分に注意してあげてください。

猫の熱中症の症状

猫が熱中症になったときに、多くの飼い主さんが気が付く症状には以下のようなものがあります。


・嘔吐
・下痢
・震え
・ふらつき、上手く歩けない
・意識が混濁しており反応がない
・けいれんなどが見られる

実は、これらの症状が見られるときはもうすでにかなり重度の症状が出ていることになります。
熱中症の症状が出る前に、少しでも早く猫が見せている「暑い」のサインに気が付くことが大切。
次からは、猫が見せる暑がっているときのサインをご紹介します。

猫が暑がっている、熱中症の前兆・サインまとめ

猫が暑がっているとき、熱中症の症状は出ていないけれど、要注意のサインとして見せるものには以下のようなものがあります。これらの行動が見られたら、室温を見直して少しでも涼しい場所に猫を連れて行ってあげてくださいね。


・犬のようにパンティングをする
・食欲がない
・動きや反応が鈍くなる
・グルーミングの時間が長くなる
・ヘソ天で過ごしていることが多くなる


猫は基本的に口呼吸をしない生き物ですが、まるで犬のように舌を出して「はっはっ」と口呼吸(パンティング)をしていたら、要注意。熱中症から、呼吸困難になっている可能性もあります。

猫が熱中症のサインを見せたときの応急処置

猫の熱中症のサインに気が付いた時、家庭でできる応急処置をご紹介します。室温の管理と合わせて、いざという時のために使えるものを準備しておくと安心です。

■涼しい場所に連れていく

まずは猫をエアコンなどがきいている涼しい部屋に連れていくことが大切です。直射日光が当たらない涼しい場所で、しばらく様子を見て、呼吸が落ち着くのを待ってください。

■保冷剤などを使い体を冷やす

食品などに使用する保冷剤をタオルで包み、首の回りに巻いてあげることも効果的です。
また、保冷剤が手元にない時には、濡らしたタオルをかけて扇いで風を当ててあげることで代用できます。
内ももや脇の下も冷やしてあげることができれば、より効果的です。

■呼吸が落ち着いたら水分を摂取させる

猫の呼吸が落ち着いたようであれば、無理のない範囲で水分を摂取させましょう。水分量が多いウェットフードやスープ、ミルクなどを飲ませるのもオススメです。

猫にとっての適温は25~27℃を目安に

猫の熱中症についてご紹介してきましたが、猫が過ごしやすい室温はどれくらいなのでしょうか?
室温管理においては、夏の間は25℃前後が目安とすることが多いです。意外と高いかも、と思われた方が多いかもしれませんね。
猫はもともと砂漠地帯で暮らしてきた生き物で、快適に感じる室温は人間と近いのです。
とはいえ、日差しが入る場所と日陰では体感温度も大きく変わりますし、猫が長毛なのか短毛なのか、鼻がぺちゃっとした短頭種なのかによっても違いますので、ひとつの指標として考えてください。

また、肥満体系の猫は一般体型の猫ややせ型の猫と比べて、熱中症になりやすい傾向にあります。猫はそもそも放熱する手段が少なく、熱をため込みやすい上に、脂肪でさらに熱がこもりやすくなっているためです。

獣医さんからひとこと

猫の熱中症はそれ自体で命を落とすリスクがあるだけではなく、腎臓にも大きなダメージを与える可能性があります。
普段は食事に気を付けて、シニアになったら定期的な健康診断を受けて…と、猫の腎臓の状態を気にかけている方は多いのですが、熱中症になってしまうことで大きなダメージを受けることになるケースもあります。

また、高齢の猫では暑さを感じにくくなります。人間でもそうなのですが、高齢になると体温の調整機能や感知する機能が鈍くなる傾向があります。健康的な猫であれば、自発的に涼しい場所に移動してくれるのですが、高齢猫ではずっと暑い場所にとどまってしまったり、移動するにもできなかったりしたことから、熱中症になってしまうことも。
それから、腎臓の機能が低下している猫では脱水症状が出やすい傾向にあり、より熱中症のリスクが高くなります。

高齢の猫が過ごす部屋の温度は特別気を遣って管理することが必要だと思います。

おわりに

今回は、夏に気を付けたい猫の熱中症についてご紹介いたしました。熱中症は、命にかかわるだけではなく、腎臓への重篤なダメージなど大きな後遺症を残すことになるケースもあります。猫に留守番してもらう場合は室温に気を付けて、様子がおかしいと感じたらいち早く気が付くことが大切です。
寒すぎてもいけませんので、猫が自分で快適な温度の場所でくつろげるように、部屋ごとに温度を変えたり、必要に応じて暖かいマットを置くなどの工夫を取り入れてみてください。