ふと気が付くと、猫の目元や目の周りに茶色っぽかったり、赤っぽい汚れやシミが出ていたりすることがあるかもしれません。白っぽい被毛の子だと汚れが目立ち、気になっていたという方がいるかもしれません。
実は、これらの目元の汚れは「涙焼け」と呼ばれ、さまざまな原因が関係しています。
本記事では、涙焼けや、それ以外の目の周りの汚れ（目やにの原因、黒い目やにの注意点）など、猫の目の周りの対処法などについて詳しく解説します。

猫の涙焼けや目やにの種類は？黒い目やには大丈夫？

猫の涙があふれてしまう理由

■なぜ猫の涙があふれるの？

猫は感動したり、悲しかったりするときに涙を流す生き物ではありません。
猫の大きな目を保護したり、表面についた汚れなどを落としたりするために猫は生理的に涙を流しています。適量の涙は猫の健康維持のために必要なものなのです。
猫は涙を排出するために、鼻に向かって涙を流す鼻涙管という細い管を持っています。涙が本来必要な量より余分に分泌されたり、鼻涙管が詰まったりしてしまうと、この鼻涙管で流すことが出来る限界を超えて、目から溢れます。

こちらでは、猫の目から涙があふれるくらい涙が多く出てしまう理由をご説明します。

・目の中に被毛が入っている

長毛の猫などの場合は、伸びた毛が目の中に入ってしまい、刺激によって過剰に涙が出ている可能性があります。また、逆さまつげなどによって涙が出やすくなっているケースもあります。

・短頭種の猫の場合

短頭種の猫は鼻が低く、大きな目をしているので、まつげや被毛が目に入りやすいだけではなく、遺伝的に鼻涙管で排出することができる涙の量が少ない傾向にあります。鼻が低い(マズルが短い)タイプの猫(ペルシャ、エキゾチックショートヘアなど)と暮らしている方は目元の状態をチェックしてみることがお勧めです。

・目や目元の外傷

猫は大きな目を持っていますが、それだけにぶつかったりほかの猫との争いのなかで目や目元をケガしてしまったりするリスクも抱えています。
とくに同居猫がいる場合は、猫の目元が濡れていたら目元のケガの可能性がありますので、よく観察してあげてください。

・その他の体質的な問題

涙が多く出てしまう猫の場合、体質的なものが原因となっている場合が多く、涙の量を減らすことはなかなか難しい面があります。ハウスダストや花粉などが原因で涙の量が増えている場合は、掃除をこまめに行い、衛生環境を整えることで軽くなることがあります。

猫の食事が目やに・涙焼けに与える影響は？

猫の目やにから考えられる病気

猫の目やにからは、下記のような病気が考えられます。

■結膜炎

結膜炎は目にウィルスや花粉、ハウスダストなどが入り込むと発症する病気です。
「結膜炎」と聞くと人だけに発症するものだと考える人がいますが、実は猫や犬でも発症する病気なのです。
出たてのときは黄色がかっていますが、時間経過とともに黒くなることがあるため、異常なしと勘違いしてしまうことがあります。

■アレルギー

猫は目のなかに異物が混入した場合、猫は体外に排出しようという反応を見せますが、これがアレルギー反応です。目の場合は涙や目やにとして排出しますが、放置してしまうと症状が悪化してしまう可能性があります。
対策としては猫がアレルギー反応を起こす物質は遠ざけておくことが挙げられます。

■流涙症

流涙症（りゅうるいしょう）とは、目と鼻をつないでいる管が詰まってしまう病気であり、たくさん涙があふれる病気です。涙の量が多すぎると目の下が不衛生になってしまい、かぶれや目やにが多く発生することがあります。管の詰まりを取ることで解消できますが、場合によっては外科手術が必要になるケースも考えられます。

もしかしたら感染症かも　白～黄色っぽい涙

人間では、目の感染症がありますよね。代表的なものだとプールの時期などに流行しやすい結膜炎などがありますが、猫にも結膜炎などの感染症が存在しています。
結膜炎になった猫は、白～黄色がかった目やにが多く出るようになったり、涙が止まらなくなったりするといったこともあり、顔周りに汚れが見られるようになります。

また、猫の結膜炎は子猫に多く見られる「猫風邪」の症状としても見られることがあります。猫風邪は免疫系の低下が原因の一つとなっていますが、結膜炎も同様に免疫機能が低下しているとかかりやすくなります。

人間と同じく、しっかりと栄養のある食事を食べて、安心できるストレスのない環境で過ごすことが大切です。
症状が出た場合は、動物病院で診断を受けて、処方された目薬や抗生物質などを続けるようにしましょう。
猫の結膜炎は移ってしまうことがあるので、他の猫との接触を避ける必要があります。多頭飼育をしている家族では、特に注意が必要です。猫の目に変化が見られたら速やかに動物病院に相談してみてください。

猫の目やにの対処法

猫に目やにが見られたときは、下記の方法で対処しましょう。

■目やにを無理やり取らない

私たち家族が猫の目やにを取る際には、濡れたタオルなどの布を使用して拭き取るのが一般的です。
長時間放置した目やには水分がなくなって乾いてしまっているため、湿らせてから取りやすくします。目の周りもキレイになるため一石二鳥ですが、猫が嫌がっているときに無理やり取り除かないようにしましょう。力加減や不快なポイントなどを理解していなかった場合、猫に負荷やストレスを与えてしまうため注意が必要です。

■ケア用品（グッズ）を使う

猫の目やには多くの家族が悩む問題のため、目やにを取るためのさまざまなグッズが販売されています。使い捨てタイプの目やに取りシートや目の周りを清潔にする洗浄液、目やにを防ぐ目薬などが挙げられます。目やにを取る際の注意点として、私たちの手で直接取り除くと、目を傷つける可能性があるためおすすめしません。また、毛や皮膚にこびりついている場合は皮膚まで炎症が及んでしまう可能性があるため、無理やり取らないように注意が必要です。

■動物病院に相談する

先述した通り、猫に目やにが発生する原因はさまざまです。
これらは長年一緒に暮らしている私たちであれば気づける場合もありますが、判断が難しい状況もあるものです。自分では判断が難しいと感じた場合は、専門家が在籍している動物病院にかかることをおすすめします。
動物病院に相談する際はむやみに目やにを取らず、日常生活などの様子を細かく説明しましょう。

おわりに

猫の目やにの原因はさまざまであり、日常的なケアや注意深い観察が必要です。もし目やにが増えたり、色が変わったりした場合には、早めの対応が大切です。
tamaのスタッフ同士でも話題になったのですが、やはり白っぽい被毛の子だと人相（猫相？）も違って見えるなど、気になることが多い一方、茶色や黒系の被毛の猫だと目元の汚れに気が付きにくいケースが多いです。
普段から目元だけに限らず、猫の体のさまざまな部分をチェックしてみるのが大切。猫の健康維持のためにも、日ごろのコミュニケーションを重視していきたいですね。