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2025.10.09

猫が夜中に走り回る理由とは?「夜の運動会」の原因と対策、付き合い方[#猫研究所]

猫が夜中に走り回る理由とは?「夜の運動会」の原因と対策、付き合い方[#猫研究所]

夜になると突然、猫が家中を走り回り、ジャンプしたり鳴いたりする。そんな「夜の運動会」に悩まされている方もたくさんいらっしゃるでしょう。静かに眠りたい時間に、猫が元気いっぱいに動き出すのはなぜなのでしょうか?
実はこの行動には、猫ならではの本能的な理由や生活環境の影響が関係しています。
猫の夜間の活動の背景をひも解きながら、夜行性との上手な付き合い方や、暮らしを快適にするための工夫についてスタッフ猫とともに詳しく解説します。
猫の自然な行動を理解し、より中を深めながら過ごすためのヒントを見つけてみましょう。

猫は「夜行性」と言われることが多いですが、実際には薄明薄暮性という特性を持っています。これは、日の出前や日没後の薄暗い時間帯に最も活発になる性質です。野生の猫科動物もこの時間帯に狩りをすることが多く、家庭で暮らす猫にもその名残が残っています。
しかし、実際には夜中に大運動会を開催することも。それは、猫は1日のうちに何度も短い睡眠を繰り返す「多相性睡眠」の持ち主だから。平均して1日14〜16時間ほど眠りますが、これは長時間連続して眠るわけではなく、昼夜問わず断続的に眠るスタイルです。
そのため、夜中に目覚めて活動することも自然な行動であり、必ずしも「夜型」だからというわけではありません。

DOG's TALK

ゴロー

ゴロー

ボクちんは、夜になって目が覚めると狩りモードの時があるであります!カーテンの影に何かいる気がするであります!

ランラン先生

ランラン先生

それはただの影。夜は静かに過ごすのも立派な猫のたしなみです。

「夜の運動会」は、猫が突然家中を走り回ったり、ジャンプしたり、鳴いたりする行動を指します。これにはいくつかの理由があります。

・エネルギーの発散:日中に十分な刺激がないと、夜に溜まったエネルギーを一気に放出することがある。
・狩猟本能の再現:薄暗い時間帯~になると、本能的に獲物を追うような動きが出やすくなる。
・静かな環境:夜は人の活動が減り、猫にとって安心して動ける時間帯になる。
・家族との関わり不足:日中に構ってもらえなかった猫が、夜に注目を集めようとすることがある。

これらの要因は単独ではなく、複合的に作用することが多く、猫の年齢や性格によっても行動の強さが異なります。
特に、若い猫や子猫は運動量が多く、夜間の活動が激しくなりがちです。逆に、シニア猫になると夜の運動会は減る傾向がありますが、個体差も大きいため、年齢だけでは判断できません。

DOG's TALK

王子

王子

ボクは夜に走るのが好きなのだ!だって、誰にも邪魔されないからなのだ!ミッドナイトを駆け抜けるのだ!

ムー

ムー

でも、みんなが寝てるときにドタバタすると怒られるよ?私は全部お兄ちゃんのせいにするけど。

ゴロー

ゴロー

でも、ボクちんは夜中にドタバタしても怒られたことはないのであります!

猫の夜間の活動を完全に止めることは難しいですが、環境の工夫で騒がしさを軽減することは可能です。

・寝室のドアを閉める:猫が人の寝室に入らないようにすることで、睡眠の質を守る。
・キャットタワーや隠れ家を設置する:猫が落ち着いて過ごせる場所を複数用意する。
・夜間の照明を工夫する:間接照明やタイマー付きライトで、猫に「夜は静かに過ごす時間」と認識させる。

猫は環境の変化に敏感な動物であり、照明や音、匂いなどの刺激が行動に影響を与えます。夜間の静けさを保つためには、猫が安心できる“予測可能な環境”を整えることが重要です。

さらに、夜間に猫が騒ぐ原因が空腹の場合は、タイマー式の自動給餌器を使うことで、猫が安心して眠れるようになります。
また、猫が落ち着ける香り(フェロモン製品など)を使うのも効果的です。フェロモン製品は、猫同士のコミュニケーションに使われる化学物質を模倣したもので、安心感を与える効果があるとされています。

DOG's TALK

クリ

クリ

寝室のドアを閉めるっていう案があるけど、ボクはそれに反対だな。だって、それってボクと一緒に寝るチャンスもなくなるってことだよ?

