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2025.06.05
猫の座り方の種類と意味は?座り方に隠れた病気のサインについても紹介[#猫研究所]
![猫の座り方の種類と意味は?座り方に隠れた病気のサインについても紹介[#猫研究所]](../../../../ext/magazine/images/10087_00039_1_a.jpg)
猫は前足を立ててお尻を地面につけたり、おなかを地面につけたりといったさまざまな座り方を見せてくれます。
実は、猫の座り方には、そのときの感情が表れていたり、病気のサインである可能性をご存知でしょうか。座り方やしっぽの動きを知ることで、猫の気持ち・病気を理解できるためお互いの心の距離が近くなることでしょう。
今回は、猫の座り方の種類と意味、座り方に隠れた病気のサインについて、ゴロー研究所のスタッフ猫たちが解説します。

猫の座り方には意味がある!
猫の座り方を見てみると、上半身を起こしている、前足を伸ばしているといった、さまざまな姿を見ることができます。
これらを見てみると、現在リラックスしているのか、周囲の環境を警戒しているのかなどがある程度わかります。
※すべての猫に同じパターンが当てはまる、というわけではありません。
猫の座り方の種類

猫の座り方の種類
こちらでは、猫がどのように座るのかをご紹介します。
・香箱座り、箱座り
香箱座りとは、伏せのような姿勢で前足と後ろ足を折りたたみ、体の下にしまい込むような座り方を指します。最近ではSNSなどで「おててないない」といった名前でも呼ばれています。
漆や陶器でできた「香箱」に形が似ていることから香箱座りと命名され、リラックスや寒い、眠いときに見かけます。長時間、香箱座りの体勢を続けているときは、痛みを隠している場合もあります。
・スコ座り
スコ座りとは、お尻を床につけて背中を丸め、後ろ足を前足へ投げ出すような姿勢であり、人の座り方に近い姿勢を指します。
スコティッシュフォールドによく見られる座り方であり、リラックスや信頼のほか、足関節に痛みを感じているときに見られます。
・スフィンクス座り
スフィンクス座りは香箱座りのまま上体をまっすぐ起こし、前足の肘を床につけて突き出しているような座り方を指します。
名前の通りスフィンクスのような座り方であり、リラックスと緊張、警戒といった、完全なオフモードではない状態です。
・エジプト座り
エジプト座りとは、前足を立てたまま後ろ足をまげて腰を下ろしている、エジプトの壁画に書かれている猫のような姿を指します。
この姿勢はいつでも動けるような姿勢であり、少しの緊張や警戒など、次の行動を考えている傾向にあります。
正座ともいわれています。
・しっぽ巻き座り
しっぽ巻き座りは先述したエジプト座りのまま、お尻から足先を囲むようにしっぽを体に巻き付けた状態を指します。別名「しっぽマフラー」とも呼ばれます。
この状態は緊張や警戒、危機を感じているなど、臨戦態勢ともいえる心理状態になります。また、寒さを感じていて足元を防寒する意味でしっぽ巻き座りをする猫もいるようです。
・横座り
横座りは横向きに寝転がっているような姿勢で、後ろ足を伸ばして前足で立っている状態になります。
野生ではおなかを見せるとスキを見せることになりますが、この状態はリラックスや眠気を感じている状態といえます。
これまでご紹介した座り方の中で、一般的に一番リラックスしている状態が多い座り方です。
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ゴロー
座り方からボクちんたちの気持ちがわかるんでありますね。
それにしても、いろんな名前がついていてビックリしたであります。
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ムー
「香箱座り」なんて、まさに優雅でお上品な三毛猫のわたしにぴったりね。
ちなみに外国ではなんて呼ばれてるのかしら?
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ゴロー
え~と、英語では「catloaf」って呼ばれてるみたいであります。「loaf」の意味は一斤のパン…とってもおいしそうな名前であります!
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ムー
…わたしがこの座り方をした時は「香箱座り」って呼んでね。
猫の座り方がおかしいときは病気の可能性も

猫の座り方がおかしい時は注意
先述の通り、猫によっては座り方で現在の心理状況を読み取れますが、いつもと違う座り方をしていたり、逆にずっと同じ座り方をしたまま動かない場合などは、何かしらの病気にかかっていることも考えられます。
猫の座り方に影響することが多い症状と関連する病気は以下の通りです。
関節に痛みがある
関節に痛みがある場合は、その痛みを庇おうといつもと違った座り方をすることがあります。特にスコ座りをする理由には遺伝的な骨軟骨異形成も関係するといわれており、人目につかない場所に隠れて座っている時などは注意が必要です。
・骨軟骨異形成
骨軟骨異形成(こつなんこついけいせい)とは、軟骨や骨、関節などに異常が発生し、腫れあがって運動障害を引き起こす疾患です。
初期症状は歩き方がぎこちない・足を引きずるなどの症状が見られ、現在でも根本的な治療方法は確立されていません。
・変形性関節症
変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)とは、関節や軟骨が破壊されることによって変形してしまう病気を指します。
関節痛による歩行以上や元気消沈のほか、排せつ障害なども発症する可能性があります。
・カリシウイルス性関節症
カリシウイルス性関節症は「猫風邪」とも呼ばれる感染症であり、口腔内や舌に水泡・潰瘍が発生することが特徴です。
本来は粘膜系に症状が現れますが、関節炎を発症することもあります。
背骨や腰に痛み時がある
背骨や腰に痛みがある場合は、猫の準備運動である伸びができず、うずくまったような座り方をすることがあります。
・椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、背骨にある椎骨のあいだでクッションの役割を果たしている椎間板が、変形して飛び出してしまう病気です。
神経を圧迫して痛みや障害を発症する病気であり、肥満や加齢、外傷などが原因で起こることがあります。
手足に痛みがある
手足に痛みがある場合は、うまく曲げ伸ばしをすることができず、手足を折り曲げる香箱座りができなかったりします。
・膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)とは、膝のお皿の骨である膝蓋骨が、正常な位置からズレてしまう病気です。
この病気を発症すると足を痛がる、引きずって歩くなどの症状を見せ、猫によって先天的なものと後天的なものがあります。
このように、猫の座り方には感情だけではなく、さまざまな病気や症状により足をいたわっていることがあるのです。
自然に治ることもありますが、歩き方に違和感があったり、元気がなかったりなど、そのまま放置すると症状が悪化する可能性も考えられるため、早めに動物病院に相談することをおすすめします。
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ランラン先生
「スコ座り」の語源となるスコティッシュ・フォールドを始め、マンチカン、アメリカンカールなどの一部の猫種は、遺伝性の骨軟骨異形成を引き起こしていて痛みを和らげるためにこの座り方をするともいわれています。
病気かどうかを座り方だけで判断することは難しいですが、いつもと違う様子はないか、普段からしっかりと家族のみなさんがチェックしてあげてくださいね。
おわりに
今回は、猫が見せるさまざまな座り方をご紹介しました。
猫の座り方には香箱座りやスコ座り、スフィンクス座りといったさまざまな姿勢があり、気持ちや病気を現しています。
気持ちについてはリラックスや緊張などを表しており、病気の場合は骨軟骨異形成や変形性関節症が考えられます。
病気については自然に治るものもありますが、症状が悪化する可能性があるものも含まれているため、早めに診療を受けましょう。
体調に早く気付けるように、猫の様子はこまめに確認して、かわいいだけはなくいつもと違ったことはないかもチェックしましょう。