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2020.01.23
猫の体の謎 宝石のような美しさ。猫の眼には不思議がたくさん《cat academy》
私たちと一緒に暮らす猫たち。毎日見ていても飽きないくらい、全身の至るところが可愛らしく、魅力的ですよね。まるで私たちを魅了するために生まれてきたような生き物、猫。ですが、そんな猫たちの体のパーツひとつひとつを見てみると「あれ?」と気になることはありませんか?
「なんでこんな形なんだろう?」「これはなんのためについてるの?」など、猫の身体にまつわるちょっとした謎(にゃぞ)について調査してみました。
今回取り上げる謎(にゃぞ)は「猫の眼」についてです。
第1の謎(にゃぞ)猫の眼にはどうしてたくさんの色があるの?
猫たちの瞳は、一言でいっても本当に様々な色があります。ブルーからカッパー(オレンジがかった銅色)まで、まるで宝石箱みたいですよね。私もついつい我が家の猫の眼をアップで撮影した写真を眺めては、うっとりため息が漏れてしまいます。
(直接猫の眼を覗き込むと、猫にとってはストレスになることがあります。ご注意を)
さて、そんな私たちを魅了してやまない猫たちの瞳の色が出る仕組みですが、これは人間の瞳とほぼ同じで色素が関係しています。
猫の瞳の周りには、虹彩と呼ばれる膜が存在しています。この膜に色素がどれくらいあるかによって、色がほぼ決まるといわれています。
猫の虹彩に出る色素は、私たちにもおなじみのメラニン色素です。メラニン色素が多い虹彩を持っている猫ほど、カッパーやゴールドなどのオレンジ~黄色系の眼になり、逆にメラニン色素が少ない虹彩を持っている猫の瞳はグリーンや青系になります。
でも、ちょっと待ってください。
青や緑、オレンジといった色を持っているわけではなく、メラニン色素の量しか違いがないのに、オレンジとブルーのように、瞳の色は全く異なるのでしょうか?メラニン色素が少ない虹彩の猫の瞳が、薄いオレンジや薄いイエローにならないのはなぜなのでしょうか?
それは「レイリー散乱」という現象が原因。光の波長が短い青色は、小さい粒子に光がぶつかると散乱する……という少々難しい現象です。(※詳しくは「レイリー現象」で調べてみてください)
この現象は自然界で空が青く見えるのとまったく同じ現象なのです。
これは人間でも起こる現象ですが、猫は人間ほどメラニン量が多くないため、より様々な色になるんだとか。
■ ちょこっとコラム
時間帯や状況によって色が変わる…。写真によって別人(猫)みたい。という経験はないでしょうか?私は猫の写真を見返していると、瞳がグリーン~黄色まで変化していることに気が付きました。これも実は、レイリー散乱の現象によるもののようです。猫の瞳に入ってくる光の波長によって、青色が強く反射されたり、黄色が反射されたりといった具合で色味が違って見えるようです。例えば、蛍光灯と自然光でも色味が変わりますし、暖色系の照明と寒色系の照明でも見え方が変わります。同じ空の色でも、時間に伴って太陽の角度が変わって起きる光の波長の変化によってさまざまな色に見えるのと同じことです。
ちなみに、我が家の猫は瞳孔の周辺から色味がグラデーションしていますが、これは瞳孔の周辺はメラニン色素が濃く、端に行くほど色素が薄くなっているからのようです。
第2の謎(にゃぞ)猫の眼ってどれくらい見えているの?
猫たちの眼は体の大きさに対して、非常に大きいことが分かります。大きな眼を持っている猫ですが、実は視力自体はあまり良くないといわれています。
とはいっても、それは猫たちと私たち人間では、認識できる情報に差があるだけ。猫たちの眼はとってもスゴい力も持っています。
例えば、猫の大きな眼は大きい分それだけたくさんの光を取り入れることが可能です。そのため、暗闇では人間の7分の1の光の量で十分な情報を得ることが出来、なおかつ細かい動きも認識することができるといわれています。
哺乳類の眼の奥には、水晶体というレンズによって集められた光が像を結ぶ、網膜という器官があり、網膜にある視細胞によって情報を読み取っています。この視細胞には、少ない量の光で反応するが詳細な情報までは読み取ることが出来ない桿体細胞や、色を読み取るのが得意な錐体細胞などがあり、それぞれの情報を統合して、視覚することができます。
猫の場合、少ない光の量でも反応することが出来る桿体細胞が多いので、暗い場所でも見える代わり、色や遠くまでの視覚の情報を得ることは苦手だといわれています。
だいたい、猫たちの眼ではっきりと見える範囲は猫から6m以内だといわれていますが、室内で暮らしている猫たちなら問題はなさそうですね。
第3の謎(にゃぞ)昔の日本人は時計代わりに猫の眼を見ていた?
さて、くるくると表情が変わる様子を「猫の眼」のようだなんて表現したりしますね。猫たちは瞳孔の大きさを変化させ、真ん丸から細長い形までさまざまな表情を見せてくれます。
(皆さまはどんな猫の瞳がお好きですか?)
日本の戦国時代~江戸時代には、そんな猫たちの瞳で「時刻が分かる」と信じられていたのだとか。もちろん、猫の瞳孔の大きさが変わるのは周囲の明るさの変化によるもので、明るいと細い瞳に、暗いと丸い瞳になります。
しかし今のように時間の概念がカッチリしていなかった昔の人々は、「時間経過とともに猫の瞳は形が変わる」と信じ込んでいたそうです。時計などがどこの家にもある現代とは違い、時間を知りたい時には猫の眼を見て「大体昼過ぎかね」なんて言っていたとしたらちょっと面白いですよね。
そして実際に、戦国時代の島津義弘という武将は、「時計の代わり」として猫を連れて戦に赴いていた…といわれています。
でも本当は、この島津義弘は大変な猫好きで、「時計代わり」というのは口実で、ただ単に猫と一緒にいたかっただけなのでは…?と思わずにはいられないのです。
ちなみに、この時島津家の武将たちに同行した猫たちの中の一匹の名前が分かっていて、「ヤス」という茶虎の猫だそうです。
さいごに
「キレイだな」「かわいいな」と私たちが心惹かれる猫の眼には、空の色と同じような現象が起きていたり、時計の代わりに使われていた時代があったりと、面白いヒミツがたくさんあります。
また、猫たちの眼は猫の感情や気持ちを知る手がかりにもなってくれますよね。
視覚情報を得るためだけではなく、猫たちの魅力をより一層引き立てるのにも大きな役割を果たしている猫の眼のすばらしさ。猫って本当に素晴らしい生き物ですね。

