• コラム
  • 猫研究所

2026.01.08

猫と人間の違い【睡眠編】猫はなぜそんなに眠るのか?人間とは違う「睡眠の仕組み」を進化から読み解く[#猫研究所]

猫と人間の違い【睡眠編】猫はなぜそんなに眠るのか?人間とは違う「睡眠の仕組み」を進化から読み解く[#猫研究所]

■猫と人間の違いシリーズ:vol.9(睡眠編)

睡眠は生き物にとって欠かせない働きですが、猫と人間ではその構造と使い方が大きく異なります。猫は1日12〜16時間という長い睡眠時間を誇り、しかもその多くは浅い眠り。一方、人間は夜にまとまった深い睡眠をとることで脳と身体を回復させます。
なぜここまで違うのでしょうか?
その理由は、筋肉の構造、脳の働き、捕食動物としての歴史、社会性の違いなど、非常に多層的です。

猫の睡眠の「なぜ」をひも解きながら、人間との違いをわかりやすく説明します。

■寿命や記憶など、人間との違いが判ると猫のことがもっと好きになる、仲良くなれる。人間と猫の違いシリーズはこちら

猫は1日のおよそ半分以上を眠って過ごしますが、その背景には、猫特有の筋肉構造があります。猫の筋肉は瞬間的な力を発揮する速筋が主体で、短距離ダッシュやジャンプなどの爆発的な動きには優れています。しかし、速筋は疲労しやすく、長時間の持続ができません。
そのため、猫は「狩りのチャンスが来るまでエネルギーを温存する」という戦略を取り、長い休息が欠かせない生き物となったのです。

ただ「長く眠る」のではなく、長く眠らなければその体を維持できない構造になっているわけです。

CAT's TALK

ゴロー

ゴロー

ボクちんは次の戦いに備えて寝ているであります!

ムー

ムー

戦いという名の“ご飯の時間”ね。

ランラン先生

ランラン先生

何にせよ、猫にも睡眠が必須であることは事実です。

猫の睡眠の多くは浅いノンレム睡眠で、少しの物音でも目を覚ます軽睡眠が中心です。
これは猫の進化の歴史と密接に関係しています。

猫は「小型の捕食者でありながら、大型動物のターゲットにもなり得る」という、非常に危うい位置にいました。そのため、深く眠り込むことはリスクでしかありません。
浅い睡眠ならば、物音や気配に即座に反応でき、敵から逃げる準備を整えることができます。

その結果、猫は

深く眠る時間が短い
浅い眠りを何度も重ねることで省エネと安全を両立する
という睡眠スタイルを獲得しました。

ここで整理すると

・猫は眠りが浅い
・理由は“本能的な警戒心”
・深い眠りが短いのは危険回避のため
という生存戦略に根ざしています。

猫の睡眠は細切れで、1回15〜30分ほどの短い眠りを何度も積み重ねていくスタイルです。このように1日に複数回の睡眠をとるパターンは「多相性睡眠」と呼ばれ、猫は日中を通してこまめに眠ったり起きたりを繰り返しています。

一方、人間は夜にまとまった長い睡眠をとる「単相性睡眠」の傾向があり、深い睡眠の中で一度に大きく回復する仕組みになっています。

猫にとって多相性睡眠が機能的である理由は、短い睡眠を小まめに挟むことで周囲の安全を確認しながら、合計の睡眠時間で必要な回復量を確保できる点にあります。

・周囲の気配にすぐ反応できる
・外敵に襲われるリスクを抑えられる
・深く長く眠れない環境下でも、休息を「分割」して積み上げられる

つまり猫は、1回の短い睡眠で全てを回復しているわけではなく、短い睡眠を何度も繰り返すことで1日の必要な回復量を満たす仕組みになっているのです。この“分割型の回復”が成立しているからこそ、細切れの睡眠でも生存に十分な休息が取れるように進化してきたと考えられています。

CAT's TALK

王子

王子

ボクはすぐ起きられる猫なのだ!

ゴロー

ゴロー

でも王子、寝起きの顔はぼんやりであります。

王子

王子

そ、それは言うななのだ!

