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2023.01.05

MCTオイル(中鎖脂肪酸)の効果や注意点も解説[#調査隊レポート]

MCTオイル(中鎖脂肪酸)の効果や注意点も解説[#調査隊レポート]

人間の健康に関する情報でも注目を集めているキーワードのひとつに「MCTオイル(中鎖脂肪酸)」があります。
実はこのMCTオイル、人間だけではなく猫にとってもメリットがたくさん。
上手く取り入れることができれば、猫の健康維持に非常に役立つ成分のひとつらしいのです。
そこで、tamaのスタッフがどんな時に役立つのか、どのような働きが期待されているのか、どうやって取り入れるのかなど、基本的なあれこれを調査してみました。

MCTオイル(中鎖脂肪酸)ってどんなもの?

まず、MCTオイル(中鎖脂肪酸)とはどんなものなのでしょうか?

今、人間用の健康食品などで活用されているMCTオイルとは、ココナッツオイルやパームオイルなどの植物性のオイルに含まれる中鎖脂肪酸油だけを抽出した食用の油を呼ぶことが多いようです。

■脂肪酸とはどんなもの?

身近な言い方に変えると主にオイル=油を構成するものが、脂肪酸です。EPAやDHAに代表されるオメガ3脂肪酸がありますが、これも脂肪酸の一種です。脂肪酸はどのように他の成分と結びついているかによって、特性や体の中での反応、使われ方が変わります。

普通の脂肪酸と何が違うの?

MCTオイルを構成する主な成分である中鎖脂肪酸は、一般的な長鎖脂肪酸と比較して鎖が短い分、分解され体内で活用されるまでのプロセスが少なくなります。
一般的に、脂肪酸は小腸で吸収されたあと、一度リンパ管へと取り込まれ、そのあとに血管を通って肝臓に運ばれます。そこでエネルギーに代えられたり、体内のさまざまな器官で使いやすいように再合成されたりします。

MCTオイルの効果は?

MCTオイルには、下記のような効果があるといわれています。

・エネルギー源

MCTオイルは、一般的な植物油と比べ分子量が半分程度と短いため、素早く消化吸収され脂肪として蓄積される前に、エネルギーに変換されます。そのことから、人間の医療現場でも採用されているエネルギー源でもあります。

・健康への効果

脳に対してMCTオイルはケトン体の生成を促し、認知機能の向上やアルツハイマー病の予防も期待できます。
ほかにも抗菌・抗ウィルスにも作用するといわれており、免疫力の向上にも寄与するという可能性もあります。心血管疾患のリスク低減にも関連すると考えられており、さまざまな健康維持に役立つのではと日夜研究が続けられています。

・ダイエットへの効果

先述の通り、MCTオイルはケトン体の生成を促しますが、ケトン体は糖質制限ダイエットにも関係する物質。そのため、MCTオイルを効果的に摂取することでダイエットへの効果も期待されています。
また、満腹感を促進するとも考えられています。

■ 脂肪酸の種類について

脂肪酸にはいくつかの種類があります。
MCTオイルは飽和脂肪酸の中の中鎖脂肪酸に分類されます。
ここでは、脂肪酸の種類について説明いたします。

・飽和脂肪酸

エネルギー源となる脂肪酸。飽和脂肪酸はさらに、長鎖脂肪酸(バターや牛や豚などに含まれる)、中鎖脂肪酸(MCTオイルなどに含まれる)、短鎖脂肪酸(乳製品などに含まれる)に分類されます。常温だと固形になるのも特徴。

・不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は常温ではオイル状になっています。オリーブオイルやアマニ油など植物性の油に多く含まれており、これらは健康に良い影響を与えるといわれているものです。特に、心血管系の健康維持・改善や、悪玉コレステロールの低下といった効果が期待できます。

●脂肪酸の一覧

脂肪酸の種類と含まれている食品を一覧にしました。

■飽和脂肪酸
長鎖脂肪酸(牛や豚の脂、バターなど)
中鎖脂肪酸(MCTオイルなど)
短鎖脂肪酸

不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸
 └ オレイン酸(オリーブ油、菜種油など)
多価不飽和脂肪酸
 └ オメガ6脂肪酸
  └ リノール酸(ひまわり油、大豆油などの食物油)
  └ γ-リノレン酸(月見草油、ボラージ油、母乳など)
  └ アラキドン酸(レバー、卵黄など)
 └ オメガ3脂肪酸
  └ α-リノレン酸(アマニ油など)
  └ EPA(青魚など)
  └ DHA(青魚など)

猫の健康とMCTオイルの関係って?

他の脂肪酸とは異なる働きで、健康の維持に期待されてるMCTオイルは猫の健康にどのように役立つのでしょうか。
実際に、中鎖脂肪酸が活用されているサプリメントなどを見てみると、速やかにエネルギーに代わることから「緊急時の栄養補給」などの場面で活用されるものが多いです。食事が十分にとれない療養中の猫や、体力が落ちてしまっている猫、成長期の子猫、ハイシニア猫などに非常に有効だといわれています。少ない量でもしっかりとエネルギー補給をさせたい時、中鎖脂肪酸は心強い味方になってくれるかもしれません。

もちろん、人間と同様に速やかにエネルギーとして使われる特性から、適切な量を取り入れることで体重管理にも役立つ成分としても注目されています。ただし、中鎖脂肪酸とはいえ脂肪であることには変わりないので、過剰摂取は肥満につながります。

MCTオイルを摂取する際の注意点

MCTオイルを使用する際は、下記のポイントに注意しておきましょう。

摂取しすぎない、過剰摂取を控える
・下痢や腹痛を引き起こす可能性がある
・発煙温度が低いため、加熱しない

MCTオイルを過剰摂取すると、炎症や下痢、腹痛を引き起こすことがあるため、適量の摂取が重要です。
また、MCTオイルは発煙温度が低い性質を持ちます。そのため、揚げ物や調理油として使用するとすぐに煙が上がってしまうため、加熱する調理には向かないオイルです。仕上げにかけたり、ドレッシング代わりに使うなどがおすすめです。
人も猫も、MCTオイルを摂取する際には適量を摂取することが重要です。

おわりに

今回は、MCTオイルについてご紹介いたしました。
キャットフードの中にも、ココナッツオイルを使用しているフードもあります。こういったフードを通して、これまでも猫に中鎖脂肪酸を与えていたという方もいるかもしれませんね。改めてその働きを知ると、フード選びの際にうちの子に合っているかどうかの判断の材料になります。