• コラム
  • 猫研究所

2023.03.30

基本をチェック。キャットフードの栄養基準と「AAFCO」「FEDIAF」について[#猫研究所]

基本をチェック。キャットフードの栄養基準と「AAFCO」「FEDIAF」について[#猫研究所]

キャットフードの中には、「総合栄養食」と呼ばれるものがあります。総合栄養食は、猫にとって必須の栄養をバランスよく含んでいる食事のこと。適切な量の総合栄養食と、水を与えていれば猫が必要とする栄養は十分摂取できる、という便利で安心できるものです。
そんな総合栄養食の基準には、大きく分けて2種類あるってご存じでしょうか?
今回は、そんな総合栄養食タイプのキャットフードと聞いたことがある方も多い「AAFCO」「FEDIAF」という2つの機関について、スタッフ猫たちが調査してきた結果を発表いたします。
毎日の基本の食事となる総合栄養食について、一緒に学んでいきましょう。

キャットフードの総合栄養食についておさらい

まず、総合栄養食とは、水を除く猫が必要とする栄養を十分に含み、適切な量と水を与えることで、健康的に過ごすことができるキャットフードです。
総合栄養食には明確な栄養基準が存在していて、〇%以上/以下という形でそれぞれの栄養項目に対して評価が行われます。

そして、この栄養基準に「AAFCO(米国飼料検査官協会)基準」「FEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)基準」という2つの基準が存在しています。
おおむね、アメリカ大陸や日本などで製造されたキャットフードはAAFCOの栄養基準を、ヨーロッパで製造されたフードはFEDIAFの栄養基準をもとに作られることがほとんどです。

DOG's TALK

ゴロー

ゴロー

ふむふむ。ボクちんの食べているごはんはAAFCOって書いてあるであります。

ランラン先生

ランラン先生

日本国内で「総合栄養食」と表記するためには、AAFCO基準を満たしていることが必須条件となっているんですよ。

日本の「総合栄養食」の表記ルール

日本国内でキャットフードに「総合栄養食」と表記させるためには、AAFCOの栄養基準を満たしている必要があります。それは、日本国内で流通するドッグフードやキャットフードのルール作りを行っているペットフード公正取引協議会が、AAFCOの栄養基準を採用しているから。

AAFCOの栄養基準とFEDIAFの栄養基準で大きなずれはないので、いずれかの栄養基準を満たしていればもう一方の栄養基準を満たしていることが多いです。
ただし、FEDIAFとAAFCOにはそれぞれ成立の背景や、栄養基準の考え方に違いがありますので、深掘りしてご紹介していきましょう。

DOG's TALK

ムー

ムー

日本国内では、FEDIAF基準はクリアしているけれど、AAFCO基準から外れていれば「総合栄養食」って表記することはできないのね。

ランラン先生

ランラン先生

インターネットで流通しているキャットフードの中には、総合栄養食の基準を満たしていないものを「完全食」などと表記して、十分に栄養が含まれているように見せかけている例もあります。注意深くチェックすると「これは総合栄養食じゃないんだな」ということに気が付くはずですよ。

AAFCOってどんなもの?

日本国内での総合栄養食の基準にもなっているのが、AAFCO(全米飼料検査官協会)の栄養基準です。
その名の通り、アメリカに本拠地を持つ団体で、ラベル表示のルールなどに関するガイドラインを設定しています。
AAFCOとして初めてペットフードの栄養基準を発表したのは、1993年のことで、約30年の歴史を持っています。歴史ある団体のため、AAFCOが定めたペットフードの栄養基準は世界的なスタンダードとなっており、ヨーロッパ発のキャットフードブランドであっても敢えてAAFCOの栄養基準を満たしていることをアピールしているところもあります。

