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2025.09.25

猫の初めての健康診断のすすめ|受診のタイミング・頻度・チェック項目を解説[#獣医師監修]

猫の初めての健康診断のすすめ|受診のタイミング・頻度・チェック項目を解説[#獣医師監修]

猫と暮らす日々の中で、普段と違う様子があったとき「元気そうだから大丈夫・・・。でも。」と心配になることはありませんか?
猫は体調不良を隠す傾向があるため、見た目だけではわからない不調が潜んでいることもあります。
だからこそ、定期的な健康診断が大切です。
この記事では、猫の健康診断について、受診のメリットやタイミング、診察内容、準備すべきこと、診断後のフォロー方法まで、わかりやすくご紹介します。

CAT's TALK

獣医師 菱沼 篤子

【獣医師】菱沼 篤子

獣医学部を卒業後、動物病院での臨床・栄養指導を経験した後に公的機関で獣医師として勤務。現在はtamaのアドバイザー、商品開発などに携わる。中型犬、小型犬と一緒に暮らしていますが、猫のことも大好きです

猫の健康診断はなぜ必要?受診のメリット

猫は言葉で体調を伝えることができません。
そのため、不調のサインを見逃さないためには、定期的な健康チェックが欠かせません。

健康診断を受けることで、以下のようなメリットがあります

病気の早期発見・早期治療につながる
加齢による変化を把握しやすくなる
日々の生活習慣を見直すきっかけになる
猫との暮らしに安心感が生まれる

特に、腎臓病や糖尿病、心臓疾患などは初期症状がほとんど見られないことも多く、健康診断での数値チェックが重要な役割を果たします。

猫の年齢別の受診頻度とおすすめ時期

猫の年齢によって、健康診断の頻度は変わってきます。以下は一般的な目安です:

子猫(〜1歳):ワクチン接種や成長に合わせた診察が必要
1歳〜6歳の成猫:年に1回の健康診断がおすすめ
7歳以上の高齢猫:半年に1回の受診が理想的

また、季節の変わり目や、引っ越し・環境の変化があったタイミングも、体調に影響が出やすいため、診察のきっかけとして適しています。

診察でチェックされる主な項目

健康診断では、猫の状態を総合的に確認します。主なチェック項目は以下の通りです:

体重・体温・心拍数・呼吸数の測定
 → 診察時点での猫の基本的な健康状態を数値で確認できます。家庭で定期的に記録している場合は、過去との比較ができるため、より正確な判断につながります。
視診・触診・聴診
 → 被毛や皮膚の状態、リンパの腫れ、心音や呼吸音などを確認します。
血液検査・尿検査・便検査
 → 内臓の働きや感染症の有無、腎臓・肝臓の状態などを数値で評価します。
口腔チェック
 → 歯周病や口内炎の有無を確認。口腔内の健康は食欲や全身の健康にも影響します。
必要に応じてレントゲン・超音波検査
 → 内臓や骨の状態を詳しく調べることができます。

これらの検査を通じて、猫の「今の状態」を客観的に把握することができるのです。

受診前に準備しておきたいこと

移動時のストレスを減らすため、普段からキャリーに入る練習をしておくと安心です。

移動時のストレスを減らすため、普段からキャリーに入る練習をしておくと安心です。

健康診断をスムーズに受けるためには、事前の準備も大切です。猫にとっても、家族にとっても安心して受診できるよう、以下のポイントを押さえておきましょう。

普段の食事内容や生活リズムをメモしておく
 → フードの種類、食欲の変化、排泄の様子などを記録しておくと診察に役立ちます。
気になる行動や症状があれば、具体的に伝えられるようにする
 → いつから、どのような頻度で、どんな様子かを整理しておくとスムーズです。
便や尿を持参できる場合は、事前に動物病院に確認したうえで、清潔な容器に入れて持参する
 → 適切なタイミングで提出することで、検査の精度が高まり、診断の助けになります。
キャリーケースに慣れさせておく
 → 移動時のストレスを減らすため、普段からキャリーに入る練習をしておくと安心です。

