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2020.04.23

しなやかな身のこなしに活躍!猫のしっぽから分かること。《cat academy》

しなやかな身のこなしに活躍!猫のしっぽから分かること。《cat academy》

私たちと一緒に暮らす猫。毎日見ていても飽きないくらい、全身の至るところが可愛らしく、魅力的ですよね。まるで私たちを魅了するために生まれてきたような生き物、猫。ですが、そんな猫の体のパーツひとつひとつを見てみると「あれ?」と気になることはありませんか?
「なんでこんな形なんだろう?」「これはなんのためについてるの?」など、猫の身体にまつわるちょっとした謎(にゃぞ)について調査してみました。

今回取り上げる謎(にゃぞ)は「猫のしっぽ」についてです。

第1の謎(にゃぞ)猫のしっぽはどんな役割を持っているの?


猫のしっぽはとってもよく動きます。一緒に暮らしていると様々な表情を見せてくれる猫のしっぽに思わずニヤニヤしてしまうひとも多いのではないでしょうか。
そんな猫のしっぽの役割について簡単にまとめてみました。

・感情表現の手段
猫のしっぽは猫の感情を表すという大切な役割があります。ご機嫌な時には、しっぽをピーン!と立て、「イヤだなー」と思っているときにはしっぽを大きく振って見せたり、怖がっているときにはしっぽを足の間に畳んでしまったり。
もちろん、しっぽの状態で猫の感情のすべてを知ることは難しいですが、だいたいの気持ちを想像するときの助けになってくれます。
猫のしっぽは私たちと猫との大切なコミュニケーションツールとして機能してくれているんですね。

・身体能力を支える重要なサポーター
素晴らしい身体能力を持っている猫。自分の目線よりもずっと高いところにぴょん、と飛び乗ったり、不安定な足場でも上手に歩いたりと、まるでスーパーヒーローのような身のこなしにうっとりしてしまいます。そんな猫の素晴らしい身体能力を支えているのも、しっぽなのです。
猫は高いところに飛ぶときや素早くジャンプで方向転換するなどの機敏な動きをするときに、しっぽを使って弾みをつけたり、細い足場を歩くときにはバランスをとるなどしているといわれています。ダイナミックなアクションを見せてくれる時に繊細な動きで精度を高めているのがしっぽなのです。

第2の謎(にゃぞ)しっぽが全くない猫、マンクスについて

重要な働きを持っている猫のしっぽですが、猫の中にはしっぽがお団子のように短い猫や、しっぽが全くない猫もいます。これらの猫たちでも基本的にはしっぽの働きはおなじです。
しっぽがなくても猫は十分素晴らしい能力を発揮することができるというわけですね。

生まれつきしっぽが全くない猫の品種に、マンクスというものがあります。マンクスの中にも全くしっぽがない猫と短いしっぽがあるものがいるようです。マンクスは、イギリス原産の猫でしっぽがない以外は短毛の日本猫によく似ていますが、日本猫の短い尻尾とは違う遺伝子によって見られるようです。
マンクスはイギリスのマン島という小さな島で伝統的に生まれていたしっぽのない猫がもとになって生まれました。このマン島のしっぽがない猫については、面白い伝承があります。

それは、この島(マン島)にいる猫にしっぽがないのは、ネズミを追いかけていた猫が、ノアの箱舟に最後に飛び乗ろうとして尻尾が扉に挟まれてしまったから。

ノアの箱舟といえば、キリスト教の聖書にも登場するできごとで、神様が世界に大洪水を起こしたとき、それを救うべく作られた箱舟にノアという人物が動物たちを乗り込ませたのですが、この時に猫はのんびりと「ねずみを追いかけていた」というのです。猫らしいマイペースなエピソードといえますが、どうにか猫も無事に箱舟に乗ることができてよかったですね。

第3の謎(にゃぞ)江戸時代には猫のしっぽに注目が集まった!?

さて、同じくしっぽが短い猫がいる日本。日本では、昔からしっぽが長い猫としっぽが短い猫がいます。しかし、日本でも江戸時代のころにはしっぽがとても短い猫が好まれるようになったといわれています。これはなぜなのでしょうか?

日本には鎌倉時代のころから「猫又」と呼ばれる妖怪が書物などに登場するようになります。猫又はその名の通り、もともとは山にいる猫をもとにした妖怪で、しっぽが2本に分かれているという特徴があり、人の言葉を話したり化け猫同様に人間に化けて人をだますなど、いろいろなイタズラをするといわれています。

さて、江戸時代になると人と暮らしている猫が長生きした結果、猫又になるといううわさが流れ始めました。もしかすると、江戸時代になって太平の世を迎え、猫の食事や治療にも人々が関心を持つようになって平均寿命が延びていったことも背景にあるのかもしれません。
そして、そのうわさ話が徐々に広がって「長寿の猫は、尾が長いとしっぽが分かれる」という話になり、「短い尾の猫は猫又にならない」と言われるようになったそうです。そのため、信心深い江戸時代の人々の中には短いしっぽの猫を特にかわいがる人もいたということです。

猫のしっぽの長さによって、化けることができる猫かどうかを想像していたと思うと、なんだか不思議な感じですよね。
そして、私たちにしてみれば、猫には少しでも元気で長生きしてほしいものですし、猫と話ができたりするのも、「なんだかいいな~」なんて思ってしまうのですが、江戸時代の人々と現代の私たちの価値観の違いなのでしょうか。

おわりに

今回、猫のしっぽについて調べてみましたが、猫のしっぽに関する物語が日本とイギリスにあったことがとても面白かったです。そして、どちらの地域でもしっぽが短い(ない)猫がいるという共通点も不思議で、面白いところですね。
様々な役割を持っている猫のしっぽ。機嫌よさそうにピーン!と立っているしっぽをよーく観察すると、しっぽが二股に分かれているかも…?
我が家の猫もいつまでも元気に、猫又になってお話ができるようになるまで一緒に過ごせていけたら、なんて思います。