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2023.03.02

おしっこトラブルに関係する?メチオニンって、どんな成分?猫の健康維持に役立つアミノ酸をご紹介します

おしっこトラブルに関係する?メチオニンって、どんな成分?猫の健康維持に役立つアミノ酸をご紹介します

猫の健康維持に役立つ成分の種類は本当にさまざま。あまりにも多すぎて「これってなんで使われているんだっけ?」と思ってしまうこともしばしばでは。
とはいえ、キャットフードやサプリメント、おやつなどに含まれる成分をすべて覚えておくというのは現実的ではありません。
でも、代表的なものを押さえておけばキャットフード選びやサプリメント選びなど、お買い物のときによりうちの子に合っているものを選びやすくなります。

今回は、「おしっこトラブル」が気になる猫にオススメされるサプリメントに含まれる栄養素の中から、メチオニンという成分の働きについてご紹介いたします。

メチオニンという成分の概要

まずは、メチオニンという成分について詳しくご紹介します。
メチオニンそのものは、タンパク質を構成するアミノ酸の一種です。そして、メチオニンの中のさらに細かい分類のひとつとしてDL体と呼ばれるものがあり、DL体の状態のメチオニンを「DLメチオニン」と呼んでいます。
猫にとって食事から一定量を取り入れる必要がある必須アミノ酸のひとつであり、総合栄養食には必ず含まれるアミノ酸でもあります。

■メチオニンの特長

メチオニンは、その構造の中に硫黄を含む、含硫アミノ酸と呼ばれる成分です。
肉や魚や卵などの動物性タンパク質に多く含まれているため、本来肉食動物の猫は不足しにくい栄養素。しかし、栄養バランスの崩れた食事を与え続けるなど、肉や魚といった動物由来のタンパク質を十分に与えていないと、不足しやすくなります。

メチオニン自体は、どれだけ多く経口摂取(食べ物として取り入れること)したとしても、猫や人体に影響を及ぼすことがないと立証されている成分です。
含硫アミノ酸であるメチオニンは、猫の体の中で代謝されると酸性の物質である硫黄と酸素の化合物になり、尿から排出されます。

猫のおしっこトラブルとメチオニンの関係

■メチオニンの働き

メチオニンが猫の体内で代謝され、尿から排出される時、尿に含まれる成分によって尿のpHを酸性に傾けます。動物性タンパク質が多い食事を取ると、尿pH値が酸性に傾きやすくなるといわれているのはメチオニンを代謝したことで尿の中に酸性の成分が増えるためです。

メチオニンのこの働きに着目して、膀胱炎やストルバイト結晶につながりやすい"アルカリ尿"の状態が続くことを防ぐために、DLメチオニンを与えることがあります。

■ストルバイト結晶、シュウ酸カルシウム結晶と尿pH

猫の下部尿路疾患でも多い結晶や結石。
以前はストルバイト結晶がほとんどを占めていたそうですが、最近ではシュウ酸カルシウム結晶と診断される猫も増えつつあるそうです。同じ結晶、結石と言っても実は発生したり、結晶が大きくなる条件には違いがあります。


【ストルバイト結晶・結石の場合】
尿石を構成する成分:ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)
尿石のできる場所:膀胱など
特長:アルカリ性の尿でできやすい

猫で多くみられる尿石です。できる原因としては、尿中のマグネシウムやアンモニウム・リン酸塩の濃度上昇、マグネシウムの過剰摂取、水分摂取量の減少などで、膀胱によくできます。
オスの猫では尿道につまって尿が出にくくなってしまうこと(尿道閉塞)があります。肥満の猫はストルバイト結晶による尿石ができやすいようです。