ナナ

ナナ

あたちも、それは大反対ー。少しくらいうるさくっても、笑って許してほしいものだわ。

猫の夜間の活動は、日中の運動不足が原因であること場合も。特に室内で暮らす猫は、外の刺激が少ないため、家族が意識的に遊びの時間を作ることが重要です。

・猫の狩猟本能を刺激する遊び:羽根付きのおもちゃや、動きのあるおもちゃで「追いかける・捕まえる」動作を促す。
・高低差のある運動環境:キャットタワーや棚を使って、ジャンプや登る動作を取り入れる。
・知育トイを活用する:フードを探す仕組みのあるおもちゃで、頭と体の疲労を誘う。

猫は“短時間で集中して動く”ことを好むため、遊びの時間は長さよりも質が重要です。狩猟行動を模した遊びは、精神的な満足感にもつながり、夜間の過剰な活動を抑える効果が期待できます。
特におすすめなのが、夕方〜夜の就寝前にしっかり遊ぶことです。これにより、猫が満足して眠りにつきやすくなり、夜間の運動会が減る可能性があります。

DOG's TALK

ゴロー

ゴロー

ボクちん、ひものおもちゃが大好きであります!夜に遊ぶと、ぐっすり眠れるであります!

ランラン先生

ランラン先生

遊びは時間と質が大事。短くても集中して遊ぶと満足度が違います。

猫は「夜行性」ではなく、明け方や夕暮れ時に活発になる“薄明薄暮性”の動物です。しかし、家庭内では人の生活リズムとずれることも多く、夜間に活動的になる猫も少なくありません。そのため、猫の自然な行動を尊重しつつ、人も快適に過ごすための工夫が必要です。

・猫の生活リズムに合わせすぎない:人の睡眠時間を守ることも大切。猫に合わせすぎると、生活が不規則になる可能性があります。
・夜間の騒音対策をする:床にラグを敷くことで、走る音を軽減。家具の配置を見直して、猫が安全に動けるようにする。
・猫の個性を理解する:活発な猫、慎重な猫、甘えん坊な猫など、性格によって夜の行動も異なります。

猫の行動は、遺伝的な気質と環境要因の両方によって形成されます。個体差を理解することで、より適切な対応が可能になります。
また、猫との暮らしを快適にするためには、「夜に動く=悪いこと」ではなく、猫の本来の行動パターンの一部として受け止める姿勢も大切です。猫が安心して過ごせる環境を整えることで、人も猫もストレスなく暮らせるようになります。

DOG's TALK

王子

王子

ボクは夜に考えごとをするのだ。静かな時間って、意外と大事なのだ。

ムー

ムー

私は寝る派。ふかふかのベッドがあれば、夜でもぐっすりよ。

猫たちが夜中に繰り広げる「運動会」は、まるで本能と遊びが融合した競技大会。ここでは、実際に見られる行動を競技として整理し、それぞれの目的や背景をわかりやすく紹介します。

① 廊下スプリント

内容:家中を猛スピードで走り抜ける。
ルール:スタート地点は気分次第。ゴールは…壁かカーテンの裏。
行動学視点から考える目的:狩猟本能の発動。獲物を追いかける動きの再現。

② 高跳びジャンプ

内容:棚や冷蔵庫など高所へジャンプ。
ルール:着地成功で加点。失敗しても気にしない。
行動学視点から考える目的:獲物を見つける・逃げる・登るための筋力と空間認識の発揮。

③ ステルス奇襲(隠れんぼアタック)

内容:物陰に隠れて、突然飛び出す。
ルール:誰か(家族や他の猫)を驚かせたら勝ち。
行動学視点から考える目的:待ち伏せ型の狩猟行動の再現。

④ ボールチェイス(おもちゃ追跡)

内容:転がるものを全力で追いかける。
ルール:捕まえるまで何度でも挑戦可能。
行動学視点から考える目的:動く獲物への反応性を鍛える。

⑤ 鳴き声アピール(ボイスパフォーマンス)

内容:夜中に鳴いて家族の注意を引く。
ルール:反応が返ってくるまで続ける。無視されると音量アップ。または、他の競技に切り替える。
行動学視点から考える目的:社会的な関わりを求める、または要求(遊び・食事)を伝える。

⑥ 家具障害物レース

内容:ソファ、テーブル、キャットタワーを駆け抜ける。
ルール:ルートは自由。途中で休憩してもOK。
行動学視点から考える目的:俊敏性・柔軟性・空間把握能力の発揮。

DOG's TALK

ゴロー

ゴロー

ボクちん、廊下ダッシュは得意であります!タイム計測してほしいであります!

王子

王子

ボクは高跳び王なのだ。冷蔵庫の上からの景色は最高なのだ!

ムー

ムー

私はステルスアタック派。静かに忍び寄って、ドーン!ってね。

ランラン先生

ランラン先生

みなさん、すごくいいと思います。安全には細心の注意を払いながらも、運動会で優勝できるよう頑張りましょう。
ちなみに、私の得意競技は「大切な書類ビリビリ」です。これはできる選手が限られる、特別な競技です。

猫の“夜の運動会”は、本能や生活環境、運動不足などが複雑に絡み合って起こる現象です。完全に止めることは難しいですが、日中の遊びや環境の工夫によって、夜間の騒がしさを軽減することは可能です。
猫の行動は、いたずらではなく、身体的・精神的なニーズの表れです。猫にも、それぞれに「らしさ」があり、性格や好み、行動のパターンは驚くほど多彩です。
その個性を理解しながら、人と猫が快適に暮らせる工夫を取り入れていきましょう。