■AAFCOの特長

今ではキャットフードやドッグフードの栄養基準として確固たる地位を築いているAAFCOですが、もともとは猫や犬の栄養基準は設けていませんでした。
AAFCOは、もともとは食肉や乳製品となる家畜類の飼育に使用される"飼料"(牛や豚、にわとりなどの餌)にどのような原材料が使用されているのか、そしてその内容が安全面、法律面で問題ないのかを「分かりやすく表示する」ことを目的として現在も活動している団体です。
そこから分岐するような形で、私たちの家族である猫や犬の食事・ペットフードの栄養基準も制定されることになりました。
AAFCOの栄養基準はキャットフードの最低条件であるため、以上/以下という表記になっています。

DOG's TALK

ランラン先生

ランラン先生

AAFCOは栄養基準やガイドライン、ルールなどを作っている団体であって、「AAFCO栄養基準の認定」などはしていません。

ゴロー

ゴロー

ええ!?そうなのでありますか!?知らなかったであります…!

ランラン先生

ランラン先生

時々、インターネット上で「AAFCO基準合格」など書いてあるキャットフードを見かけることがありますが、あれは誤りですのでご注意くださいね。

FEDIAFってどんなもの?

FEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)とは、ヨーロッパ各地のペットフード機関により構成されたペットフード製造に関するガイドラインを定めている機関です。
2008年9月に、ヨーロッパのペットフード製造において、準拠すべき栄養基準を制定しました。これにより、ヨーロッパで製造されるペットフードは、AAFCO以外にもFEDIAFを基準としているフードもあります。

 

■FEDIAFの特長

AAFCOと比較すると、成立時期が新しい栄養基準です。栄養基準に関しても、新しい考え方や実験の結果も踏まえて栄養基準の更新が行われる傾向があります。
また、FEDIAFではHACCPという衛生管理システムの導入をしている工場に対して工場認定を行っています。
栄養基準以外にも、製造環境についても指導を行うなど、積極的に活動していることがFEDIAFの特長の一つです。

DOG's TALK

ムー

ムー

日本ではあまり見かけないから知らなかったけど、FEDIAFって比較的新しい栄養基準なのね。

ランラン先生

ランラン先生

そうなんです。ヨーロッパでは多くの国のメーカーがFEDIAFに参加しているのですが、栄養基準やルールの違いがキャットフードにも反映されていて、ヨーロッパのフードとアメリカのフードで違いを探してみると楽しいですよ。

ムー

ムー

……難しそうだからムーは遠慮しておくわ。

その他のルールについて

実は、AAFCOとFEDIAFには原材料表記のルールに違いがあります。


【AAFCO基準のラベル表記】

「鶏肉=チキン」は「チキン」、「レンダリングチキン」は「チキンミール」、など原材料の表記に関して、どのような状態のものが使われたのかなど、より細かく表記義務が定められている。

【FEDIAF基準のラベル表記】
AAFCOの表記基準とは違い、AAFCOと比較すると原材料表記のルールははっきりしていないものもあります。原材料に「チキンミール」を「乾燥チキン」と表記しても違反ではありません。

■ 保存料などの化学的な添加物のルールについて

実は、キャットフードに使用する保存料などの化学的な添加物の上限量について、AAFCO・FEDIAFいずれの団体も明示していません。
日本国内で販売されるキャットフードの保存料に代表される化学的な添加物に関しては、環境省の管轄である動物愛護管理室が出しているペットフード安全法によって、成分の上限値が定められています。

参考:環境省「ペットフード安全法(基準規格等)」

DOG's TALK

ゴロー

ゴロー

ボクちんたちのごはんの安全性を守ってくれているのは、AAFCOやFEDIAFだけではないのでありますねえ。

ランラン先生

ランラン先生

そうですね、これらの栄養基準や基本的な安全基準を満たしていることはもちろんとして、さらに独自の目利きで厳選したキャットフードを販売しているのが…

ゴロー

ゴロー

たまのおねだり(tama)、でありますね。

おわりに

今回は、キャットフードの栄養基準であるAAFCOとFEDIAFについてご紹介いたしました。総合栄養食の基準を設定しているそれぞれの団体ですが、違いもあります。日本国内で見かけることが多いのはAAFCOですが、FEDIAFの基準についても知っておくとそれぞれのメーカーやブランドの考え方を知るヒントになるかもしれません。