【シュウ酸カルシウム結晶・結石の場合】
尿石の成分:シュウ酸カルシウム
尿石のできる場所:膀胱、腎臓、尿管、尿道など
特徴:中性~酸性でできやすい

尿の酸性化、ナトリウムの過剰摂取、ビタミンB6欠乏などが考えられています。膀胱のほかに腎臓、尿管、尿道にも見られます。


ストルバイト結晶とシュウ酸カルシウム結晶は、どちらも尿に含まれる成分が結晶、結石になるのですが「尿pHがアルカリ性の状態が続くとでできやすいストルバイト」、「尿pHが酸性の状態が続くとできやすいシュウ酸カルシウム」という違いがあります。
これらのトラブルに対しては、尿pHをある程度コントロールすることで対策が可能になったり、膀胱の中にできてしまった結石を溶かして小さくする目的で、DLメチオニンをすすめられることがあります。
ただし、尿をアルカリ性から酸性に傾ける働きがあるDLメチオニンを、もともと尿pHが酸性寄りの猫に与えても逆効果。シュウ酸カルシウム結晶がよりできやすい状態になってしまいかねません。
ですから、DLメチオニンを使用する際には、獣医師がさまざまな検査を行ってから判断を行うとより安心です。

猫の健康と尿pHについて

通常、健康的な猫の尿pHは一定ではなく、一日のうちで酸性~アルカリ性に変化するといわれています。ストルバイト結晶もシュウ酸カルシウム結晶も、成分が結晶化するためには尿pHがアルカリ性/酸性の状態が長時間続くことが条件。尿pHが変化する限りは、これらの結晶はできにくいのです。

食後の猫の尿pHは、胃酸の影響で大きくアルカリ性に傾き、その後睡眠や遊びなどをしていくうちに少しずつ酸性に向かって変化していきます。
しかし、食事を終えてある程度時間が経過した後の猫のおしっこのpHが、アルカリ性や酸性の状態であることが数日以上続くことが、トラブルのサイン。膀胱内で雑菌が繁殖する膀胱炎などによって、尿がアルカリ化しやすい状態になっているかもしれません。

ストルバイト結晶やシュウ酸カルシウム結晶、結石ができやすい状態になっている可能性があります。尿のpHがアルカリ性にしても、酸性にしても変化しないこと自体がおしっこトラブルのサインとなります。

一般的に、猫の尿pHは、中性から弱酸性のpH6~6.5が理想とされています。
とはいえ、尿pHを計測するタイミングによっては大きく外れてしまうこともありますので、タイミングがとても重要。
具体的には、朝の食事の前、猫が起きてきて最初のトイレで出した尿で測るのが良いとされます。

トイレの回数やトイレでの猫の様子と合わせて「おかしい…」と感じたら、動物病院で相談するようにしてくださいね。

尿pHをチェックする時の必須アイテム

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ロールpHチェッカー/2,492円(税込)

手軽に精密なpHチェックを行うことができるテープ型pHチッカー。1回に3cm程の使用で約120回程度使えます。尿pHは食後胃酸の影響でアルカリに傾くため、食前の尿でチェックすることをお勧めします。

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DLメチオニンを含むサプリメント

DOG's TALK

膀胱炎やストルバイトになってしまったら、動物病院で療法食を進められることが多いです。
そのときには症状が落ち着くまでは獣医さんの指示に従い、療法食を与えるようにしてください。病院で一般食に戻す許可が出たら一般食に戻し、サプリメントをプラスするという形で再発に備えなどしてご活用ください。

おしっこトラブル用療法食を探すならこちら

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おわりに

以下のような状態が続いている時に、獣医師に相談のうえでDLメチオニンを含むサプリメントなどを取り入れてみるのがオススメです。

・猫の尿pHがアルカリ性に傾いている状態が続いている
・ストルバイト結晶や結石になったことがある

ただし、DLメチオニンはシュウ酸カルシウム結晶や、尿pHが酸性に傾いている状態の猫に使用することは避けてください。定期的に尿pHを計測したうえで取り入れることが、何より大切です。使用する前に動物病院で相談してください。
また、猫のおしっこトラブルには飲水量を保ち、しっかりと尿を出しやすくすることも非常に大切な対策のひとつになります。そのためには、ウェットフードを副食やオヤツとして与えたり、ピューレタイプのオヤツで水分補給を意識するなど、手軽にできる対策から始めてみるのもオススメ。使用する際の注意も踏まえながら、猫も家族も無理なく続けられる対策を組み合わせて取り入れてみてくださいね。