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2019.11.07

必要な栄養素は変わる?猫のライフステージ別に注目したい栄養素とは

必要な栄養素は変わる?猫のライフステージ別に注目したい栄養素とは

猫の成長は非常に早く、子猫だと思っていたらあっという間に成猫になってしまいますね。

子猫、成猫、高齢猫には、健康維持のためにも、それぞれの時期に適した栄養素を与える必要があります。そこで今回は、猫のライフステージ別に注目したい栄養素についてご紹介します。

猫のライフステージとは?

猫は人の4倍の速さで年を重ねるといわれるほど、成長の早い生き物です。そんな猫のライフステージは、大きく分けて「成長期」「維持期」「高齢期」の3段階。
それでは、それぞれの時期の特徴をみていきましょう。

■成長期

生後50日~1年くらいまでの時期のことを「成長期」といいます。「発育期」とも呼ばれるこの時期は、その名の通り子猫の骨や筋肉など、さまざまな臓器がつくられる、猫の成長に欠かせないとても大切な時期です。
生後6カ月頃に初めての発情期を迎えますが、この時期を過ぎたあたりに去勢・避妊手術を受ける猫が多いでしょう。

DOG's TALK

ランラン先生

ランラン先生

とにかくこの時期は何にでも興味を示し、好奇心旺盛で食べたがる子猫が多いと思います。この時期にしっかりと食べて体を作ることが猫たちの健康にとっても大切なことです。

王子

王子

ただ、まだお腹の中も成長中なのであまりたくさん食べさせすぎると、お腹を壊してしまったり、吐き戻してしまうこともあるのだ。

■維持期

1歳~7歳くらいまでの時期を「維持期」といいます。「成猫期」とも呼ばれるこの時期は、人間でいうと成人期にあたります。個体差はあるものの、猫は大体1歳半には成猫となります。その後2、3歳頃までは活発に過ごしますが、4歳頃から少しずつ活動量が落ち着き始めます。

DOG's TALK

ナナ

ナナ

この頃が一番健康的に過ごせることが多いみたい~。でも、あたちみたいにそんなにアクティブじゃない猫もいるから食事は気をつけたほうがいいかも~。

ランラン先生

ランラン先生

大型に成長する猫たちの中には、2年ほどかけてゆっくり成長を続けるケースもあるようですので、これも一概には言えませんね。もちろん、運動量に関しても4~5歳になっても落ち着きなく、賑やかな猫もいますよ。

■高齢期

7歳以降の時期を「高齢期」といいます。人も猫も長寿化する近年、実は猫のライフステージで1番長いのがこの高齢期で、人間でいう「シニア世代」です。
このステージに入ると、寝ている時間が増え活動量も減るため、食欲や食事量も徐々に減少していきます。
10歳頃になると老猫と呼ばれるようになり、この頃から徐々に体の機能が低下し始め、白髪が出てきたり、眼病を始めとする病気にかかりやすくなったりするなど、さまざまな「老化現象」が見え始めます。

DOG's TALK

ゴロー

ゴロー

ややっ!最近ボクちん白髪が目立ってきたでありますが、そろそろシニアというサインだったでありますか!?

ムー

ムー

毎日美しさが加速しているムーももうすぐシニアになるってこと?まあ、ムーは世界が恋する美魔女だからあんまり年齢は関係ないけど、体の不調が出るようになるのはちょっと困るわね。…あ、ちなみに食欲は今のところ変わってないわ♪

ランラン先生

ランラン先生

シニアになったからといって急に老け込む、ということはあまりないと思いますよ。もちろん、いつまでも子猫のような気持ちの猫も、食欲が落ちない猫もいますし。ただ、体調の変化にはできれば早めに気付いて欲しいなと思いますね。

ライフステージ別に注目したい「栄養素」

猫に必要な栄養素は、ライフステージごとに変化します。
猫の健康維持のためにも、それぞれの時期に合わせてフードを切り替えたり、足りない栄養素を補ったりする必要があります。
ここからは、ステージごとに注目したい栄養素を見ていきましょう。

