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2020.04.02

猫の下部尿路疾患と尿pH、食事の関係について知ろう。

猫の下部尿路疾患と尿pH、食事の関係について知ろう。

猫に多いトラブルのひとつがオシッコに関するもの。「下部尿路疾患」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。この言葉は、猫の尿道や膀胱などに関連する病気の総称で、膀胱炎やストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石などが含まれています。
これらの病気と関係しているとされているのが、猫の尿pHです。猫の尿pHについて正しく知ることは、健康管理に役立つはずです。今回は、猫の尿pHの管理に関する情報をまとめてみました。

下部尿路疾患と猫の尿pH値の関係

尿pHとは、その名の通りオシッコのpH値が酸性/アルカリ性どちらに近いかを表す指標です。
一般的に、ストルバイト結晶(ストルバイト結石)やシュウ酸カルシウム結晶(シュウ酸カルシウム結石)などは、尿pHがアルカリ性や酸性に傾いた状態が長く続くことでできやすくなるといわれています。尿のpHがアルカリ性の状態が長く続くとストルバイト結晶ができやすいということをご存じの方は多いですよね。アルカリ尿の状態が続くと、膀胱の中で雑菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎も引き起こされやすくなるので注意が必要です。下部尿路疾患の予防としては、この尿pHを適正に維持することがとても大切になります。

では、なぜ猫の尿pHはどちらかに傾くということが出てくるのでしょうか?

シュウ酸カルシウム結晶・シュウ酸カルシウム結石の原因について

*1 シュウ酸カルシウム結晶とシュウ酸カルシウム結石は、尿pHの値だけではなく食事に含まれるカルシウムのバランスなどによっても起こりやすくなるといわれており、尿pHだけが主要な原因ではないともいわれています。

消化液の影響で尿pH値は変化する

猫の尿pH値は食事のあとすぐにアルカリ性に大きく傾き、その後徐々に酸性に戻っていく、といわれています。
まず、猫がご飯を食べると食事を消化吸収するために、強い酸性を持っている胃液が分泌されます。胃液で溶けた胃の内容物は当然酸性なのですが、小腸で栄養を吸収させるために膵臓(すいぞう)からはアルカリ性の膵液(すいえき)が分泌されます。

これらの消化液や食べ物に含まれているミネラルの影響を受けて、尿pHは著しく変化していきます。

一般的には、食後に遊んだり適度な運動をすることによって血液中に乳酸が増加したり、睡眠時に尿pHを酸性にする働きによって、猫の尿は膀胱の中で徐々に弱酸性に傾き、安定するといわれています。
食後すぐの状態で大きく変化した尿pHが、徐々に適正値に戻っていくのが理想です。猫の健康管理のためには、尿pHを適正値に戻すことができているか?が大切になってきます。

食事の内容によって尿pH値は変化する

私たち人間や猫が食べる食べ物には「酸性食品」「アルカリ性食品」と呼ばれる分類があります。これらの食品を食べることで、尿pHも変化します。
では、この酸性食品・アルカリ性食品はどのように分けられているのでしょうか。

酸性食品/アルカリ性食品は、それぞれの食品に含まれているミネラルが酸性なのか、アルカリ性なのかで決められています。
酸性を示すミネラルには、塩素、リン、硫黄などが含まれ、アルカリ性を示すミネラルには、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどが含まれています。これらのミネラルが酸性、アルカリ性どちらが多いかによって分類されているというわけです。
勘違いしやすいのですが、酸っぱい食品=酸性食品、苦味がある食品=アルカリ性食品とは限りませんので、注意してくださいね。

猫の主食となるキャットフードでは、もちろんこれらの食品を組み合わせることで、猫の尿pH値が適正に近付くように設計されています。
ただ、猫にオヤツを与える時には、与えすぎてしまうことで尿pHが変わってしまうこともありますので、注意が必要です。
特に食事のあとに尿pHに影響するオヤツを大量に与えてしまうと、尿pH値が正常に戻る妨げになるかもしれません。下部尿路疾患に気を付けるためには、オヤツの量や与えるタイミングにも注意してみてくださいね。

■ 酸性食品とアルカリ性食品の1例

酸性食品:卵黄、玄米、マグロ、鶏肉、サーモン、豚肉、牛肉、ソラマメ、白米

アルカリ性食品:コンブ、インゲン、シイタケ、ホウレン草、大豆、バナナ、ニンジン、イチゴ、ジャガイモ

これらの食品は一例です。どんなものでもそうですが、オヤツの与えすぎは控え、適量を楽しくが基本です。尿pH値が偏り、結石などができてしまう時には、極端に「酸性」あるいは「アルカリ性」に食事内容を変更するのではなく、今までオヤツなどを与えすぎていないかをチェックするようにしたいですね。

おわりに猫の健康維持のために

猫のオシッコトラブル(下部尿路疾患)を避けるためには、猫の尿pHの数値を継続して調べることがオススメです。猫のオシッコの尿pHの数値を自宅でチェックできる便利なものもあるので、過去にオシッコトラブルに悩んだことがある場合はぜひ活用してみてくださいね。
尿pHの数値を測るなら、食事を食べた直後は避け、朝起きてから最初にした尿で調べることがオススメです。食事と食事の間、十分に時間をあけてから調べるようにしてくださいね。

猫の健康的な尿pHの数値は、pH6前後だといわれています。猫の尿pHが安定しなかったり、どちらかに傾いている状態が続いているようであれば、サプリメントの力を借りたり、動物病院で相談してください。

猫のオシッコトラブル予防の必須アイテム

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ロールpHチェッカー(猫用)

自宅で精密なpHチェックを行うことができるテープ型pHチッカー。1回に3cm程の使用で約120回程度使えます。尿pHは食後胃酸の影響でアルカリに傾くため、食前の尿でチェックすることをお勧めします。

●用途:猫のケア用品
●サイズ:5mm×4m

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