- コラム
- 猫研究所
2025.11.06
猫と人間の違い【寿命編②】肉食獣は短命?猫の寿命と食性の関係[#猫研究所]
■人間と猫の違いシリーズ:vol.5(寿命編②)
「肉食獣は短命」と言われることがありますが、それは本当でしょうか?
猫は完全な肉食動物ですが、室内で暮らす猫は15~20年と長寿です。一方、人間は雑食でありながら、平均寿命は80年以上。
この記事では、食性が寿命にどう影響するのかを中心に、猫と人間の違いをスタッフ猫たちと一緒に探っていきます。
「人間と猫の違い」シリーズ
vol.1 猫と人間の違い【栄養素編】必要な栄養素とその理由[#猫研究所]
vol.2 猫と人間の違い【食性編】ちょこちょこ食べの理由と狩りの本能[#猫研究所]
vol.3 猫と人間の違い【ストレスへの反応編】生き物としての本能と社会性[#猫研究所]
vol.4 猫と人間の違い【寿命編】どうしてこんなに差があるの?長寿へのヒント[#猫研究所]
vol.5 猫と人間の違い【寿命編②】肉食獣は短命?猫の寿命と食性の関係[#猫研究所]
肉食獣はなぜ短命とされるのか?
■高代謝・狩りのストレス・環境の不安定さ
肉食動物は、獲物を追いかけて捕らえるために瞬発力と筋力が必要です。そのため、基礎代謝が高く、細胞の消耗が激しい傾向があります。代謝が高いと、細胞内で発生する「活性酸素(フリーラジカル)」が増え、老化を促進する可能性があると考えられています。


-
ゴロー
「フリーラジカル」って、なんか自由なグループっぽい名前でありますけど、ボクちんの体に悪いんでありますか?

-
ランラン先生
そうですね。これは体の中でエネルギーを作るときに出てくる、細胞を傷つける物質なんです。

-
ゴロー
えっ!?ボクちん、元気に動いてるだけで細胞が傷つくでありますか!?

-
ランラン先生
そうなんです。たくさん動くとたくさん出てきて、細胞の働きが悪くなって、年を取るのが早くなることもあるんです。

-
ゴロー
じゃあ、元気すぎると早く年を取っちゃうでありますか!?それは困るであります!

-
ランラン先生
だから、ちゃんと休んで、体をいたわって、食事に気を付けることが大切なんですよ。
さらに、肉食獣は狩りの成功率が低く、常に空腹や怪我のリスクと隣り合わせ。このような慢性的なストレスは、免疫機能や内分泌系に悪影響を与え、寿命を縮める要因になることもあります。
猫は肉食獣なのに長寿?
■環境が寿命を左右する
猫は完全な肉食動物ですが、人間と暮らすことで狩りの必要がなくなり、栄養管理や医療が整った環境で長寿を実現しています。


-
ムー
狩りをしなくても、毎日バランスの取れた食事が出てくる。これが長寿と美容の秘訣なのよ。
一方、様々な事情で外で暮らす猫は、交通事故・感染症・食料不足などのリスクが高く、平均寿命は5〜8年程と考えられています。
つまり、食性だけではなく、寿命には環境要因が大きく関係しているのです。
草食動物との比較
■食性による寿命の違いは本当にある?
草食動物は、群れで生活し、狩りを必要としないため、ストレスが少ないとされることもあります。また、代謝が比較的穏やかで、細胞の消耗が緩やかであることも、寿命に影響している可能性があります。
しかし、草食動物は肉食動物に捕食される側でもあり、野生では常に警戒が必要。ウサギやシカなどは、逃げるために神経を張り詰めており、ストレスレベルが高い状況下で生きているとも言えます。


-
クリ
草食って聞くと穏やかそうだけど、野生じゃいつ襲われるかわからないって、怖すぎだよね。
人間はなぜ長寿なのか?
人間は雑食で、さまざまな栄養素を摂取できるため、栄養バランスを整えやすいという利点があります。さらに、社会性と学習能力が寿命を延ばす進化的な要因となっています。
言語習得や社会的ルールの理解には長い時間がかかるため、長寿であることが有利に働く設計です。教育・医療・社会保障などの制度を整備することで、寿命を延ばす環境を自ら作り出している点も特筆すべきです。


-
ムー
人間って、知識を積み重ねて、環境まで整えてるのね。やるじゃない。

-
ランラン先生
そうですね。猫も人間も、環境によって寿命が大きく変わるんです。進化の戦略が違うだけなんですよ。
番外編:人間以上に長寿な生き物たち
実は、人間よりもはるかに長寿な生き物が存在します。
・ガラス海綿:最大15,000年。深海でほとんど動かず、代謝が極端に低いため、細胞の消耗が少ない。
・グリーンランドシャーク:500年以上。冷たい海でゆっくり成長し、150年かけて成熟。
・オーシャンクアホグ(貝):最高齢の記録は507年。酸化ストレスに強く、硬い殻で外敵から守られている。
・不死のクラゲ:理論上は何度でも若返ることができる「生物学的な不死」。


-
ゴロー
1万年って・・・。ボクちん、何回お昼寝すればそんなに生きられるでありますか!?

-
ムー
代謝が低いって、美容にも長寿にもいいのよ。でも、動かないのはちょっと退屈かも。
まとめ
肉食獣は、高代謝・狩りのストレス・環境の不安定さなどの要因により、短命になりやすい傾向があります。しかし、猫のように安定した環境で暮らす肉食動物は長寿も可能です。
一方、人間は雑食性と社会性を活かし、制度や知識によって寿命を延ばす環境を構築しています。そして、人間以上に長寿な生き物たちは、代謝の遅さと環境の安定性によって、驚異的な寿命を実現しているのです。
肉食獣は本来の野生環境では寿命が短くなりがちですが、環境次第で寿命は2倍以上にもなる可能性があるということ。 私たちと一緒に暮らす小さな肉食獣、猫たちの命も、環境とケア次第で大きく守ることができるのです。
今日も、たくさんの愛情と工夫で、猫たちの命を支えていきましょう。

