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2022.05.12

猫にとって紫外線は不要?重要?気になる猫の健康と日光の関係について

猫にとって紫外線は不要?重要?気になる猫の健康と日光の関係について

初夏にもなると、一気に強くなるのが紫外線。紫外線は気温の上昇よりも早く降り注ぎ、5月頃からピークの7~8月に近い量が観測される日が出てくるそう。
そういえば、猫はよく日向ぼっこをしていますが、あれだけ日に当たって紫外線の影響を受けることはないのでしょうか?ちょっと気になったので、スタッフ猫たちと一緒に調べてみました。

紫外線が強くなる夏に向けて知っておきたい猫の健康と日光・紫外線のお話です。

猫の日向ぼっこにはこんなメリットが!

猫が縁側や窓辺で気持ちよさそうにウトウト…。中にはお腹を出して無防備なヘソ天状態で日光浴をする子もいるように、猫は日差しを浴びるのが大好きです。
これまでにも猫が日光浴を好む理由についてさまざまな議論が交わされてきました。その中から代表的な猫が日光浴を好む理由をご紹介いたします。

 

■体温調整を行っている説

 

猫が日向ぼっこを好む理由のひとつとして、体温調整のために行うともいわれています。とくに冬場や肌寒い時には、日光を浴びて体の中からぽかぽかと暖まることで暖を取り、体温を一定に保とうとしていると考えられています。なんとなく、猫と一緒に暮らしている方はこの説は納得がいくのではないでしょうか。

でも、それだけでは暑い夏の時期にも日向ぼっこをしたがるのかは分かりませんよね、続いての説もチェックしていきましょう。

 

■自律神経系などを整えている説

猫は日光浴をすることで自律神経系を整えている可能性があります。そもそも自律神経とは、周囲の環境に影響されることなく体温などを一定に維持するために働く機能のことです。
実はこの自律神経、適切に働くためにはある程度の日光浴をすることが必須。
日光の強さや日照時間、気温などを感じ取り「暖かくなったし、春になるのかな?」とか「陽が沈むのが早くなったから、そろそろ冬になるな」とか、そういったことを感じ取って調整を行っているそうです。(人間でも同様で、日光を浴びることが自律神経系の健康維持にはとても大切です)

猫の場合、この日光浴をすることで季節の移り変わりを感じ取り、季節ごとに適した被毛に生え変わる換毛期なども起こると考えられているそうです。

DOG's TALK

ゴロー

ゴロー

自律神経って猫にとっても大切なものなのでありますか?

ランラン先生

ランラン先生

もちろんです。自律神経は、内臓や代謝、体温といった体の機能を24時間体制でコントロールする神経のことです。今、こうしている瞬間も含めて常に働いているものなんですよ。
車のアクセルのように活動的になる時に働く"交感神経"と、ブレーキのような役割をする"副交感神経"という働きに分かれていて、車の運転のようにアクセルとブレーキの組み合わせで動いているんです。

ゴロー

ゴロー

自律神経が乱れてしまうとどうなるんでありますか?

ランラン先生

ランラン先生

車の場合、アクセルとブレーキ両方が上手く働かないとどうなると思います?

ゴロー

ゴロー

ひょえー!た、大変であります!ボクちんのアクセルとブレーキもきちんと働いてもらいたいであります!

■皮膚の健康維持に役立てている説

また、日光浴は皮膚や被毛の健康維持に関係するという説もあります。
日光浴をしていると、皮膚や被毛には紫外線が当たります。紫外線は、非常に強い殺菌効果を持っていて、細菌やバクテリア、カビ、ウイルス、藻類などを短時間で死滅させることができるほどの力を持っているそうです。
そのパワーは医療現場などでも消毒・除菌の手段として取り入れられているほど。

猫の皮膚トラブルの原因の一つとして、雑菌やカビが皮膚や被毛で繁殖してしまうということがあります。そういった雑菌などの繁殖を抑えるために、猫はわざわざ日向に行って全身に紫外線を浴びて消毒をしていると考えられています。