■成長期に注目したい栄養素

成長期の子猫は、文字通り骨や内臓などが成長過程であるうえに運動量も多いため、成猫以上に高タンパク・高カロリーな食事を必要とします。具体的には不飽和脂肪酸であるEPA・DHAは、成猫では必須ではありませんが、子猫の間は必須の栄養素となります。
特に必須栄養素である「タウリン」や、骨の形成に必要な「カルシウム」や「リン」などのミネラルは成長期の猫にとって十分量与える必要があります。栄養面はもちろんですが、消化器系も成長途中の子猫にとっては消化しやすいことも大切なポイントです。

■維持期に注目したい栄養素

維持期は、猫にあった適正体重を維持することが大切です。
現在、室内で暮らす猫の多くが肥満傾向にあるといわれており、特に成長期後半に去勢・避妊手術を受けた猫は、ホルモンバランスの乱れから太りやすい体質になることが多いといわれています。
とはいえ、もちろん猫たちの体質は千差万別。去勢・避妊手術を受けていても少食だったり、太りにくい体質の猫もいますのでそれぞれの猫たちに合った食事量やカロリーを調整して与えるのがいいですね。

維持期の猫には、タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルなどの基本栄養素のほか、「DHA」や「EPA」、毛玉抑制に効果的な「食物繊維」、皮膚や被毛の健康維持のため「ビオチン」なども重要な栄養素となります。総合栄養食タイプのキャットフードを与えていれば、栄養素は基本的には不足することはありませんが、オヤツなどを極端に与えすぎると体重増加するだけでなく栄養バランスが崩れることもあるので、注意してください。

また、猫は泌尿器系の病気にかかりやすい傾向があるため、その予防対策としてウェットフードから水分補給ができるよう促したり、ある程度の運動時間を確保することも重要です。

 

■高齢期に注目したい栄養素

高齢期は基礎代謝や運動量が落ちるため、成長期や維持期に比べ必要カロリーも減少します。
猫も人間同様、年齢を重ねるとともに体の機能も徐々に低下していくため、高齢期に適した栄養バランスのキャットフードに切り替えることが多いです。
猫たちはシニア期には腎臓に不調が出ることが多いため、腎臓への負担を考慮するとアミノ酸スコアの高い良質なタンパク質を必要量与えなくてはいけません。

シニア猫向けのフードとしては、体重増加を防ぐ目的でカロリーや脂質を抑えたフードのほか、抗酸化作用の高い「ビタミンC・E」や、「アスタキサンチン」、「ポリフェノール」のほか、関節炎に配慮した「EPA」などの不飽和脂肪酸、「グルコサミン」や「コンドロイチン」などの栄養素が多く含まれている、腎臓に配慮して「リン」の値を抑えたフードがあります。

DOG's TALK

ムー

ムー

そういえば、ムーたちはほぼシニアだけど「アダルトメンテナンス」って書いてあるごはんを食べてるわ。その分、オヤツやウェットフードはDHAやEPAが豊富なお魚タイプのものを選んでるって言ってた。あと、たまにサプリももらうわね。あれはムーたちのことを考えて選んでくれたものだったのね。

ゴロー

ゴロー

たくさん工夫がされていて、ボクちんたちの健康維持に嬉しい成分が入っているそうであります。ありがたいでありますよ~。

ランラン先生

ランラン先生

猫それぞれの体質もありますし、好みもありますから「シニア猫には必ずシニア猫用フードをたべさせなくてはいけない」ということはありません。そういった選択肢もある、ということを覚えておけば良いと思いますよ。それに、シニアでなくてもダイエットが必要な猫たちなどにシニア猫用のフードを与えるケースもあります。

ゴロー

ゴロー

シニア用キャットフードはシニア猫だけのものではないでありますね!

おわりに

今回は、ライフステージ別に注目したい栄養素についてご紹介しました。
少し前までは、室内猫の平均寿命は約10年といわれていましたが、飼育環境やフード内容の改良・見直しにより、近年は15~16年と延びているようです。
猫の健康維持には、ライフステージに合わせて食事の量を調整したり、各ステージに必要な栄養素を与えたりすることが大切です。猫にいつまでも健康で元気で過ごしてもらうためにも、しっかりと食事管理を行うようにしたいですね。

また、猫は子猫の時代に食べていた食事しか食べない傾向があるようです。子猫の頃に多種多様な食生活をさせることが、将来苦労しないで済むことに繋がるかもしれません。