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2020.06.04

可愛い口には機能がたくさん。猫の口の豆知識。《cat academy》

可愛い口には機能がたくさん。猫の口の豆知識。《cat academy》

私たちと一緒に暮らす猫。毎日見ていても飽きないくらい、全身の至るところが可愛らしく、魅力的ですよね。まるで私たちを魅了するために生まれてきたような生き物、猫。ですが、そんな猫の体のパーツひとつひとつを見てみると「あれ?」と気になることはありませんか?
「なんでこんな形なんだろう?」「これはなんのためについてるの?」など、猫の身体にまつわるちょっとした謎(にゃぞ)について調査してみました。

今回取り上げる謎(にゃぞ)は「猫の口」についてです。

第1の謎(にゃぞ)猫の口についているさまざまな機能について

小さな猫の口ですが、実はとっても高機能。さまざまな活躍が見られます。

猫の舌:ご存じの通り、猫の舌はザラザラしています。猫の舌のザラザラの原因は、舌の表面にある糸状乳頭というもの。この舌のザラザラは子猫の時はなく、体の成長とともに現れてくるようです。
猫の舌のザラザラは獲物を捕らえて食べるとき、骨などにこびりついた肉を舐めとったり、毛並みを整え清潔に維持する毛づくろいの時に活躍します。

猫の歯:猫の歯は、子猫の時は26本、大人になり生え変わった後は上下合わせて30本あります。実はこの歯も毛づくろいの時に活躍していて、とくに前歯に当たる門歯と呼ばれる歯は、クシのように使われます。

猫の毛づくろいには、単なる身だしなみや清潔さを維持するだけではなく、とっても大切な意味があります。
熱探知カメラを通して観察したところ、ネコの毛づくろいには体温を下げる効果があり、唾液が蒸発することによって、皮膚の表面と毛皮の外側との間で最大16℃ほどの冷却効果があるのだそうです。暑い地域で暮らしてきた歴史を持つ猫にとって、毛づくろいはうまく体温調整をするための知恵だったのかもしれません。

■ 豆知識:猫の舌のザラザラの形は絶妙!?

猫の舌の表面にあるザラザラのもと、糸状乳頭は長く空洞の円錐形といわれていましたが、とある科学者の研究によって、絶妙なカーブを描いていることが判明しました。とってもとっても小さな発見ですが、この糸状乳頭のカーブが猫の生体にとってはとても重要な役割をしていることが判明しました。猫が水を飲むとき、舌を使って上手に水をなめとりますが、この動きには糸状乳頭の形状が大きく関係しています。
わずかなカーブを描いている突起がたくさんあるおかげで、猫は舌に表面張力を生み出し、水などを吸い上げることができているのだそうです。猫が水を上手に飲むために、あの舌のザラザラも貢献しているんですね。

第2の謎(にゃぞ)猫の味覚はどれくらいの鋭さなの?

猫にはおいしいごはんを楽しんでほしい、というのはすべての猫と暮らす人の願いです。では、猫にとっての「おいしい」っていったいどんなものでしょうか?
猫は食の好みがはっきりしていて、すべての猫に共通して「おいしい」といえる食事は非常に難しいです。ただ、猫たちが感じることができる味覚を知ることである程度の参考になるかもしれません。

猫は人間と比較すると味覚をあまり感じない動物です。舌の表面にある味を感じる器官、味蕾(みらい)の数は、約500個といわれていて、人間の1/12ととても少ないのです。
その少ない味蕾でどんな味を感じているのかというと、塩味・苦味・酸味・うま味を感じ取っているといわれています。一方で、猫は甘みを感じないといわれています。
猫の味の好みの傾向としては、酸味と苦みは毒物や腐った肉を連想させるのか、避ける傾向があるといわれていて、一方でうま味を感じられるものは好む傾向があるといわれています。うま味として感じられる成分には、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸といったアミノ酸があり、猫たちはこれらのうま味を感じているようです。
グルタミン酸を含む食品はチーズや昆布、イノシン酸を含む食品にはチキンやビーフ、カツオやかつお節、グアニル酸を含む食品にはキノコ類などがあります。
キャットフードなどに使用される原材料として、イノシン酸を含む食材が使用されていることからみても、やはり猫の「おいしい」にはイノシン酸などのアミノ酸が関係しているような気がしますね。

第3の謎(にゃぞ)ニオイを感じた後に口が開いてしまうあのしぐさはなぜ起きるの?

猫が強いニオイなどを嗅いだ後に、口を半開きにしてしまうあの現象。お父さんの靴下のニオイを嗅いだあとに呆気にとられたような表情をするあの現象は、フレーメン現象と呼ばれます。フレーメン現象は、本来フェロモンのにおいをかぎ分ける際に起こる現象で、フェロモンをより詳しくかぎ分けるために、口を開けていると考えられています。

猫のフェロモンを感じる器官は、ヤコブソン器官と呼ばれていて、鼻ではなく口の中にあります。そのため、フェロモンを感じた時には詳しくフェロモンから情報を得ようとして口を開けてしまうのです。

人間の靴下や足のニオイは、一説によると猫のフェロモンに似ているといわれています。そのため、一緒に暮らしている家族の足や靴下をついクンクンしてしまう猫が後を絶たないのだとか。
猫に足をクンクンされてフレーメン反応されると、「えっ!?くさい!?」とつい不安になってしまいますが、実は猫にとって魅力的なニオイなのかも…?

おわりに

今回は、猫の体の中から、口に注目してみました。猫の口は小さいですが、さまざまな機能が備わっていることが分かりました。
おいしいごはんを楽しんだり、かわいい声で鳴くほかにも、フェロモンを感じ取るなどのコミュニケーションのためにも活用されています。足のニオイなどに反応してついついぽかーんと開いてしまう猫の口には、ちょっとびっくりしてしまうかもしれませんが、それも猫との大切なコミュニケーション。猫がもっと嗅ぎたい、と感じてくれているのかもしれません。