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2023.09.07

猫の健康を守るために知っておきたい3つのポイント:膀胱炎について[#獣医師コラム]

猫の健康を守るために知っておきたい3つのポイント:膀胱炎について[#獣医師コラム]

猫にはいつまでも健康で元気でいてくれないと困ります。
そのためにはまず、知っておきたい基本的な病気やトラブルがあります。

猫に多く見られる膀胱炎は、正しい知識を身につけておくことで対策や予防につながることも多いトラブル。
とくに寒くなってくる時期に向けて、徐々に増えてくるものなので、早めに対策の準備を始めておきたいです。

今回は、猫の膀胱炎の基本的な情報と、日常生活の中でできる膀胱炎対策を獣医さんからのアドバイスを交えてご紹介します。
猫に見られる膀胱炎の症状や原因に、早期発見のポイントなどもまとめていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
猫との幸せな生活に、ぜひお役立てください。

DOG's TALK

tamaの獣医さん 菱沼獣医師

tamaの獣医さん 菱沼獣医師

獣医学部を卒業後、動物病院での臨床・栄養指導を経験した後に公的機関で獣医師として勤務。現在はtamaのアドバイザー、商品開発などに携わる。中型犬、小型犬と一緒に暮らしていますが、猫のことも大好きです。

猫に見られる膀胱炎の症状について

まずは、膀胱炎に関する基本的な情報から振り返っていきましょう。

 

■猫の「膀胱炎」基本情報

膀胱炎とは、その名の通り膀胱の粘膜が炎症を起こしている状態を指します。
炎症を起こした粘膜は刺激に敏感になり、排尿時に痛みを感じたり、違和感が出るようになるため、トイレを我慢するようになり尿の排出回数が減る傾向にあるようです。
逆に、残尿感から何度もトイレに行くのに尿が排出されなくなるという状態にもなります。
また、尿の中に血液が混じるようになったり、尿が独特のニオイを持つこともあります。
長時間尿が出ないことで、膀胱内に雑菌が繁殖してしまい、尿に含まれる成分が結晶化しやすい環境になることも少なくありません。

 

■猫の膀胱炎の治療について


猫の膀胱炎が理由で、おしっこをすることができない排尿障害があるようであれば、腎臓への負担が大きくなることがあります。
まずは、猫の膀胱の状態をエコーなどで確認したうえで、自発的に尿を出すことができるかを確認します。できない場合はカテーテルなどを使用し、膀胱の中に溜まった尿を出すこともあります。
場合によっては、膀胱内で増えてしまった雑菌を減らす抗生物質を飲み薬で処方されたり、注射するなどの治療が行われます。

 

■ 猫の膀胱炎チェックリスト

猫が膀胱炎かも?と心配になったら、以下のチェックリストを確認してみてください。

・トイレに行く回数がやたらに多い/全く行かない
・尿の量が減っている
・なかなか尿が出ないので、1回のトイレの時間が長くなる
・尿をするときにウンチをするように力んでいる
・尿をするときに鳴き声を上げる
・尿の色がピンク、または赤~茶色い
・尿のニオイが変わった
・尿の後の猫砂がキラキラしている

膀胱炎になりやすい猫って?

猫と暮らす方の中には「膀胱炎は一度なったら繰り返す」という話を聞いたことがある方がいるかもしれません。
実際のところ、膀胱炎になりやすい猫というのはいるように思います。
過去に膀胱炎になったことがある猫は、膀胱炎になりやすい体質の可能性があるため、普段の暮らしの中から対策を行っていくことが大切です。
猫の膀胱炎には大きく分けて2つのタイプがあるのですが、家庭ではどちらなのかを特定するのは難しいので、両方に効果的な対策を選んでいくことを検討していただきたいです。

原因を知って膀胱炎を対策しよう

■細菌性膀胱炎

膀胱内に侵入した細菌が原因となって膀胱に炎症が起こっている状態です。動物病院で尿検査をしたときに雑菌が見つかるのはこちらのタイプで、以前は雑菌の繁殖がメジャーな猫の膀胱炎の原因として考えられていました。
膀胱内に生じた結晶や結石が膀胱粘膜を傷つけ、そこに細菌が感染することによって引き起こされることもあります。
膀胱の中で繁殖しやすいよう、雑菌が尿のpHをアルカリ性に偏らせることで、結晶や結石ができやすい環境になります。
細菌性膀胱炎では、とにかく雑菌が繁殖してしまう前に尿を排出させることが大切。こまめにおしっこを出すことができていれば、膀胱の中で雑菌が繁殖しにくくなります。

 

