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2022.10.06

猫も認知機能が低下するの?高齢猫との暮らしの中の変化

猫も認知機能が低下するの?高齢猫との暮らしの中の変化

猫が高齢になってくると、これまでは見られなかった体調の変化が現れるようになってきます。いつまでもベビーフェイスでかわいらしい猫の老化は気が付きにくい部分もありますが、年齢を重ねるごとに着実に身体的にも脳の機能にも変化が起こっています。
加齢に伴う変化の中で、程度の差はあれど多くの猫が経験することになるといわれている腎臓病については、情報収集する方も多く、食事などについても気を付ける方が多いように思います。

しかし、同じように猫の加齢に伴って起こる変化の中でも、見落とされがちけれど、とても重要なのが「猫の認知機能の低下」です。
今回は、加齢に伴う猫の認知機能の低下とその影響についてまとめてみました。高齢になった猫ならどの子にも起こりうる変化ですので、ぜひチェックしてみてください。

猫も高齢になると徐々に認知機能が低下していきます。

猫も人間と同じように、高齢になると徐々に認知機能が低下していきます。もちろん、その進行度合いには個体差があり、認知機能に変化がほとんどないまま生涯を終える子もいます。同じ親から生まれたきょうだいであっても、違いがあることもよくあります。

また、認知機能が著しく低下した状態が一定期間続いている状態を認知症と呼びます。認知症になると、脳の機能の衰えによって、家族のことが分からなくなったり感情のコントロールが難しくなったり、それまでには取ることがなかった行動をとるようになることがあります。
以前は猫の認知症のような状態は、ほとんど見られなかったともいわれていますが、最近ではご長寿猫が多くなったためか、認知機能の変化が見られたことで生活スタイルにも変化が起き、戸惑う家族の方からの相談も増えています。

認知機能とは?

認知とは一般的に理解、判断、論理などの知的機能のことを言い、五感(視る、聴く、触る、嗅ぐ、味わう)を通じて外部から入ってきた情報から、

■物事や自分の置かれている状況を認識する
■感情や行動をコントロールする
■学習し、何かを記憶する
■危機回避のための行動を起こす

などといった、さまざまな行動や反応を起こす機能を総称した概念と考えることが多いようです。
猫などの動物の場合は、「認知機能」は、元気な時に通常こなすことができていたさまざまな行動を維持したり、家族や慣れ親しんだ場所などを理解できているかなどが分かりやすいと思います。

猫の認知機能低下のサイン

 

猫の認知機能が低下し始めると、以下のような変化がみられることがあるそうです。程度にはもちろん違いがあると思いますし、暮らしている環境によって現れ方にも差があると思いますが、一つの指標としてチェックしてみてください。

 

 


・いつもと違う場所でトイレするようになる
・季節に関係なく明け方、夜中に大声で夜鳴きをするようになる
・落ち着きがなくなり、同じところをうろうろする
・家族や同居猫に怯え、著しく攻撃的になる
・家族が近くで呼んでも反応しない
・刺激に対して鈍くなる、または過敏になる
・昼夜問わず、1日中寝てばかりいる
・食欲が異常に旺盛になる

猫の認知機能が低下し始めたことで、「トイレの失敗をするようになった」ことに驚いたという方もいます。それまでトイレを失敗したことがなかったという子が、何度も粗相をするようになり、心配して病院に連れていくことで認知機能の低下の可能性を指摘されたという事例もあったようです。お漏らしがひどいときには、猫にも使えるタイプのペット用オムツも登場しています。

それから、実際に認知機能が低下した猫と暮らしている方のお困りごととして、「夜鳴きがひどく、ご近所に迷惑になるのではと心配になる」というものも多いです。
自分でもそれまでできていたことができなくなったり、理解できないことが増えて、猫自身も不安や心細い気持ちになり、それが夜鳴きの理由の一つになっている可能性もあるそうです。
そのため、猫を安心させ、リラックスして過ごすことができるような環境づくりをすることも大切です。
それでも夜鳴きが続き、改善されない場合は体に痛みが発生しているなど体調不良も考えられるため、獣医さんに相談しましょう。

高齢になった猫の変化にいち早く気が付くことができれば、対策をしたりより快適な暮らしの工夫を取り入れて、穏やかに過ごすサポートをすることもできます。

猫の認知機能を健康的に維持するために

高齢になった猫にとって、認知機能が低下していくことはある程度自然なことではありますが、家族や猫の暮らしへの影響を最低限に抑えられるよう、取り入れたい工夫をご紹介します。

・EPAやDHA、MCTオイル(中鎖脂肪酸)などの脳の健康に役立つ食事の栄養管理に留意する
・なるべく昼間に起こすようにする
・猫の暮らしにお楽しみの時間をつくる
・定期的にちょっとした運動を取り入れた遊びをさせる

EPAやDHAといった青魚に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸のほか、卵黄などに含まれるレシチン、細胞の老化を防ぐ抗酸化成分である緑黄色野菜などに含まれるカロテノイドや、神経系の働きを維持するトリプトファンなどの栄養が認知機能の健康維持に役立ちます。
猫が高齢になってきたらこれらの成分を含むフードに切り替えたり、サプリメントを適度に取り入れるなど、取り入れてみてはいかがでしょうか。

また、夜鳴きをするようになった猫は、体内時計が人間のサイクルとズレてしまっている可能性があります。猫は本来、家族の生活時間帯に合わせて上手に体内のリズムを変えることができる生き物です。高齢になると、猫はどうしても寝ていることが多くなりますが、夜中に騒いでしまうようであれば、日中は家族が色々声をかけたり、遊びに誘ったりしてなるべく起きている時間を長くしてあげるのも効果的。夜にぐっすり眠ってくれるかもしれません。
夜中に落ち着きがなくなったり、興奮をコントロールできなくなったようであれば、動物病院で神経系を落ち着かせる薬をもらうこともできますので、困りごとがある時には相談してみるのも一つの手です。

おわりに

老化により低下する猫の認知機能。認知機能を健康的に維持するには、コミュニケーションを大切にする、遊びや生活の中に変化を与えて脳を刺激するなどの対策を行うことが効果的と考えられています。これらの取り組みは何時からでも始められると思いますし、末永く続けていきたいものですね。
また猫の脳の健康維持に役立つ成分を適宜取り入れて、健康で長生きしてもらうためにも日々の暮らしの中で猫の行動には注意を配り、「なんか変だな」と感じたら、頼れる動物病院などで相談をしていくようにしていきたいですね。