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2022.07.28

これって、猫が食べても大丈夫?カニ&エビ編

これって、猫が食べても大丈夫?カニ&エビ編

キャットフードに使用されたり、猫のオヤツとして販売されているものの中にも、インターネットで調べると「猫に与えてはいけないもの」として紹介されている原材料もあったりします。
「結局、これって猫に食べさせても大丈夫なの?」と心配になってしまう方も多くいらっしゃると思います。そこで、今回は猫に与えることに色々な意見がある「カニとエビ」についてtamaのスタッフが調べてみました。

猫にカニ・エビを与えてはいけない、という意見の根拠

生のカニやエビといった甲殻類にはチアミナーゼという酵素が含まれています。このチアミナーゼは、ビタミンB1(チアミン)を分解する働きがあるので、猫に甲殻類を与えるべきではないという意見が見られます。
猫にとってビタミンB1は必須栄養素のひとつで、食事から必要量をしっかりと摂取する必要があるのですが、それをチアミナーゼがビタミンB1を分解してしまうので欠乏症になってしまうということです。
理論上では、チアミナーゼが分解する量を上回るビタミンB1を摂取していれば、欠乏症になることはありません。
チアミナーゼによって分解されてしまうビタミンB1は、神経系の健康維持に影響する成分ですので、チアミナーゼによって体内のビタミンB1が不足してしまうと、嘔吐や食欲不振だけではなく、けいれんや歩行不調などの症状が出てしまうことがあります。
この情報だけが独り歩きしてしまい、猫に甲殻類を与えることに対する抵抗感を持つ人が多いようです。

このチアミナーゼが嫌われ者になってしまった背景のひとつに、かつてキツネで多く見られた病気があるようです。
実はこの酵素は甲殻類だけではなく、一部の植物や淡水魚、ハマグリなどの貝類にも含まれています。

1941年、飼育されているキツネに生の川魚を長期間与え続けた結果、ほとんどのキツネが病気にかかってしまったのですが、その原因がチアミナーゼであることが分かったのです。このことから、チアミナーゼという成分が必要以上に悪者になってしまったことがあったようです。
この時のキツネの食事には十分なビタミンB1が含まれていたのか、そもそもキツネの食事として川魚を長期間与え続けることは適切だったのか、ということについても考える必要があると思います。

猫にカニ・エビを与えても大丈夫?

チアミナーゼを含むカニやエビですが、チアミナーゼは酵素ですので、加熱調理をすることで活性を失い、ビタミンB1を分解する働きはなくなります。
ですから、生の状態でなければ、猫の体調に影響することはありません。

カニやエビはキャットフードや猫のオヤツで使用されていることが多くありますが、加熱調理してチアミナーゼの活性を失わせているものですので、これらの原材料を使用しているものを与えたからと言ってビタミンB1欠乏症になってしまうことはありません。

カニやエビを与えることにメリットはあるの?

カニやエビを加熱すると、香ばしいいい匂いがしますよね。この香りは猫にとっても魅力的なもののようで、嗜好性をアップさせる目的で使用されることがあります。
それから、カニやエビといった甲殻類の「殻」にはキチンという成分が含まれています。キチン自体には抗菌作用があることが知られています。
それだけではなく、キチンはN-アセチルグルコサミンという成分がたくさん連なってできているのですが、このN-アセチルグルコサミンは、猫の関節や皮膚の健康維持に役立つことが役立つことが分かりました。

また、キチンと同じく甲殻類の殻に含まれるキトサンは不溶性食物繊維ですので、お腹の調子を整えたい時にも役立つ栄養素のひとつになります。
猫では便秘気味になる子が多いですが、キチンやキトサンは腸の動きを促し、ウンチに水分を含ませてスムーズな排便をサポートすることが分かっています。

繰り返しになりますが、生の甲殻類にはチアミナーゼが含まれています。猫が興味を持ったからと言って大量に生の甲殻類を食べさせてしまうと、体調に影響する可能性があります。与える場合は必ず加熱した状態のものを与えるようにしてください。

猫の健康とカニ・エビの関係のまとめ

■猫の体調に影響する成分はチアミナーゼという酵素
■チアミナーゼは加熱調理することで不活性化できる
■カニやエビには猫の健康維持に役立つ成分も含まれる
■適切な方法で調理されたものであれば問題なく与えられる

tamaで販売する商品に使用される甲殻類はすべて加熱したものです

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おわりに

今回は、猫に与えることに賛否がある「カニやエビ」について調べてみました。
チアミナーゼが危険、という意見もありますが、それは生の状態で酵素であるチアミナーゼが働いている食材を長期間与え続ければ、体調に影響することは事実です。しかし最近ではチアミナーゼの猫の健康への影響が広く知られるようになり、きちんと活性を失わせる処理を行ってから使用することが徹底されています。