猫も人間と同じくレム睡眠中に夢を見ます。しかし、その形は大きく異なります。
猫のレム睡眠は1回が短い代わりに、1日の中で何度も訪れるため、短い夢をいくつも見る構造になっています。

寝ている猫がヒゲを震わせたり、足を動かしたり、声を出したりするのは、夢の中で狩りの動作を再現している可能性があります。脳が経験を整理し、生得的な捕食行動のパターンを微調整する、大切なプロセスなのです。

人間のように長い夢を見るというより、短いスケッチを重ねて脳を調整するのが猫のスタイルと言えるでしょう

猫と人間では、睡眠の目的そのものが異なります。

猫の場合、眠りは

・瞬発力の維持
・外敵への警戒
・体力温存
という、命を守るための準備の時間です。

一方で人間は、

・記憶の整理
・感情の安定
・脳のメンテナンス
といった、精神と知性を維持するためのプロセスが中心です。

その結果、猫は“浅く短く回数を重ねる”形に、人間は“深くまとめて眠る”形に進化しました。

これは、どちらかが優れているという話ではなく、
それぞれの生き方に最も適した睡眠スタイルへ自然が導いた結果なのです。

室内で暮らす猫も長く眠る理由──狩りをしなくても「睡眠構造」は野生仕様のまま

ちなみに、室内で暮らす猫は、野生のように狩りをする必要がないにもかかわらず、1日に12〜16時間もの睡眠をとります。この長い睡眠時間は、狩りの有無とは関係がなく、猫の身体そのものが持つ睡眠構造によって説明できます。

CAT's TALK

ゴロー

ゴロー

ボクちん、狩りしてないのにいっぱい寝ちゃうであります。おかしいでありますか?

ムー

ムー

おかしくないわ。私たちが怠けてるんじゃなくて、体の仕組みがそうできてるの。

ランラン先生

ランラン先生

その通りです。狩りの有無より、猫の睡眠パターンの「構造」が眠りの長さを決めているのです。

まず、猫の睡眠は浅い眠りが多く、1回15〜30分程度の短い睡眠を何度も積み重ねる形で成り立っています。これは、深く長く眠り込むと外敵への反応が遅れ、危険につながる野生環境への適応として発達したもので、室内で安全に暮らしていてもこの構造自体は変わりません。

CAT's TALK

クリ

クリ

私たち、ちょっとした音でも目が覚めちゃうものね。深く寝るほうが難しいわ

ナナ

ナナ

浅い睡眠が基本だから、どうしても何回も眠くなっちゃうの。

ランラン先生

ランラン先生

そうですね。猫は「深く長く眠れない」前提で身体の仕組みが成り立っているのです。

さらに、猫の睡眠は筋肉の回復だけでなく、脳の情報整理や自律神経の調整といった複数の役割を持っています。猫は環境刺激に敏感で、わずかな音や動きにも注意を向ける性質があります。このため、脳がこまめに休息を必要としやすく、短い睡眠を繰り返しながら脳内のバランスを維持しています。

そして猫は、人間のように深い睡眠で一度に大きく回復する仕組みを持っていません。浅い睡眠が中心であるため、1回あたりの回復量が小さく、合計の睡眠時間を長く確保することで必要な回復を「積み上げる」方式を取っています。

CAT's TALK

王子

王子

つまりボクらは「分割睡眠」で回復しているのだ。

ゴロー

ゴロー

分割払いみたいであります! 一気に支払えないであります!

ムー

ムー

言い方。でも、仕組みとしては近いのよね。

つまり、室内猫がよく眠るのは「狩りをしていないのに怠けている」のではなく、猫の身体がもともと持つ睡眠の仕組みがそのまま働いているためです。安全な環境でも、猫の脳と身体にとっては多くの睡眠が自然であり、健康を保つうえでも必要な行動だといえます。

CAT's TALK

ランラン先生

ランラン先生

室内で安全に暮らしていても、進化で獲得した睡眠構造は変わりません。

ナナ

ナナ

だから「よく寝る=健康な証拠」ってことなのね。

ゴロー

ゴロー

ボクちん、今日も安心して寝るであります!

猫は浅く短く眠り、人間は深く長く眠る。
ただそれだけの違いに見えるかもしれませんが、その背後には、身体、脳、歴史、生活環境…あらゆる違いが絡んでいます。

猫がこまめに眠る姿は、怠けているのではなく、本能に従い続けてきた証です。
そしてその眠りこそが、猫らしい俊敏さを支えているのです。