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2021.12.02

猫のための冬の食事選びのポイント!こんなことを意識してみよう

猫のための冬の食事選びのポイント!こんなことを意識してみよう

いよいよ寒い冬がやってきます。季節の変わり目は猫の健康や行動にもさまざまな変化をもたらします。
代表的なものでは、気温が下がったことで換毛期を迎えた猫は抜け毛が一気に増えますよね。これも季節の移り変わりによる変化のひとつ。
猫の変化は私たちの目に見えるものだけではありません。本日は見えにくい冬の猫の変化と、それに合わせた食事についてtamaでもお世話になっている菱沼獣医師と一緒にチェックしていきましょう。
猫の冬の健康維持のためのポイントとしてぜひ参考にしてみてくださいね。

DOG's TALK

tamaの獣医さん 菱沼獣医師

tamaの獣医さん 菱沼獣医師

獣医学部を卒業後、動物病院での臨床・栄養指導を経験した後に公的機関で獣医師として勤務。現在はtamaのアドバイザー、商品開発などに携わる。中型犬、小型犬と一緒に暮らしていますが、猫のことも大好きです。

猫の冬の健康チェックポイント

まずは、冬になると猫の体にはどのような変化が起こるのでしょうか?簡単にご紹介いたします。
いずれも冬の寒さや気候の変化によって起こされることが多いです。

・水を飲む量が減る
・トイレの回数が減る
・背中などにフケがみられるようになる
・体重が増える
・運動量が減り、寝ている時間が長くなる
・食欲が旺盛になり、オヤツなどを欲しがるようになる

猫の行動や体の変化は気候の変化によるものもあるので、完全に防ぐことは難しいのですが、これらの変化が体調に影響を及ぼす前に食事面でのサポートを行って行くことが大切になります。

水分補給を意識しよう

冬の猫の健康維持で最も注意が必要なのは飲水量が減ってしまうこと。飲水量を一定に維持することで、おしっこの回数を維持することにもつながります。膀胱炎などのおしっこトラブルはトイレの回数が減ってしまうことで起こりやすくなるといわれていますので、リスクを減らすためにも猫の飲水量は注意して見守るようにしてください。
(参考:そろそろ気になる?膀胱炎とストルバイト結石について調べてみました)

猫に「もっとお水飲んでね」と言っても飲んでくれないことが多いので、食事から自然に飲水量を増やす方法として、ウェットフードを活用するのがオススメです。
ウェットフードは全重量の80%程度が水分でできています。猫は美味しくオヤツやごはんを食べるだけで自然と水分を摂取できてしまうというわけなんです。
総合栄養食タイプのウェットフードであれば、ドライフードの代わりに1食分をまるごとウェットフードに変更するということもできますよ。

■ 菱沼獣医師のひとことポイント:水分不足はこんなトラブルにも

猫の飲水量が減るとおしっこトラブルとの関連性に注目されることが多いですが、もう一つ注意してほしいのがウンチが固くなる便秘です。便秘も飲水量が減ることで起こりやすくなるトラブルのひとつです。
もともと猫は便秘になりやすい傾向にありますが、運動量が減り、飲水量も減る冬はさらにそのリスクが高くなりやすい状況です。水分補給と合わせて腸内環境を健康的に維持するのに役立つ水溶性・不溶性食物繊維や乳酸菌、オリゴ糖なども一緒に摂取するのがオススメです。
猫の便秘についご紹介した記事も合わせてご覧くださいね。(参照:猫の便秘の対策は?食事、運動、暮らしの中のポイント&紹介!)

猫の皮膚被毛の健康を意識しよう


猫の皮膚被毛の健康維持を意識するのもオススメです。
冬の乾燥や静電気により、敏感肌の猫はかゆみや赤みが出るなどのトラブルが起こりやすくなります。
小さな刺激がかゆみになりやすい敏感肌の猫は、本来持っている皮膚のバリア機能が上手く働いていないこともあります。健康的な皮膚を維持するためには適度なタンパク質、そして脂質をうまく取り入れることが重要です。
偏った食事内容を続けていると、タンパク質や脂質が不足してしまい、皮膚のトラブルがみられることも。

冬の間によくみられる猫の皮膚トラブルには、「フケ」もあります。猫のフケについては以前ご紹介した記事を参考にしてみてください。(参照:猫の「フケ」これってなぜ出るの?病院に行くべき?迷った時のチェックポイント)

■ 菱沼獣医師のひとことポイント:被毛のパサパサが気になる時は

動物病院に寄せられるご相談で、被毛がパサパサしてしまっている、というものも多いです。被毛のパサつきが気になる時は脂質、タンパク質が十分に取れていないことが原因の一つになっているケースも少なくありません。食事の内容を見直すことで、ツヤツヤとして若々しい被毛に戻っていくことも多いんです。
とくに体重が増えることを気にして脂質が低いものを与えたがる方が多いのですが、猫が健康的に過ごすためには脂質は非常に重要な栄養素です。猫の皮膚や被毛の様子が気になった時は、脂質が不足していないかをチェックしてみるのもいいと思います。

運動不足からくる肥満に注意

人間と同様に冬になると猫は暖かい場所から動きたくなくなるため、運動量が低下する傾向にあります。とくにシニア猫は1日中寝てばかりということも少なくありません。
一方で食欲が旺盛になる猫もいます。普段通りの食事量を与えても足りないのか、もっと食べるものを欲しがるような猫もいます。これは気温が下がる冬は体温の維持により多くのエネルギーを消費し、基礎代謝が増えることが影響しています。夏と比べると冬の方が食欲旺盛になる猫が多いです。

猫が欲しがるから、といってオヤツなどを与えすぎてしまうと栄養に偏りが出たり、肥満になってしまうケースもあります。
寒い冬の間は猫の運動量が減る傾向にありますが、健康的な猫であれば一定の運動量を維持することもとても大切です。
もうすでに肥満傾向にある猫には、カロリーを抑えた体重管理用の療法食を取り入れるのもオススメです。

■ 菱沼獣医師のひとことポイント:体温と代謝エネルギー

猫や人間などの恒温動物には、自律神経と呼ばれるシステムが備わっていて、その働きによって体温は一定に維持されます。体温を維持するためにはエネルギーを消費して熱を作るのですが、外の温度と体温の差が大きくなればなるほど消費されるエネルギーは大きくなります。
同じ体温(37℃)であっても、室温が28℃の状態で体温を維持するのと、5℃の状態で体温を維持するのとではまったく消費エネルギーが違ってくるのです。
家の中で暮らす猫たちであれば、外ほど気温の影響は受けないと考えられますが、猫だけで留守番をさせる時などは暖房を切るというケースもあると思います。そういった場合、普段よりも多くエネルギーを消費している可能性も考えられます。だからと言って特別食事の量を増やしたりする必要はないと思いますが、猫が食欲旺盛になっていると感じたら「ああ、いつもよりエネルギーを使っているんだな」と思っていただけると、安心されるかと思います。

おわりに

本日は冬の猫の健康を意識するときのポイントをご紹介しました。
季節の移り変わりは猫の健康に影響を与える要素の一つではありますが、猫の様子や行動の変化が病気やケガのサインだった、ということもありますので、気になるようであれば動物病院でご相談くださいね。
小さな猫の変化に気が付くことができるのは家族だけです。注意深く見守っていくようにしていきたいですね。

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