• コラム
  • スタッフコラム

2021.02.10

隠れた頑張り屋さん。猫の肝臓をちょっと労わってみませんか

隠れた頑張り屋さん。猫の肝臓をちょっと労わってみませんか

猫の健康状態を把握するために、定期的な健康診断を受けることを心がけている方も多いですよね。
とくに高齢になってくると、体調にもさまざまな変化が起こるようになってきますから、定期的な診察や健康チェックはいち早く異変に気が付くきっかけになります。
猫の健康診断などを受けている方の中には、「ちょっと肝臓の数値が気になるね」と獣医師さんからいわれたことがある方もいるかもしれません。
猫の肝臓は高齢になったときに、注意したいポイントのひとつ。

本日はそんな猫の肝臓について改めてご紹介します。

猫の肝臓ってどんな働きをしているの?

猫の肝臓はこのあたりにあります。

猫の肝臓はこのあたりにあります。


まず、猫の肝臓はどんな働きをしている臓器なのでしょうか?

肝臓は猫の健康維持や生命維持にとても重要な働きをしている臓器のひとつです。大きく分けて3つの働きを担っています。

1.代謝
猫が食べた食事は消化器で吸収しやすい形に変えられた後に腸で吸収され、肝臓へ送られます。肝臓ではそれらの栄養をエネルギーに変え、さまざまな臓器へと送り出しています。
そのほかにも、いざという時のためにエネルギー源を貯蔵しておく貯蔵庫としての働きや、タンパク質を体の細胞を作る材料として再合成するのも、肝臓の大切な働きです。

2.解毒
体の様々な器官から出た老廃物や栄養をエネルギーに変えたり細胞を再合成したりする際に、副産物として出てしまう「毒素」を分解しているのも肝臓です。

3.胆汁の生成・分泌
肝臓では消化液の一種である胆汁を生成しています。胆汁は脂肪の消化吸収をサポートする働きがある消化液です。

たくさんの役目を持っている肝臓は、猫が健康的に食事から栄養を摂取し、それを上手く活用するためには必要不可欠なものなのです。

肝臓は常に黙々と働き続ける仕事人のような臓器で、重要だからこそ非常に高い再生能力を持っているともいわれています。
そのため、肝臓の機能が低下してもすぐには目に見えて体調に影響はみられないのが厄介なところ。肝臓の数値が気になり始めたら、いつも頑張っている大切な肝臓を、労わることを心がけていきたいですね。

シニア猫の肝臓ケアが重要なワケ

猫にとってとても重要な肝臓ですが、シニア期の猫が注意すべき理由にはどのようなものがあるのでしょうか?
それは、年齢に伴い徐々に肝臓の機能が低下していくことと、肥満になりやすくなることも関係しています。

加齢に伴い肝臓も機能が低下していきます。本来は高い再生能力を持っている肝臓でも、やはり年齢には勝てないようで徐々にその働きは落ちていくといわれています。ですから、高齢になった猫はエネルギー代謝や細胞の再合成に時間がかかるようになり、消化液の分泌も減るため徐々に食事の量が減るなどの変化が見られるようになります。

また、シニア期の猫は運動量が低下して、肥満になりやすくなりますが、肥満は肝臓の大敵。肥満状態の猫の肝臓は脂肪がついてしまい、肝臓の健康的な働きを果たすことができなくなってしまうこともあります。
肥満状態の猫が食欲不振や病気などによって食事が十分にとれず、タンパク質が不足した状態になると、意識が混濁してしまう肝リピドーシスという病気を起こしやすくなります。

シニアになり、機能が徐々に落ちていく肝臓の健康を維持するためには、肥満を予防しつつ、肝臓への負担を減らし、健康的な食事を心がけることが大切になります。

こんな形で肝臓をケアしよう


肝臓が気になる、と動物病院でいわれたらどんなことを意識した食事を選んでいけばいいのでしょうか?
実際に肝炎や肝リピドーシスの症状が出ていたり、診察された猫は動物病院での治療や療法食を与える必要がありますが、「肝臓の数値が気になり始めた」という時点の猫は、肝臓への負担を減らすことを意識していきましょう。

そのためには、やはりバランスの良い食事を意識することがとても重要で、バランスの良い食事は肥満の予防にもつながります。
猫のエネルギー源となる栄養素には、タンパク質、脂質、炭水化物がありますが、それらの内どれか一つが多すぎても少なすぎてもいけません。
高脂肪や高タンパク過ぎるフードは避けながら、タンパク質もアミノ酸スコアが高く、アミノ酸をバランスよく摂取できるものを選ぶとよいですね。
総合栄養食タイプのキャットフードを食べている猫であれば、栄養が不足することはあまりありませんが、オヤツやフードの量が多すぎてしまうと、タンパク質や脂質などが多くなり、栄養のバランスが崩れてしまい、肝臓の負担になる可能性があります。
肝臓が気になる猫やシニア猫は、オヤツの量や食事の量を見直していくことが必要になります。

また、肝臓の働きをサポートする成分を含むサプリメントや、デトックスを意識した食事を取り入れるのもいいですね。

DOG's TALK

毎年予防接種を受けている猫も多いと思いますが、予防接種に含まれる化学物質の分解(解毒)は高齢猫の肝臓の負担になることがあります。外に遊びに行く猫であれば必要なことが多い予防接種ですが、高齢猫では肝臓のために予防接種を控えることもあるそうです。

おわりに

本日は猫の肝臓の働きについてご紹介いたしました。猫にとって肝臓はとても大切な役割を持っている臓器です。それゆえなかなか機能が低下しても体調への影響は出にくいといわれていますが、シニア期になったら少しずつ食事の内容やオヤツを見直していくのもいいかもしれませんね。
全身のエネルギーを作る役割を持っている肝臓の健康を維持することは、日々の健康維持の基本にもつながります。