猫の健康診断後のフォローと生活への活かし方

診断結果を受け取ったら、それを日々の暮らしにどう活かすかが大切です。

異常が見つかった場合は、獣医師の指示に従って治療や生活改善を行う
特に問題がなかった場合でも、予防の意識を持って生活習慣を見直す
食事の見直しや運動量の調整、ストレスケアなどを意識する
次回の診察に向けて、日々の様子を記録する習慣をつける

健康診断は「病気を見つけるため」だけでなく、猫との暮らしをより安心で快適なものにするための大切な機会です。

猫の健康診断を受ける際の心構え

猫にとって、動物病院は慣れない場所です。キャリーに入れられ、知らない匂いや音に囲まれることで、不安や緊張を感じることも少なくありません。だからこそ、健康診断を「怖いこと」ではなく、「安心できる体験」にするための工夫が、家族の役割としてとても大切です。

まずは、キャリーケースに慣れさせることから始めましょう。普段から部屋に置いておき、寝床として使ってもらうことで、移動時のストレスを軽減できます。また、病院に行く前には、やさしく声をかけたり、撫でてあげることで安心感を与えることも効果的です。

診察中は、猫の様子をよく観察し、緊張しているようなら獣医師にその旨を伝えると、より丁寧な対応をしてもらえることがあります。猫の気持ちに寄り添いながら、「一緒に頑張ろうね」という気持ちで臨むことが、信頼関係を深める一歩になります。

猫の健康診断は「その子の個性と状態を知るための時間」

健康診断は、病気を見つけるためだけのものではありません。猫の今の状態を知り、より快適に過ごせるようにするための大切な機会でもあります。

たとえば、いつも元気に走り回っていた猫が、最近少し静かになったと感じたとき。それが年齢による変化なのか、体調のサインなのかを見極めるためにも、診察は有効です。「なんとなく違うかも?」という感覚を、数値や専門的な視点で確認できる場として、健康診断を活用することができます。

また、診断結果をもとに、食事の見直しや生活環境の調整を行うことで、猫がより快適に過ごせるようになることもあります。猫の個性や生活スタイルに合わせて、健康面でもしっかりと寄り添っていくこと。それが、長く穏やかな暮らしにつながるのです。

人も猫も、はじめての診察はちょっと緊張するもの

猫を動物病院に連れて行くのが初めて、あるいは久しぶりという方にとっては、緊張してしまうのも無理はありません。「診察はどんなふうに進むの?」「猫が嫌がらないかな?」「うまく伝えられるかな…」と、不安になるのは自然なことです。
初めての場合は、近所の動物病院を検索して、どこに行くかを検討してみましょう。候補が決まったら、普段使っている交通手段でどれくらい時間がかかるかをシミュレーションしてみるのもおすすめです。事前に病院の雰囲気や診察の流れを確認しておくことで、気持ちがぐっと楽になります。
受付で「初めてなので不安です」と伝えるだけでも、スタッフが丁寧に対応してくれるはずです。
また、猫の様子をメモして持参したり、質問したいことをあらかじめ書き出しておくと、診察中に焦らず落ち着いて話すことができます。
健康診断は、猫の健康を守るための大切な時間。完璧にこなす必要はありません。少しずつ慣れていけば大丈夫です。

まとめ

猫は体調不良を隠すことがあるため、見た目だけではわからない不調を見逃さないためにも、定期的な健康診断が欠かせません

・健康診断は、病気の早期発見・安心な暮らしのための大切な習慣
・年齢に応じた受診頻度を意識し、猫の「今」を知ることができる
・診察前の準備と、診断後のフォローが、猫との暮らしをより豊かにしてくれる

猫の「らしさ」を大切にしながら、健康面でもしっかりと寄り添っていくことが、長く穏やかな暮らしにつながります。
ぜひ、次の健康診断のタイミングを、今日から意識してみてください。