DOG's TALK

ランラン先生

ランラン先生

カビや雑菌が増えてしまうことで起こる皮膚のトラブルには、真菌症(皮膚糸状菌症)やマラセチア性皮膚炎などがあるそうです。

ムー

ムー

もちろん、こういった皮膚のトラブルは日光浴だけで防げるわけじゃないのよね。家族にはムーたち猫の皮膚の状態もこまめにチェックしてほしいわ。かゆがっていたり、皮膚が赤っぽくなっていたり、脱毛が見られたら病院で相談をしてね。ムーからのお願いよ。

猫の健康に紫外線は影響するの?


日光浴をすることで猫にはたくさんのメリットがあることが分かりましたが、一方でデメリットはないのでしょうか?注意が必要な点についても調べてみました。

 

■皮膚の弱い猫には注意が必要な場合も…

皮膚が弱かったり、白毛の猫の場合は長時間紫外線を浴び続けることで、日光皮膚炎というトラブルを起こすことがあるそうです。

日光皮膚炎は日光過敏症ともいい、強い紫外線の影響によりが引き起こされる皮膚炎のことです。
耳の先端、鼻先といった毛の少ない部位や色素の薄い部位に、赤みや脱毛、フケなどが見られるほか、目や口の周りに起こることもあります。
また、かゆみをともなうため、自分でかいて傷つけて出血することがあります。人間でも日焼けをした直後に痛みと痒みが合わさったような感覚が残ることがありますが、似たような状態なのかもしれません。

この皮膚トラブルで注意が必要なのは、日光によくあたる部分の皮膚が赤むけて潰瘍ができたり、皮膚が分厚くなるほか、皮膚がんに繋がるケースもあるから。
どれくらいの日光浴で起こりやすくなるかなど、まだ分かっていない部分も多いトラブルですが、白猫や色素が薄い被毛を持っている猫で起こりやすいといわれていますので、白系の猫は日向ぼっこをする時間を注意してあげたり、カーテンをUVカットのものに変えるなどの工夫が必要になるケースもあるようです。

DOG's TALK

ムー

ムー

え!まさかムーたち猫でも紫外線がそんなトラブルの原因になるなんて知らなかったわ。

ランラン先生

ランラン先生

とはいえ、生まれつきの体質や被毛による差が大きいトラブルのようですから、何とも言えなませんが…。皮膚が弱い猫さんは、紫外線が強い夏の時期は気を付けて皮膚の状態をチェックしてあげてくださいね。

ゴロー

ゴロー

ボクちんみたいな黒系の猫さんでもサマーカットしたりすると、紫外線が皮膚に直接当たり、皮膚のトラブルにつながるケースがあるそうでありますよ~。要注意でありますね!

■日射病・熱中症に注意!

夏の日差しは強烈で、猫が日射病や熱中症になってしまうことを心配される方は多いです。基本的には、猫は自分で快適な場所を探してそこで過ごす生き物。日光浴をしていて、暑くなってきたと感じたら涼しい場所に移動して、またゆっくりと過ごします。ですから、通常であれば猫が日射病や熱中症になってしまうということはありません。
猫の日射病・熱中症を予防するためにも、日差しが強い時期は必ず猫がくつろげるような涼しい場所を用意しておくようにしてください。

注意が必要なのは、自分で自由に動くことができないハイシニア猫などです。高齢の猫が暑い時期に日向ぼっこをしている時は家族が注意深く見守るようにしてくださいね。

おわりに

本日は猫の健康と日光浴、紫外線の関係についてご紹介しました。
猫の健康と日光浴・紫外線は深い関係にあります。猫たちが健康的に快適に過ごすためには日光浴は必要不可欠なものですが、皮膚トラブルや日射病などのリスクが気になるケースもありますので、こまめに健康状態をチェックしておくと安心です。