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2022.06.16

猫の体重管理に役立つって本当?L-カルニチンについて調べてみました[#調査隊レポート]

猫の体重管理に役立つって本当?L-カルニチンについて調べてみました[#調査隊レポート]

キャットフード選びにおいて、重視している基準は人それぞれ。皆さまはどんなことを基準にフード選びをしていますか?

信頼できる原材料を使用しているか、栄養バランスが整っているか、粒のサイズや製造国など…いろいろなポイントがあると思いますが、キャットフード選びをするうえで「この成分が入っているなら、こっちの方にしようかな」と言った感じで、特定の成分を基準にしている人もいるかもしれません。

でも、キャットフードに含まれる成分の中にはあまり聞きなじみがなく、分かりにくいものも多くあります。成分だけ聞いても、「どんなものなのかよく分からない…」「どのように猫の体調に影響するの?」「本当にうちの子にあっているの?」と疑問も出てきますよね。

そこで、今回はtamaのスタッフがフードの特長のひとつとなる成分の中から、L-カルニチンについてご紹介します。なぜ体重管理に役立つといわれているのか、その理由と猫の体重管理に役立てる時のポイントについてもご紹介いたします。

L-カルニチンってどんな栄養素?

L-カルニチンは赤身の肉、魚肉、鶏肉、牛乳などの動物性食物に豊富に含まれている成分です。健康的な猫では、アミノ酸を材料としてある程度の量を体内で再合成することができますが、それは必要量の一部といわれていて、食事から一定量を摂取することが必要です。
肉の色が赤ければ赤いほど、L-カルニチン含有量が高くなる傾向があるそうです。キャットフードなどに使用される食材の中で、よりL-カルニチンが多く含まれるといわれているのが、ラム肉です。エネルギーを作るために重要な働きをしており、体を動かす筋肉や心臓を動かす筋肉に多く存在しています。

L-カルニチンの主な働きは、脂質をエネルギーに変換する際のサポートです。
脂質は消化の過程で脂肪酸に分解されますが、脂肪酸をエネルギーに変換する作業は細胞の中のミトコンドリアという部分で行われます。
しかし、脂肪酸だけでは細胞膜を通ることが出来ず、細胞内のミトコンドリアでエネルギーを作ることができません。
ところがL-カルニチンと脂肪酸が結びつくと、脂肪酸は細胞膜を通り抜けてミトコンドリアでエネルギーを作ることが出来るようになります。
L-カルニチンは、脂肪酸をエネルギー源として使用することができるように、脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ重要な運搬係となる成分なのです。

L-カルニチンは、必須アミノ酸であるリジンとメチオニンから体内で再合成もできますが、再合成能力は加齢とともに徐々に低下していくため、食事から一定量を摂取する必要がある成分でもあります。

どんな時に意識する?猫の体重管理とL-カルニチンの関係

脂肪のエネルギー代謝に影響するL-カルニチンは、一般的に脂肪の燃焼を意識したい時に取り入れることが推奨されています。肥満気味で体重管理が必要になった猫はもちろん、加齢に伴い徐々にL-カルニチンの再合成能力は低下していくので、高齢になった猫、避妊・去勢手術後に体重が増えてしまった猫などは、取り入れてみるのも良いと思います。

また、中には「小食なのになぜか太りやすい」という子もいます。そういった猫は、小食であるがゆえにL-カルニチンそのものや、L-カルニチンを体内で再合成するために必要なアミノ酸の摂取量が少なく、十分に脂肪をエネルギーとして代謝できていない可能性もあるそうです。
オヤツが好きで、総合栄養食の基準を満たしたキャットフードはあまり食べてくれないという猫でも、栄養バランスの乱れからアミノ酸が十分に摂取できず(参考:アミノ酸の桶の法則について)、エネルギー代謝がスムーズにできていない可能性もあります。

■ こんな猫にオススメ!

・肥満傾向の猫
・避妊去勢手術の後に太りやすくなった猫
・シニア猫
・小食、偏食の猫

L-カルニチンを効果的に!猫の体重管理のコツ


ここまでL-カルニチンの役立つ働きを中心にご紹介してきましたが、もちろん猫の体重管理のために取り入れる際には注意点もあります。

まず、L-カルニチンは一定量の筋肉がないとなかなか効果を発揮しにくいということです。L-カルニチンという成分自体が筋肉の細胞の中で活躍するものですから、そもそも筋肉量が少なくなっている猫の体では十分に活躍することができません。
L-カルニチンを与えるだけではなく、合わせて猫の筋肉量を維持するための良質なタンパク質を与えたり、適度に増やすための運動も合わせて行うことで、より効率的に脂肪をエネルギーとして代謝することができるようになります。

年齢が若い猫であれば、L-カルニチンを含む食材を使ったキャットフードに、遊びの要素を取り入れた運動を組み合わせることが効果的となります。
シニア期の猫では、体調と相談をしながら無理のない範囲で運動を取り入れつつ、L-カルニチンを食事で取り入れてみてくださいね。

おわりに

今回は、L-カルニチンについて調査した結果をご紹介しました。L-カルニチンは猫や人間の脂質の代謝において重要な役割を持っている成分です。
高齢になると、どうしてもL-カルニチンを体内で作る能力が低下しやすいので、体内で減少したぶんを補うように意識的にL-カルニチンを含む食材を取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、猫の体重管理にL-カルニチンは役立ちますが、効果的にするためには良質なタンパク質を摂取させつつ、運動量を意識して筋肉を維持することも非常に重要になります。
L-カルニチンを含むフードに変えたからといって、それだけで体重管理を上手く行えるわけではありません。猫の体重管理をサポートする成分のひとつ、家族ができるひと工夫のなかのひとつとして考えるのがよさそうです。
猫の体重管理やダイエットはなかなか効果が出にくく、難しいものです。なかなかうまく行かない…という時など、迷ったらL-カルニチンを含む食事に切り替えてみても良いかもしれませんね。