■特発性膀胱炎

近年、注目を集めているのが猫の特発性膀胱炎です。
「特発性」というのは、原因が特定できない、はっきりしないという意味。
それって大丈夫なの?と心配になってしまいますが、ご安心ください。以前の膀胱炎のように「雑菌の繁殖」だとか「外傷」のような特定の原因がきっかけで起こるものではない、という意味です。
特発性の膀胱炎では、尿検査をしても、細菌感染や尿石などは見つかりません。

直接的な原因ははっきり分かっていませんが、発症の要因となるものにストレスが挙げられています。
ストレスを感じやすい性格の猫や、引っ越しや家族が増えるなどのタイミング、寒暖差が激しい季節などに発症しやすい傾向が見られます。
実際、特発性膀胱炎に悩む猫に、リラックス効果があるといわれているサプリメントを治療の一環として与えたところ、効果があったという検証結果も出ています。

特発性膀胱炎では、おしっこを出させることと合わせて、猫の暮らす環境がストレスになっていないか、リラックスできる時間を作れているかを見直すことが必要です。

猫という動物を知って対策を始めよう

■膀胱炎対策の第一歩は、猫の飲水量を増やすこと!

猫の膀胱炎の予防には、飲水量を増やし、トイレの回数を減らさないことがもっとも手軽で効果的だといわれています。
きちんと尿を排出できていれば問題がないのは、細菌性の膀胱炎であっても特発性の膀胱炎であっても共通しています。

そのための取り組みとして、オススメなのが猫の普段の食事にウェットフードを取り入れること。ウェットフードはドライフードと比較しても水分量が多くなっているだけではなく、嗜好性が高く喜んで食べてくれる猫が多いことも特長です。
普段はドライフードを主食として与えている猫なら、水分量が多いウェットフードを副食として与えたり、総合栄養食タイプのウェットフードを主食として与えることで自然に猫に水分補給を促すことが出来ます。

オヤツ感覚で楽しめる水分補給アイテムとしてミルクやスープを活用してみることも効果的。美味しい水分補給方法なら、無理なく続けられるはず。
この場合は与えすぎてしまうと肥満になったり、ウンチがゆるくなってしまう場合もありますので、オヤツ感覚で与えるか、代わりにごはんの量を少し調整するなどの工夫を合わせて行うのが良さそうです。

■猫の暮らす環境を見直そう

おしっこトラブルを起こしやすい猫は、暑さや寒さが厳しい時期には何かと動きが少なくなりやすい傾向にあるそうです。
ですから、水飲み場を増やすなら、一日を通して比較的温度が一定で、猫が良く過ごしている場所の近くに増やしてあげると効果的。

それから、忘れてはいけないのがトイレの環境の再チェックです。猫にとってトイレは無防備になる瞬間ですから、リラックスできるように静かで落ち着いた場所にトイレが置かれているか、そしてそのトイレが清潔に維持できているかを確認して下さい。
多頭飼いの場合は、他の猫さんが使用した後のトイレは使えないという子も多いので、なるべく猫の頭数よりも多くトイレを設置するのが良いとされています。
トイレの場所を増やすなら、こちらもなるべく静かで快適な場所を選んであげると、猫が利用する可能性が高くなるかもしれません。

 

■猫の体調管理にストレスケアを

猫の膀胱炎の原因のひとつと考えられるようになったストレス。繊細な性格の猫はもちろん、大らかな猫でも強いストレスを感じる場面が重なれば、体調を崩すこともあります。

たとえば、引っ越しや家族の増減はいずれも猫にとって大きなストレスになるとされます。
引っ越しを機に新しい猫を迎え入れよう、と考える方もいるかもしれませんが、猫にとっての引っ越しや家族の増減によるストレスの大きさを考えると、猫という生き物の特性上、慎重に判断したほうが良いかもしれません。
また、来客がストレスになるケースも。猫のテリトリーである家の中に入ってくる見知らぬ存在に緊張し、強いストレスを感じる子は少なくありません。
家の周囲で継続的に行われる工事などの音にストレスを感じる子もいます。

これらのストレスは、繊細な性格が分かっている猫はなるべく感じさせないように、そうでない猫でも事前に分かっているようであれば、一人でリラックスできる環境を作っておくなどの対策を用意しておくことが効果的です。

おわりに

今回は猫の膀胱炎についてご紹介いたしました。
比較的よくみられるトラブルの一つではありますが、普段の暮らしの中で対策をしていくことで防ぐことができるものでもあります。ほんの少しの工夫で猫の健康維持につなげることができるので、ぜひ少しずつでも取り組んでいただければと思います。
普段の食事についてのご相談は、tamaのコンサルティングサービスでも承っておりますので、そちらもぜひご利用いただければと思います。ペット栄養管理士が相談を承ります。