• コラム
  • スタッフコラム

2022.06.09

オリゴ糖ってどんなもの?猫に摂取させるときのポイントと健康について

オリゴ糖ってどんなもの?猫に摂取させるときのポイントと健康について

キャットフードの中には、健康維持を目的とした特定の成分を配合していたり、一般的なフードよりも含有量を多くして作っているフードがあります。目的に合わせて使われる成分はさまざまですが、成分の特長について詳しく知ることでフード選びの際に「この成分がより多く含まれているから、うちの子にはこっちが合いそう」というように、比較するときに役立ちます。

今回はそんな猫の健康にかかわる成分の中から「オリゴ糖」をご紹介します。猫の健康とどのようにかかわるのか、「糖」だから肥満の可能性はないのか、多く与えることでデメリットはないのかなどについてまとめてみました。

成分としてのオリゴ糖とは

オリゴ糖は、私たち人間にとっても非常に身近な成分です。ジュースやお菓子などにも使用されることがあり、身近なものというイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。オリゴ糖はお腹の健康維持を目的として使用されることが大半のようです。
どのようにお腹の健康に役立つのでしょうか?

猫や人間などは、食べ物を食べた後、胃や腸といった消化管を通して食べ物を消化し、消化した食べ物から栄養をとりこんでいます。食べ物を分解して栄養を吸収しやすい状態にすることを「消化」、消化のために成分を分解する働きを持つ酵素を「消化酵素」と言います。消化酵素は、唾液や胃液、膵液などの消化器から分泌される液体に含まれています。
タンパク質や脂質もこの消化酵素の働きによって消化され、腸で吸収されて体の中でさまざまな形で使われていきます。

一方、お腹の健康維持に役立つオリゴ糖はというと猫や人間の持つ消化酵素では分解されず、そのまま大腸に届くという特長があります。

 

そしてオリゴ糖は大腸の中で、こちらもお腹の健康維持に役立つ乳酸菌・ビフィズス菌のエサとなってビフィズス菌の数を増やすのに役立ちます。オリゴ糖自体は何か良い働きをするわけではないのですが、ビフィズス菌を増やすことで健康に良い影響を与える成分なのです。

また、腸内細菌の中にはオリゴ糖を発酵させる能力を持っている菌がいます。これらの菌はオリゴ糖だけではなく、水溶性食物繊維も一緒に発酵させることで健康維持に役立つさまざまな成分を作り出します。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸といった成分が作られます。これらの成分は、腸のぜん動運動(ウンチを腸の中を速やかに通していく運動)を促進したり、大腸のpH値を調整するなどの作用を持っています。

オリゴ糖は大腸に届いてから初めて活躍する成分なんですね。

DOG's TALK

実は、オリゴ糖の中にも消化酵素で分解・吸収されるタイプのものもありますが、それは乳糖やショ糖と呼ばれることが多く、一般的にお腹の調子を整えるオリゴ糖とは区別されることがほとんどです。

オリゴ糖は糖類?肥満に関係する?

オリゴ糖は砂糖やシロップの代用品として使えるものが市販もされていますよね。名前にも「糖」とついていますし、甘みも感じるものを猫に与えても大丈夫なのか、肥満に繋がったりしないのかと心配される方もいるかもしれません。

結論をいうと、オリゴ糖は猫の肥満に繋がることはまずないそうです。その理由は、オリゴ糖は猫の体でほとんど消化も吸収もされないためです。

「でも、オリゴ糖にもカロリーがあるんでしょう?」と、市販のオリゴ糖を使っている方は思われるかもしれません。その通り、オリゴ糖にもカロリーはあります。しかし、それは腸内細菌がオリゴ糖をエサとしたときに菌がエネルギーに変換、消費されるカロリーなので、猫や人間の体重の変化には関係しないのだそうです。

また、ほかの糖類のようにエネルギー源として吸収されないので、糖尿病の猫であってもオリゴ糖を与えることができます。甘みの強さも一般的な砂糖の約30%といわれています。

体重管理が必要な猫であっても、問題なく与えることができます。

猫にオリゴ糖を摂取させるときのポイント

適度にオリゴ糖を含んだ食事で猫のお腹の調子を整えたいと思ったら、まずオススメなのがヨーグルトなどのビフィズス菌と一緒に摂取する方法です。オリゴ糖を含んだ食事に一般的な無糖のヨーグルトにプラスして与えるだけでも腸内環境を健康的に維持するサポートに繋がります。

市販されているキャットフードや猫のオヤツでもオリゴ糖を含むものが多くありますので、そういったアイテムの中から選んでみてください。

オリゴ糖のシロップ等を与える場合、過剰に与えてしまうと、ウンチがゆるくなってしまう可能性もありますので、チコリ根(フラクトオリゴ糖源)などが原材料として使われているものを併用するのがオススメです。

オリゴ糖を含む オススメアイテム

おわりに

今回はキャットフードなどにもよく使われている成分の中からオリゴ糖についてご紹介いたしました。サプリメントやオヤツでもよく見かける成分ですが、ビフィズス菌と組み合わせて与えるのがオススメです。お腹の中の健康維持に役立つ仕組みが分かれば、取り入れ方や使うタイミングの参考にもなりますね。お腹の調子が安定しない猫には、ぜひビフィズス菌と一緒に与えてみてください。

ただし、オリゴ糖を分解して役立つ成分を作ってくれる腸内細菌のバランスが崩れたり、極端にオリゴ糖ばかりを与えていると消化しきれずに下痢や軟便になる可能性もあります。腸内環境を整えつつ、上手く取り入れることを意識してくださいね。